パーフルオロオクタン酸とは? わかりやすく解説

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パーフルオロオクタン‐さん【パーフルオロオクタン酸】

読み方:ぱーふるおろおくたんさん

ピーフォアPFOA


ペルフルオロオクタン酸

(パーフルオロオクタン酸 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/28 02:41 UTC 版)

ペルフルオロオクタン酸
識別情報
CAS登録番号 335-67-1 
PubChem 9554
ChemSpider 9180 
EC番号 206-397-9
ChEBI
ChEMBL CHEMBL172988 
RTECS番号 RH0781000
特性
化学式 C8HF15O2
モル質量 414.07 g/mol
外観 刺激臭のある白色の固体[1]
融点

52〜54 °C [1]

沸点

189 °C [1]

への溶解度 不溶
その他の溶媒への溶解度 極性有機溶媒に溶ける
酸解離定数 pKa ~0[2][3][4]
危険性
GHSシグナルワード 危険(DANGER)
主な危険性 強酸、火傷、催奇形性、発がん性
NFPA 704
0
3
0
Rフレーズ R22 R34 R52/53
Sフレーズ S26 S36/37/39 S45
関連する物質
関連する化合物 ペルフルオロオクタンスルホン酸 (PFOS)
ペルフルオロノナン酸 (PFNA)
ペルフルオロオクタンスルホンアミド (PFOSA)
トリフルオロ酢酸 (TFA)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ペルフルオロオクタン酸(ペルフルオロオクタンさん、Perfluorooctanoic acid, PFOA, ピーフォア 通称:C8)は、完全フッ素化された直鎖アルキル基を有するカルボン酸である。共役塩基のアニオン界面活性剤として用いられ、PFO (perfluorooctanoate) と呼ばれる。

性質、合成

水にはほとんど溶けない (9.5 μg/L, 25 °C) [5]。フッ素化されていないオクタン酸よりも界面活性能が高い。ペルフルオロアルキル基はC-F結合エネルギーが高く、耐光性、耐熱性が高く、生分解をほぼ受けないとされる。ペルフルオロオクタン酸はフッ素テロマーのテロメリゼーションにより合成される。生体内半減期は4.3年であり、類似物質として法的規制を受けるペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)の生体内半減期8.7年に比較して、短期間である。

用途

ペルフルオロオクタン酸は、テフロンの商品名で知られるポリテトラフルオロエチレンを合成する際の添加剤、塗料のレベリング剤、水性膜形成泡消火剤、界面活性剤などに用いられる。

環境汚染

2000年に大手製造メーカーであった3M社は世界各地の野生生物中にペルフルオロオクタンスルホン酸が高濃度に検出されたことを明らかにし、同様の構造を有するペルフルオロオクタン酸についても製造を2002年に中止した。現在はデュポン社が製造を継続しており、その他フッ素樹脂メーカーで使用が継続されている。世界各国の政府、研究者がその影響の調査に乗り出している。 2006年1月25日アメリカ合衆国環境保護庁はフッ素樹脂製造メーカーに対して、ペルフルオロオクタン酸の排出の削減を求め、2015年までの排出の廃絶を目標とした。現在はストックホルム条約にて規制対象となっている[6]

出典

  1. ^ a b c 職場のあんぜんサイト:化学物質:ペルフルオロオクタン酸”. 厚生労働省. 2020年4月12日閲覧。
  2. ^ Goss K. U. (July 2008). “The pKa values of PFOA and other highly fluorinated carboxylic acids”. Environ. Sci. Technol. 42 (2): 456–458. Bibcode2008EnST...42..456G. doi:10.1021/es702192c. PMID 18284146. 
  3. ^ “Acid dissociation versus molecular association of perfluoroalkyl oxoacids: Environmental implications”. J. Phys. Chem. A 113 (29): 8152–8156. (July 2009). Bibcode2009JPCA..113.8152C. doi:10.1021/jp9051352. PMID 19569653. https://figshare.com/articles/Acid_Dissociation_versus_Molecular_Association_of_Perfluoroalkyl_Oxoacids_Environmental_Implications/2841688. 
  4. ^ “Theoretical studies on the pKa values of perfluoroalkyl carboxylic acids”. J. Mol. Struct. (Theochem) 949 (1–3): 60–69. (June 2010). doi:10.1016/j.theochem.2010.03.003. 
  5. ^ 製品含有化学物質のリスク評価 ペルフルオロオクタン酸” (PDF). 独立行政法人製品評価技術基盤機構、経済産業省製造産業局化学物質管理課、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課化学物質安全対策室. p. 7 (2019年9月). 2020年4月12日閲覧。
  6. ^ https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/int/pops.html

関連項目

外部リンク



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