停電の影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 22:45 UTC 版)
前項目「多量の煙と有毒ガスの影響」で記したとおり、7階プレイタウンは下層階で発生した火災の影響によって店内に多量の煙が流入し、同階滞在者の視界を遮って避難行動に支障を来したことも被害拡大の一因であるが、停電によって店内の照明が一斉に消え、プレイタウン滞在者を完全な暗闇の中に置くことになったことも避難行動に致命的な支障を与えたと考えられている。 プレイタウン店内の照明が停電によって消えたのは22時49分である。3階で火災を発見した工事作業者が3階西側設置の火災報知機を22時34分に押したことで地下1階電気室と1階保安室が火災発生を検知した。入浴中だった当直のデパート電気係は、すぐさま電気室内設置の受変電設備(受電電圧2万2,000V、設備容量合計3相4,500KVA)の配電盤開閉器を操作して3階と4階の電源をすべて遮断したが、このときは限定的な電源の遮断であり、7階の照明や右同階動力系の電源供給に支障はなかった。このあと、火災が延焼拡大したことからデパート電気係が受電用開閉器を操作してデパートビル全館の電源を遮断したのは23時10分であった。 22時49分のプレイタウン店内の一斉停電は、人為的に行われたものではなく、火災の延焼による電気系ケーブルの焼損で発生した短絡(ショート)の影響であった。大阪市消防局が火災後にデパートビルの電気系統を調査したところ、7階プレイタウンに関係する一般電灯回路は2系統あるところ、地下1階電気室の低圧配電盤内で両系統のヒューズが溶断していた。そのほかA1エレベーターと7階F階段電動シャッターの開閉に用いる動力系の1系統が同配電盤内でヒューズが溶断していた。さらには7階に通じる非常灯用の回路系も同じく溶断していた。7階プレイタウンにも電気室があり、その中に電灯用と動力用の配電盤が設置されていたが、それらのヒューズも溶断していた。右配電盤で人為的な電源遮断は確認されず、電灯用と動力系の各電源は通電状態になっていた。なお本件ビルには、非常用照明は備え付けられていなかった。7階プレイタウンの電灯回路2系統は、4階より上の各階と共通であり、それらの各階に対して電源を供給していたことから、4階の火災拡大に伴い、金属パイプの中に通された電源ケーブルが焼損して短絡(ショート)が発生したことで異常電流が流れ、ヒューズが溶断したことで7階で停電が発生した。そのヒューズが溶断した瞬間がまさに「22時49分」だった。 同様に動力系回路についてもプレイタウンに供給されていた系統は「一般動力No.1系統」と呼ばれ、同ビルの主要な動力源であるエレベーターやエスカレーター、電動シャッターなどの大半に電力を供給していたものであり、それはビル全体を網羅していた。7階F階段電動シャッターも同系統からの電源供給に頼っていたところ、22時48分に屋上へ避難しようとした支配人らがボーイに指示して同シャッターを電動で開けさせたが、結果として猛煙の流入をフロア内に招いてしまった。その後に同シャッターを閉鎖できなくなったことで被害が拡大したものであるが、その根本原因も火災によって「一般動力No.1系統」の電気ケーブルが焼損したことによって短絡が発生し停電した影響によるものである。なおA南エレベーターとプレイタウン独自の空調パッケージの電源は「一般動力No.2系統」という別系統からの供給であり、この系統は主に地下1階と1階外周店舗、7階に共通する系統で、このエリアは火災による直接的な延焼被害を受けなかったので、電気ケーブルの焼損はなく、配電盤のヒューズは溶断しなかったことから火災後も通電可能な状態となっていた(ただし水損の影響は考慮しない)。 7階に通じていた非常灯回路2系統のヒューズも地下電気室の配電盤内で溶断していた。この電気系統は、平時は専用の変圧器で受電し全館へ給電されているが、非常時などに常用電源が切れると自動的に蓄電池(容量360Ah、電圧104V)からの電源供給に切り替わる仕組みになっていた。プレイタウンには「誘導灯」が7個設置されていたが(そのうちの一つは救助袋用の誘導灯)、6個のうちの一つは蓄電池内蔵のもので、電源供給が切れても一定時間は点灯し続ける機能を持っていた。火災鎮火後に同フロアへ警察や消防当局が現場検証に入ったときには、蓄電池内蔵の誘導灯1つはまだ点灯していた。それは14日昼過ぎまでは点灯していたという。残りの5個については、非常灯回路に単独で接続する仕様で、蓄電池は内蔵されていなかった。もしも電気室設置の蓄電池から電源供給が為されていれば、それら5個の誘導灯も現場検証時に点灯しているはずであるが、実際には消えていた。そのことから7階プレイタウンの非常灯回路は、火災の影響によって電灯と動力系のヒューズが配電盤内で溶断したのと同じ時期にケーブルが損傷して短絡した結果、電源の供給が止まったと考えられ、電源供給が途絶えて誘導灯が消えたことでプレイタウン滞在者の避難に悪影響を及ぼした可能性もある。ただし、誘導灯は全てが天井や梁などの高い位置に設置されていたことから、仮に火災時に点灯していても猛煙の影響で避難者には視認できなかったと考えられており、誘導灯を低い位置に設置する必要性が検討されるきっかけになった。
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停電の影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/09 07:08 UTC 版)
停電では、一般市民の生活に於いて照明の他にも冷蔵庫・エアコン・電磁調理器・暖房・洗濯機などの生活家電が使えなくなる。テレビ(携帯用など乾電池・あらかじめ充電していたバッテリーで使用できるものは除く)・パソコンも使えなくなるため、情報が入手できないという事態に陥りやすい。また、高層ビルでは突然の停電の場合にはエレベーターに閉じこめられるなどの被害もある。 水道も高層ビルなど、高い所にある貯水タンクに揚水ポンプで水を上げている所では、長時間の停電で貯水タンクが水量不足の状態となり断水になることもある。また平地でも上水道の加圧に電動ポンプを利用している地域も同様である。この断水は数時間程度で発生する場合もあるので、停電時は水の使い過ぎにも注意したい。なお日本では大抵、中水道と上水道と云う区分が無いため、断水すれば飲料水の供給停止と同時に、水洗トイレも使用不可能となる事から、一部では停電が予想される際に、風呂の残り湯を棄てない等で自衛する人もいる。その一方では下水道も下水処理場の機能が停止するため、大規模停電では汚水処理に問題が出る。 他にも大規模な物では信号機の停止などにより道路の使用が妨げられたり、電源供給がなくなり鉄道が止まるなど、交通が混乱する。また電話やインターネットなどの通信に支障を来たす事もある。電話線には独自に電力を供給しているが、最近は高性能化により使えなくなることが多い。またひかり電話等は宅内ルーターや構内交換機にも電力を供給しないと停止するため、蓄電池等が無い場合は使用不能となる。 また、家電に組み込まれたタイマーや時計が一斉に停止し、設定内容が消滅したり、電力が復旧してもビデオのタイマー録画などが事前に設定した所定時間に動作しないなどの状態となることがある。このほか熱帯魚や活魚を飼育している場合には外部電源による電気製品は使えなくなるため空気の供給や水温の調整に注意が必要となる。 家庭内の電熱器具(アイロン・ドライヤー・電気ストーブ)は電源を付けたまま停電となると、停電から復帰して通電が始まった際に使用状況によっては火災の原因となることがあるため電源を切っておく必要がある。
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