サハ204形 (T')
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「国鉄205系電車」の記事における「サハ204形 (T')」の解説
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サハ204形
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JR東日本が、ラッシュ時の混雑に対応するために客用扉を片側6か所とした車両で、1990年より全車両が近畿車輛で製造された。 本形式は、朝の最混雑時に対応して立席定員を増やせるように座席を跳ね上げる機能を有しており、車掌が運転席より自動で座席をロックさせることが可能になっている。座席が利用可能となる時間は線区ごとに異なり、山手線・埼京線・りんかい線は10時に、横浜線は9時にロック解除となる。ロックを解除すると座席端部に設置したランプが点灯し、乗客が手動で引き出して座席の使用が可能となる(これは安全面を考慮して手動式となっている)。収納については乗客のいない車両基地入庫後にボタン操作で自動収納(バネとガスダンパを使用)される。車内には解除時間まで座席を使用できない旨のステッカーが貼付されている。そのため、列車によっては入庫駅近くから利用可能となるものや乗客が引き出さない座席があるまま入庫するものもあった。また、いたずら防止のため乗客が一度引き出した座席はロックされ、手動での収納ができない。 車体はコストダウンと出来栄え向上のため、近畿車輌が開発した「パネル式構体」を採用している。これは外板をディンプル板と呼ばれる補強材を用いてパネル化したものである。仕様の見直しが行われ、各出入口は高さが 1,800 mm から 1,850 mm とされ、ドア間は1枚の縦長窓が配され、側窓は天地寸法 880 mm から 1,050 mm とされた。これは現代人の体格向上やラッシュ時に車内の圧迫感を減らすための目的でもある。パネル式構体のほか、側窓へのガスダンパー式バランサー機構のユニット式下降窓、ハニカム構造を用いた客用ドアなど、近畿車輌独自の技術を取り入れた意欲作となっている。 台車は従来の円錐積層ゴム式とは異なり、651系で採用したロールゴム式軸箱支持方式TR241B形が使用されている。また、けん引装置はリンク式からZリンク式に変更されている(この台車方式は900番台・0番台のみ)。 山手線からの転属車の車内(2004年8月6日、橋本駅) 折りたたみ式の座席 出入口天井部のサーキュレータ部(左側の天井グリル) サハ204形のTR241B形台車。なお、写真の車両ではロールゴム方式ではなく、円錐積層ゴム方式となっている。 座席の構造上、暖房機器を従来のように座席下に設置できなくなるため、鉄道車両ではあまり例がない床暖房が採用されている。このほか、従来どおり座席下にも小形のシーズ式ヒーターが設置されている。これは補助的なもので、座席が使用されている場合のみこのヒーターは稼動する。 冷房装置はドア開口部が大きいことから、従来より約 20 % の能力向上を図ったAU717形 (50,000 kcal/h・58.14 kW) を採用した。合わせて装置重量の大幅な軽減を図った。従来から使用していたAU75G形冷房装置では縦型レシプロ式圧縮機2台と室外送風機はアルミ鋳物製のプロペラファン構造であったが、AU717形では軽量・低騒音な横型スクロール式圧縮機2台と室外送風機は大幅な軽量化を図ったアルミ板金溶接プロペラファンに変更、さらにインバータによる能力可変制御(従来は三相交流を電源とする稼働率制御方式。なお、100番台は後述)の採用、熱交換器の薄型化、装置主枠の軽量化などを実施した。 この結果、冷凍能力を48.84 kW(42,000kcal/h)から58.14 kW(50,000kcal/h)に増強した半面、重量はAU75G形の本体 780 kg + 分電箱 11 kg からAU717形では605 kgと大幅な軽量化を達成した。天井部では補助送風機(ラインデリア)を4台から6台に増設し、また各ドア上部(12か所)にはサーキュレーターを設置している。 車内ではつり革の数を98個(増設前の4扉中間車)から150個へと大幅に増やし、合わせて中央通路にプロテクターの巻かれたスタンションポールを5本設置した。これは座席が収納式となり、ドア付近につかまる場所がなくなったために設置された。車内は扉が6つあるため座席数は通常の4扉車両(54席)よりも少ない30席である。ただし1人分の座席幅は450 mmに拡大されている。なお、上記の時間帯により使用できない補助座席という特殊性から、205系では唯一優先席を設けていない。一方で車両の端部を活用してここに車椅子スペースを設置するなどバリアフリーに対応している。 各ドアの非常用ドアコックはドアの上部にガラスで覆われて設置され、0・900番台は使用方法に「このガラスの中のハンドルを手前に引けばドアは手で開けられます。」と表記されているが、100番台は209系と同一スタイルのため「中のハンドルを手前に引けば、ドアは手で開けられます。」と表記されている。 山手線用の車両では1990年6月8日から、この6扉車において試験的に車内表示モニターによる情報提供サービスが開始されている。これはJR東日本が、乗客へのサービス向上などに配慮してタイムリーに情報を提供することを目的としたものである。 車内表示モニターはサハ204-901が5インチの液晶式、サハ204-902は6インチのブラウン管式の薄型ディスプレイを使用したもので、各扉上部にある点検フタ左右、片側12か所で、1両あたり24台が設置された。放送内容は文字放送によるニュース、天気予報、CM、スポーツ情報をはじめJR東日本のPRビデオや環境ビデオなどを流すものである。これは量産車でも正式に採用されている。屋根上の通風器(ベンチレーター)部には受信アンテナを、床下にはチューナー、制御用コントローラー、ゴーストキャンセラーがあり、これらを経由して車内モニターに表示される。 山手線以外では情報提供機器の支援設備がないため、E231系500番台投入によって埼京線や横浜線に転出した際に液晶ディスプレイと受信用アンテナを取り外している。この車両のみ行先表示器がなかったが、埼京線転属車は一部の窓を改造してLED式のものを設置している。 前述の通りE231系500番台への置き換えに伴い2005年4月17日をもって山手線での運用は終了し、同線で運用されていた900番台2両・0番台51両のうち、900番台2両と0番台50両は2001年から2008年にかけて川越車両センターへと転用されて埼京線・りんかい線で運用され、残る1両は2003年に鎌倉総合車両所(現・鎌倉車両センター)へと転用され、横浜線で同線に新製配置された100番台とともに運用されたが、E233系6000番台・7000番台への置き換えに伴い2014年2月をもって埼京線・りんかい線、同年8月23日をもって横浜線での運用も終了した。
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