円相場の影響とは? わかりやすく解説

円相場の影響

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 09:29 UTC 版)

円相場」の記事における「円相場の影響」の解説

為替レート#為替レートの影響」も参照 円高メリットとして、輸入品安くなる原材料も含む)、日本からの海外旅行安くなるというプラス面がある一方で輸出品外国高くなる輸出品売れなくなり国内産業打撃を受け不景気となる、日本の観光収入が減るなどのマイナス面がある。円安になると、円建て海外資産所得増加する。 「円高になると、交易条件向上する日本国外からの購入有利になる)のでよい」という議論があるが、交易条件輸出物価輸入物価比率であるので、円高になると輸出物価輸入物価も下がるため、交易条件系統的な影響与えないそれどころか、比較優位をもつ輸出産業比較優位をもつからこそ輸出産業)が採算レートを割るような円高になって日本国外移転するどすれば平均的な生産性が下がり、賃金下がって生活水準低下にもなりかねない参照円高不況)。円高は、対外直接投資増加させる要因となる。 さらに、円高になると日本労働力などの生産要素価格他国対し相対的に高くなる円高日本国外賃金日本賃金比べて低下させる。このコストになった結果輸出財の競争力低下することになり、輸出減少して輸出企業やその下請けなど関連企業業績悪化する要因となる。反対に輸入財は相対的に割安になるため国内生産品より競争力増し輸入増加することになる。 円高1万円買えるものの量が増えるから一見メリットあるよう考えがちだが、その1万円を稼ぐこと自体困難になるため、円高有利になるとは言えない。 また、円高起きた場合生産活動はすぐには変化しない一方で将来景気悪化懸念して消費設備投資の方がより早く反応して落ち込むその結果国内貯蓄超過貯蓄投資)が増加し、これは経常収支黒字増加意味する貯蓄投資バランス)。すなわち、円高起きた直後には貿易黒字拡大起きやすい。その後国内消費投資落ち込みによる景況感悪化合わせて生産活動停滞する中で、貿易黒字縮小していく。円高直後貿易黒字拡大見て円高悪影響過小評価しないよう注意する必要がある経済学者翁邦雄は「円安輸出増え経済回復するという効果は非常に限定的である。また、大企業製造業労働持っている人にはプラスであるが、そうではない人にはマイナスという分配効果によって不満が高まりかねない」と指摘している。 元日理事早川英男は「円安実質賃金低下もたらす円安交易条件悪化させ、賃金企業収益並行して増えないため、短期的に労働分配率低下させる」「多く外国人観光客訪れるのを、日本人相対的に貧しくなってしまった結果だと考えると好ましくない」と指摘している。 エコノミスト岩田一政は「円安進みエネルギー価格上昇高止まりすると、交易条件大幅に悪化する企業仕入れ価格大きく上がる一方販売価格上がらず利潤圧縮され賃金抑制される」「実質所得国外流出輸出生産所得増加といった効果上回ると、経済全体として消費者効用水準低下する」と指摘している。 経済学者小幡績は「円安になれば、輸入品価格確実に上がる庶民の生活は苦しくなる自動車電機など一部大企業にはメリットがあるけれど、日本経済支えている内需関連中小企業にとっては、輸送費・電気代上がるなど、マイナスのほうが大きい」と指摘している。 大和総研は「円安は、資源乏しく食料自給率が低い日本にとって望ましくない」と指摘している。 経済学者浜田宏一は「古典派的に言えば交易条件アラブ王様決めることであり、金融政策による為替レート変動交易条件変動無関係である。ただし、そのような関係があるというデータもある。石油ドル建て決められるため、円安によって交易条件悪化する傾向がある」と指摘している。 早川英男は「交易条件与え影響は、為替レートより原油価格の方がずっと大きい」と指摘している。経済学者高橋洋一は「交易条件為替レートにはほとんど関係がなく、交易条件原油価格で決まる」と指摘している。 「円安になって輸出増えないようになっている」という議論について、エコノミスト村上尚己は「自国通貨安くなれば、国際市場での価格競争力が高まるメカニズムが働く。このメカニズム働かないなどというのは、経済原理無視している」と指摘している。村上は「円安進行によって、企業利益増えて株高外貨建て資産増加することによって、民間部門バランスシート強固になり、設備投資雇用拡大もたらすメカニズム一段と強まる」と指摘している。 経済学者ポール・クルーグマンは「歴史的に通貨安輸出推進するという有力な証拠がある一方でその影響数回四半期まで結果はっきりしないという経済データもある。普通10%円安になると10%輸出伸びるはずである。総合的に見て円安マイナス面よりもプラス面のほうが大きい」と指摘している。 経済学者若田部昌澄は「円安によって、輸入競合企業(例:タオルメーカーなど)の収益上がる」と指摘している。 経済学者原田泰大和総研は「10%円高は、実質GDPを0.54%押し下げる」と指摘している。原田は「完全雇用なる程度の為替レート水準良い完全雇用になった後の円安デメリットとなる」と指摘している。 経済学者岩田規久男は「過度円高は、非正規雇用比率引き上げ製造業中心とした海外移転促進し国内雇用需要減少失業率の上昇をもたらした」と指摘している。 経済学者田中秀臣は「生産性の向上という実力上の円高発生すると、企業収益圧迫による賃金投資抑制雇用減少、それを通じた国民消費減退起きる」と指摘している。田中は「日本代表的産業苦境に立たせているのに関わらず世の中には円高は『強い証拠』『国力上がる』『日本にとって望ましい』といった言説存在する理解できないまた、円高企業淘汰し、過当競争防ぎ経済効率上げるという見方もある。優良企業が、国際的に定評のある技術販売力への評価ではなく予期せぬ為替レートだけで窮地追い込まれ淘汰されるのがいいのであろうか」と指摘している。 若田部昌澄は「円高に耐えられるように更なる企業努力をすべきだという声があるが、無責任極まりない意見である。円高に対して企業努力をすれば、生産拠点海外に移すだろう」と指摘している。

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