トロサウルスとの関係とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > トロサウルスとの関係の意味・解説 

トロサウルスとの関係

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/29 17:23 UTC 版)

トリケラトプス」の記事における「トロサウルスとの関係」の解説

トロサウルス属 (Torosaurus) がトリケラトプス属 (Triceratops) のシノニムである可能性は、両者発見当初から長年議論されてきた。両者とも同じ地層から発掘される上、フリルなどを除いて形態的な差異がほとんど見られないためである。またトロサウルスは完全に成長しきったと見られる不完全な標本数個体分しか発掘されないにも係わらずトリケラトプス成長段階などをも含んだ50上もの化石次々と発掘されてきた。 こうした中、2010年トリケラトプス頭蓋骨形態を、成長段階従い数十個体渡って観察しなおし、トロサウルス比較した論文発表された。それによると、トリケラトプスフリル一部後頭骨-鱗状骨境界部分)は成長に従って薄くなり、開口に向かうこと。そしてそうした形態トロサウルスに非常によく似ることが示された。 トリケラトプス知名度の高さも手伝ってか、この研究2010年8月当時比較大きな話題となった。しかし中にはトリケラトプス消えてトロサウルス纏められるのでは」という、本来の論文趣旨とは全く相反する報道もなされ、これがツイッターなどを通じて拡散され混乱を招く事態起こった。だがそもそも論文の題名にもある通り、「トロサウルス消えてトリケラトプス纏められることになる」のが元々の情報であって上記のような報道は全くの曲解と言えるそもそも国際動物命名規約では、基本的に時系列先に記載された方を有効名とする規定になっており、この場合最初に記載された方であるトリケラトプスが有効名として認められる。またこの件に関して論文著者であるジャック・ホーナーらはその後も公式に「トリケラトプスが残る」ことを強調している。もっとも、トロサウルストリケラトプス同一種である事に関して2011年現在までにもいくつか反論出ており、そのまま一般論として定着しているわけではないその後、スキャネラとホーナーは、すべてが仮説によって容易に説明されわけではないことを認識した反論余地に対して、彼らはさらなる仮説立てた1つ問題は、トロサウルストリケラトプス正常な最後成熟段階であった場合(彼らが "toromorph"と呼んだ段階にしてもトロサウルス化石の産出量が少なすぎることだ。これは成体死亡率が高いことと、老齢トリケラトプス高所好んで住み侵食化石化を防ぐという可能性によって説明された。第2の問題は、トロサウルス亜成体存在示唆していると思われるトロサウルス標本サイズ範囲であった。これらのうち、彼らは骨の構造が完全に成熟した年齢示したものと主張し大きさ違い明らかな個体差であると主張した第3想定される異論は、開口部有無かかわらず個体間の移行形態を表す標本知られていないことであった既知全てのトロサウルス開口部は完全な形態で、他のカスモサウルス亜科亜成体見られるような初期穿孔中途半端な穴)とは異なる。それに対抗するために、彼らは、そのような過渡的形態の例として、論争の深いネドケラトプストリケラトプスでもトロサウルスでもない)のホロタイプ USNM 2412がまさにそれであると述べた ネドケラトプスにおいて問題とされる形質フリル小さな開口部があり、鼻角が非常に低い隆起になっている)は、単に「toromorph」に変換する第一段階にその存在反映するだけであるとした。最後の問題は、縁頭頂骨の数の違いである。トリケラトプスには、典型的に正中線縁頭頂骨を含む5対のホーンレットがあり、トロサウルスには10ないし12のそれがあり、正中線のものは欠けている。また、フリルの側縁には、トリケラトプスが5対、トロサウルスが6または7対の縁鱗状骨をもっている。これは、成長中にその数が増加した仮定して説明したホーンレット数と位置トリケラトプスとされている個体間でもバリエーションがあり、MOR2923に示されているように、トリケラトプスでも6つ縁頭頂骨を有するが、正中線のものが欠如しているものもあることが指摘されている。 スキャネラとホーナー結論満場一致では受け入れられていないいくつかの専門家は、 "toromorph"仮説正しいという可能性認めているが、否定余地が十分すぎるほど存在している。この仮説は、アンドリュー・ファルケの2011年論文とニコラス・ロングリッチの2012年論文によって直接対抗受けたファルケは、トリケラトプスとの同定主張していたスキャネラとホーナーに対してネドケラトプスという問題のある属をトリケラトプス属の成体または病気個体として再記載したファルケは、ネドケラトプスフリル不規則な穴の様子は、薄い骨が穿孔されたという状態とはほど遠く、厚い骨の腫瘍囲まれていると指摘したファルケはさらに、提唱されたようなトリケラトプスからトロサウルスへの移行いくつかの事実調和させることは無理があると結論付けた一般的にケラトプス科では、フリル成長しきると縁頭頂骨の数は増減しない。縁鱗状骨の数は変動することもあるが、幼体段階最大数に至るため、サイズとは関係がない。明らかに、これは個体差ではなく種差あるいは属差である。同様にケラトプス科では一般にフリルの穴の形成年齢に関係なく、新生個体でもその穴をもっている。ファルケは、トリケラトプスフリル上の薄い骨の領域初期の穴の位置判明している)は筋肉付着部として説明した開口部フリルの骨構造との間に一貫した関係はない。トリケラトプス多く標本にはフリル表面に深い静脈の跡があり、すでにかなりの高齢であることを示している。トリケラトプスフリル途中で穴が空くとすれば、彼らは若返らなければならず、その後、再びその穴を広げるために成長する必要がある最終的にファルケは、その巨大なサイズにもかかわらずトロサウルス標本YPM 1831は、その癒合進んでいない骨組織によって示されているように、まだ完全には成長しておらず、したがって真のトロサウルス亜成体であると指摘した ロングリッチは2012年に、改竄原則適用して問題調査した。スキャネラらの仮説の中から科学的に有効な試験可能な3つ選び調査行った。ロングリッチは、 "toromorph"仮説複数の点であり得ない主張した第一にトロサウルストリケラトプス同一であった場合両者化石は同じロケーションで見つかるはずである。実際には、その地理的範囲一部しか一致してしない。北部ではトリケラトプスのみが見つかり、トロサウルス化石は見つかっていない。逆に南部からはトロサウルスだけが知られている。しかしこのような状況トロサウルス化石比較少なくサンプリングが不完全であるという弊害よるものである可能性もある。したがって、ロングリッチはこの点による否定は完全にはできないが、証明することもできない結論づけた。第二に、すべてのトロサウルス標本成体であり、全てのトリケラトプス標本は非常に若いものであるという仮定に対して次のように反論した。ロングリッチによると、この最後の点はまだ確立されていない確かに2011年ホーナー解剖学的研究発表し調査されトリケラトプスすべての標本亜成体の骨構造保有していたことを示していたが、標本少なすぎてすべてのトリケラトプス化石有効な一般化ができていなかった。仮説をよりよく評価するために、ロングリッチは24個の頭骨外部形質リスト提案し頭骨要素癒合および成熟レベルに関して検体検査した。これらの基準適用して36点の標本調査した癒合典型的に特定の順序行われており、年齢に関する追加情報わかった実際これらの基準によって大半トロサウルス標本成体であるとわかった。しかし2つ例外があった。小さ個体であるANSP 15192は、成体ではあるが、鼻骨癒合進んでいない事によって示されるように、比較的若い。最も若い標本はYPM 1831で、鼻骨頬骨、上眼窩角の癒合進んでいなかった。さらに、フリルの縁は成長している若い骨の外見持っていたにもかかわらず、そのホーンレットをすべて失ってしまっていた。一方、ロングリッチは、調査されトリケラトプス頭骨のうち10点が、最も高齢トロサウルス標本と同じレベル成熟至っていることを突き止めた。ロングリッチは、この分析はスキャネラらの仮説を完全に否定した結論付けた3番目の仮定は、トロサウルストリケラトプスの間に移行型が見いだされる可能性があるというものだった。ロングリッチは、「トリケラトプスフリルの薄い領域が、移行期の最も強力な証拠として、開口部前駆体であった」というスキャネラらの主張検討した。しかし、これらの構造位置が完全に異なっていた。トリケラトプス窪みフリルの下の方に位置しトロサウルスの穴は壁面に完全に囲まれている。さらに、窪みはるかに厚い骨に接しトロサウルスの穴は細い骨で囲まれており、それとは別にトリケラトプス見られる窪み有している。ロングリッチは、仮説第3予測に関して破綻していることを突き止めた3つの仮説のうち、1つでも破綻するところ、2つ反証されているので、この仮説否定されるべきである。 ロングリッチはまた、「toromorph」仮説いくつかの追加反対示唆した縁頭頂骨の数に関して既知遷移形は存在しない。また縁頭頂骨は完全にフリルの縁を占めていたので、その数が増加する余地はなく、通常の成長プロセスではフリル本体一緒に大きくなるだけである。スキャネラらの提案した縁頭頂骨の侵食による分裂は、縁鱗状骨でのみ起こることであり、縁頭頂骨では決し確認されていないトロサウルス鱗状骨内側肥厚し外側凹面であり、トリケラトプスのそれは、内側窪んでおり、外側平坦である。中間型知られていないトロサウルス鱗状骨また、絶対サイズとは無関係に、より細長い。ロングリッチは、トロサウルス標本トリケラトプス標本組み合わせて1つ成長シーケンス作成すると、ANSP 15192とYPM 1831は回帰直線比べて完全な異常値を示すと指摘した。 ロングリッチは、ホーナー解剖学的研究トリケラトプス幼弱形質であるという事実を示唆したことには肯定的であったが、トリケラトプスは他のカスモサウルス亜科異なりネオテニー成熟して幼形形質を保つ)であるという代替的な説を提示した。ロングリッチは、再び個体差根拠としてスキャネラとホーナー反論してくるだろうと予想していた。しかしロングリッチによれば個体差というのは説得力が弱い。トロサウルスANSP 15192とYPM 1831のサイズ違いは、性的二形によって説明された方がまだよく、前者は若いメス成体後者オス幼体である可能性がある。 2013年ファルケとマイオリーノは、トロサウルストリケラトプス・ホリドゥストリケラトプス・プロルスス、およびネドケラトプス成長に伴う頭骨変化記録した形態空間形状空間)の統計解析結果である形態計測研究発表した成長期において、トロサウルス頭蓋骨は、T. ホリドゥスおよびT. プロルススとは異な形態保持していると結論付けた2種トリケラトプスは、その割合重複している。フリルの形を無視しても、これは当てはまる。ネドケラトプスは、サイズ以外はトロサウルストリケラトプス・ホリドゥスの間の妥当な移行型ではないことが証明された。ファルケとマイオリーノは、トロサウルス標本少なさはこの結果信頼性低下させているが、トロサウルストリケラトプス別個の分類群であると考えざるを得ない結論付けた。 これらの反論以降しばらく自説触れてこなかったスキャネラであったが、2015年トリケラトプスの属内進化に関する論文中で、以下のように述べている。トリケラトプストロサウルスが、異なるが近縁分類群だった場合、古い時代トリケラトプス・ホリドゥス成長途中でより原始的な頭頂骨特徴フリル開口部)を発現するかもしれない同時に癒合ていない鼻角をもつトロサウルスMOR 3005)を記載している。縁鼻角癒合角竜成長において重要な要素のひとつで、亜成体時期癒合する考えられる。これは toromorph仮説を自ら否定したようなものであるが、明言避けられている。

※この「トロサウルスとの関係」の解説は、「トリケラトプス」の解説の一部です。
「トロサウルスとの関係」を含む「トリケラトプス」の記事については、「トリケラトプス」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「トロサウルスとの関係」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「トロサウルスとの関係」の関連用語

トロサウルスとの関係のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



トロサウルスとの関係のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのトリケラトプス (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS