円石の役目
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 10:20 UTC 版)
円石の役目に関しては諸説あるが、未だ決定的なものはない。これは円石藻に限らず、多彩な形状の外被を持つ藻類や原生動物全般に共通する疑問である。以下に代表的な仮説を挙げる。 浮力制御 円石藻の多くは鞭毛を持たないか、持っていても短く、遊泳に適さない形状のものが多い。そこで円石を付ける事で比重を調節し、また水流の撹乱を捉えやすくする事で細胞の単純な沈降を抑えているとする説。これにより円石藻は有光層に留まると共に、海水中の栄養塩を効率良く得る事ができるとされる。 捕食に対する抵抗・防御 捕食者に消化されにくい無機物の構造物を細胞に付け、細胞全体の栄養価を小さくして捕食圧を下げているとする説。個々の細胞の生存にはさほど貢献しないが、生物群全体では意味のある戦略であると言われている。バクテリアのような小さな外敵に対しては、単純に円石が防御の役割を果たす。 緩衝地帯 緻密な構造の円石はその周囲にある程度の海水を保持しており、これが細胞と外部環境とのバッファとして機能しているとする説。 光制御 円石によって強すぎる光や紫外線を低減している、或いは逆にレンズのような仕組みで葉緑体に光を集めているとする説。 CO2貯蔵 円石は炭酸カルシウム(CaCO3)でできているので、CO2が豊富にある時には円石として貯蔵し、不足時にはこれを溶解して光合成に必要なCO2を補っているとする説。
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