埼京線・川越線
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埼京線・川越線では1989年7月1日から運用を開始し、川越車両センターの0番台10両編成 (Tc M M' T M M' T M M' Tc' ) が使用されていた。色は■。 1989年6月から翌1990年12月までに3回に分けて10両編成23本が新製投入された。埼京線には本来は新製投入車が25本投入される予定であったが、投入予定車のうち2本は中央・総武線用に転用されたため、103系の完全置き換えには2本不足することとなった。この103系の置き換えのため1990年5月22日付けで山手線から(ヤテ41編成)、5月31日付けで中央・総武緩行線から(ミツ23編成)1本ずつ転入した。 このグループより主電動機が内扇形に変更されている。基本的な仕様は山手線用に準拠しているが、埼京線と山手線は新宿駅 - 池袋駅間で併走(運転開始当時の区間)することから、車体カラー帯にはグリーン(緑15号)を採用したほか、前面に「埼京線」の線区表示を設け、乗客の誤乗車防止を図っている。 これ以降の車両(昭和63年度3次予算発注分:南武線向け中期車と中央・総武緩行線向けも搭載)では車内の快適性向上のため、マイコン式温度調整装置が導入されている(HS70形電子式温湿度調節器)。このほか、前面ジャンパ連結器を床下格納箱に収納、MR締切コック位置の移設、側面行先表示器の字幕検知をバーコード方式に変更している。また、配電盤を211系と同じ配置に変更したほか、同系で採用した多重表示装置(簡易モニタ装置)が搭載され、これに伴い計器盤の高さが上げられている。この簡易モニタ装置はドア開扉、非常警報、ブレーキ不緩解やMG出力異常、OCR(過電流)、OVR(過電圧)などの故障が発生した際、運転台に該当号車を含めたモニタリングをする装置である。 1996年3月の恵比寿延伸開業時に京浜東北線から3本と山手線から1本(ヤテ42編成)、さらに同年12月のダイヤ改正時に中央・総武緩行線から1本が転入した。この時点で埼京線用の本系列は10両編成30本の配属となる。山手線から埼京線に転属した本系列は ATC がそのまま残されたほか、ATS-SNとATS-Pが設置された。 当初の編成は Tc M M' T M M' T M M' Tc' だったが、2001年にハエ8編成が従来4号車に組み込まれていたサハ205-161に代わって山手線から転入したサハ204-902を2号車に組み込み、従来7号車に組み込まれていたサハ205-160を3号車に移した組成 (Tc M M' M M' M M' T T' Tc') に変更され、翌2002年からは6編成を除き、4号車と7号車に組み込まれていたサハ205形に代わって、2号車に加え3号車にも山手線から転入のサハ204形を組み込んだ組成 (Tc M M' M M' M M' T' T' Tc') へ順次変更された。(前述のハエ8編成もサハ205-160に代わってサハ204-11を3号車に組み込み、この組成に再度変更)この組成変更によって余剰となったサハ205形50両のうち46両は各線向けの転用改造を実施の上で、鶴見線、仙石線、武蔵野線へ転用され、T107,108,220,221の4両は廃車となった。 2002年12月1日より東京臨海高速鉄道りんかい線との相互直通運転が実施されている。これに伴い、前出のサハ205形転用車を除き行先表示器の幕式からLED式への交換が行われた。E233系7000番台での置き換え前では全車がLED式のものであった。また、ほとんどの編成において優先席付近のつり革が白色から黄緑色に交換されたが、2008年春までに他線区と同様にE233系タイプのオレンジ色のものに変更されている。 大転配では山手線からの転入のみで、11両編成(元ヤテ17編成)からサハ3両を抜いて別の編成のサハ204形2両を組み込んだ10両編成1本(ハエ31編成)と既存の編成のサハ205形を置き換えるためのサハ204形のみ2両の転入の仕方があった。しかし2004年の列車増発用に計画が一部変更され、さらに山手線の11両からサハ204形を抜いた10両編成1本(トウ54→ハエ32編成)が転入した。それと前後して転入車も含めて方向幕などのLED化が行われたが、既存編成のサハ205形はサハ204形に置き換えられて転出するため、これらのみ幕式で残された(これ以降はこれらのサハ205形を「埼京余剰サハ」と表記する)。 なお、サハ204-1 - 4が長らく編成から外れていたが、2007年12月から2008年2月にかけてハエ32・26編成のサハ以外の8両とともに検査を受けて出場した。その後、1月15日ごろにハエ1編成とハエ32編成で、2月9日にハエ2編成とハエ26編成でサハの組み替えが行われ、ハエ1編成にはサハ204-1・2、ハエ2編成にはサハ204-3・4が組み込まれ、サハ205-146・147はハエ1編成からハエ32編成へ、サハ205-148・149はハエ2編成からハエ26編成へそれぞれ組み込まれた。車両替えの際にサハ205-146から149の行先表示器がLED式のものに交換されている。これにより、検査を受けずに差し替えられたサハ205形4両が保留車に指定され、同年6月に廃車となった(後述)。 2009年12月28日と2010年1月末よりそれぞれ1本ずつ、計2編成に、痴漢件数最多路線ゆえの対策・試行として防犯カメラが設置されている。設置車両は埼京線で最も痴漢が多いとされる1号車である。2010年6月以降は埼京線で運用される205系の全32編成の1号車に防犯カメラを設置している。 なお、埼京線・川越線の205系0番台は2013年6月30日からE233系7000番台の運用が開始されたことにより置き換えが進み、2014年3月以降は全車4扉車のハエ28編成1本のみが運用された。これは埼京線では2017年秋にATACSの導入を予定していることから、それに伴う車両の改造時の予備車を確保するためで、期間限定で運用されていたものであった(予備運用)。同車は2016年10月で運転を終了し、富士急行譲渡改造分と廃車解体分の2回に分けて長野総合車両センターへ配給輸送の後、前者は同年11月9日に富士急行へ譲渡され「トーマスランド号」となり、後者は11日に廃車された。これにより、埼京線の205系は全車消滅した。 ← 新木場・大崎・恵比寿 大宮・川越 → 号車10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 形式クハ205(Tc) モハ205(M) モハ204(M') サハ205(T) モハ205(M) モハ204(M') サハ205(T) モハ205(M) モハ204(M') クハ204(Tc') 形式クハ205(Tc) モハ205(M) モハ204(M') モハ205(M) モハ204(M') モハ205(M) モハ204(M') サハ205(T) サハ204(T') 6扉 クハ204(Tc') 形式クハ205(Tc) モハ205(M) モハ204(M') モハ205(M) モハ204(M') モハ205(M) モハ204(M') サハ204(T') 6扉 サハ204(T') 6扉 クハ204(Tc') 上段が落成時点での編成、中段がハエ8編成のサハ204形6扉車1両組み込み当時の編成、下段がサハ204形2両組み込み後の編成である。 2013年現在はハエ26 - 30・32編成が上段の10両編成、それ以外の編成は下段の10両編成となっていた。
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