【インビンシブル】(いんびんしぶる)
Invincible.
「無敵」を意味する英単語。
英米海軍の艦船名として数度にわたって使われている。
- フランスから鹵獲した74門戦列艦。
旧艦名"L'Invincible".
- 18世紀に建造された「ラミリーズ」級3等戦列艦の4番艦。
1765年進水、1801年遭難沈没。
- 19世紀に建造された「ガンジス」級3等戦列艦の4番艦。
1808年進水、1861年除籍解体。
- 19世紀後半に建造された「ウォーリア」級装甲艦の一艦。
建造中に「ブラック・プリンス」と改名されて就役した。
- 「オーダシアス」級装甲艦の一艦。
- 20世紀初頭に建造された巡洋戦艦。
同型艦には「インドミタブル」「インフレキシブル」がある。
巡洋戦艦としては世界初の艦でもあった。
第一次世界大戦中の1916年、ユトランド沖海戦に参戦するが、独巡洋戦艦「リュッツオウ」の砲撃により戦没。
【スペックデータ】
常備排水量 17,290t~17,420t 全長 172.8m 全幅 22.1m 喫水 8.0m 機関 ヤーロウ式・石炭重油混焼水管缶×31基
パブコック&ウィルコックス式石炭重油混焼水管缶×31基(インドミダブル)
パーソンズ式二軸並列型直結タービン×2基4軸推進(41,000hp)燃料 石炭:3,805t
重油:710~725t最大速力 25.5ノット 航続距離 3,090海里/10ノット 乗員 784名 兵装 Mark X 45口径30.5cm連装砲×4基
Mark III 45口径10.2cm単装速射砲×16基
マキシム機関銃×7基
45cm水中魚雷単装発射管×5門装甲 舷側:152mm
甲板:64mm
バーベット:178mm
砲塔前楯:178mm
司令塔:254mm
【同型艦】
艦名 主造船所 起工 進水 就役 退役 その後 インヴィンシブル
(HMS Invincible)アームストロング社 1906.4.2 1907.4.13 1908.3.20 1916.5.31
ユトランド沖海戦で戦没インドミタブル
(HMS Indomitable)フェアフィールド社 1906.3.1 1907.3.16 1908.6.25 1920. 1922.解体 インフレキシブル
(HMS Inflexible)ジョン・ブラウン
造船所1906.2.5 1907.6.26 1908.10.20 1920.3.31 1923.
ドイツにて解体 - 1970年代に建造された軽空母。
V/STOL戦闘攻撃機・シーハリアーを搭載・運用する、世界初のSTOVL空母として竣工した。
詳細は該当項目を参照。
- USNS Invincible(T-AGM-24)
アメリカ海軍が運用するミサイル追跡艦。
艦の後部に「コブラ・ジェミニ」デュアルバンドレーダーを搭載し、弾道ミサイルや宇宙ロケットの軌道監視を任務とする。
当初は「ストルワート」級音響測定艦の10番艦(AGOS-10)として1987年に就役し、曳航式ソナーを搭載して潜水艦の発する海中騒音の測定任務についていたが、1995年にいったん退役、モスボールされていた。
その後、1999年にミサイル追跡艦に改装されて現役復帰となった。
【スペックデータ】
起工 1986.5.2 進水 1986.11.8 就役 1987.1.30 主造船所 タコマ・ボート・ビルディング 排水量
(基準/満載)1,565t/2,285t 全長 68.3m 全幅 13.1m 喫水 4.57m 機関 ディーゼルエレクトリック方式(出力1,600hp)
ディーゼルエンジン×4基
モーター×2基最大速度 11ノット 兵員 士官・兵員20名、民間技術者18名
【インビンシブル(空母)】(いんびんしぶる(くうぼ))
HMS Invincible R05
イギリスが建造した世界初のV/STOL空母(イギリス海軍における分類はCVS(支援空母))。
同型艦として「イラストリアス」(R06)と「アーク・ロイヤル」(R07)が存在する。
1973年に起工し、1977年に進水、1980年に竣工した。
当初は「指揮巡洋艦」として計画され、実質的にヘリコプター空母として建造されたが、設計段階からシーハリアーの搭載を念頭に置いていたため、後に軽空母となった。
しかし、就役時にはあまり大きな期待はかけられておらず、1982年にオーストラリアへの売却が予定されていたが、フォークランド紛争が勃発したことで契約は破棄され、急遽フォークランド諸島へと派遣された。
この紛争では英空軍のハリアーも搭載し、英軍の勝利に貢献した。
そしてこの活躍により、世界にV/STOL空母の有効性を示した。
(後述の通り)21世紀に入って老朽化・陳腐化が進んだことから、本級の後継として「クイーン・エリザベス」級正規空母の建造が進められているが、近年の全世界的経済不況と国防予算との兼ね合いから大幅な遅延をきたしており、就役は2023年ごろになるという。
その後
本艦は2005年7月に退役となり、その後、2010年まで有事に備えてモスボール保管されていた。
保管期限の満了後、本艦は主機関を撤去され、遊休国有資産などを競売する英国政府運営のオークションサイトに出品された。
これに対し、香港出身の在英中国人実業家が購入の意向を示していたが、最終的にトルコのスクラップ業者が200万ポンドで落札、スクラップとして処分されることになった。
また、3番艦の「アーク・ロイヤル」は2016年に退役の予定とされ、そのための艦齢延長工事も行われていたが、英国の国防予算削減の方針により2011年第1四半期限りで退役することとなり、同年3月11日に退役。
インビンシブルと同様にオークションにかけられ、インビンシブルを購入したトルコのスクラップ業者に290万ポンドで落札された。
残る2番艦の「イラストリアス」は、2010年に英軍からハリアーが退役したため、現在はヘリコプター空母として運用されており、2014年に退役する予定である。
スペックデータ
乗員 | 110名(航空要員384名) |
全長 | 210m |
全幅 | 36m |
喫水 | 8m |
排水量(基準/満載) | 16,000t/20,500t |
機関 | COGAG方式(97,000hps)2軸推進 オリンパス TM3Bガスタービンエンジン×4基 |
最大速力 | 28ノット |
武装 | シーダート発射システム(飛行甲板拡張時に撤去) ファランクス20mmCIWS×3基(後にゴールキーパー30mmCIWS×3基に換装) エリコンFF 20mm機関砲×2 |
レーダー | タイプ922捜索レーダー×1基 タイプ1006航法レーダー×2基 タイプ1022長射程対空レーダー×1基 |
火器管制レーダー | タイプ909火器管制レーダー×2基 |
ソナー | バウソナー |
艦載機 | シーハリアー×8機、シーキング×12機 フォークランド紛争時:シーハリアー×11機、シーキング×8機、リンクス HAS.2×2機 |
同型艦
艦番号 | 艦名 | 主造船所 | 起工 | 進水 | 就役 | 退役 | 備考 |
R05 | インヴィンシブル (HMS Invincible) | ヴィッカース | 1973.7.20 | 1977.5.3 | 1980.7.11 | 2005.7. | 2011.2 スクラップとしてトルコに売却 |
R06 | イラストリアス (HMS Illustrious) | スワン・ハンター | 1976.10.7 | 1978.12.14 | 1982.6.20 | ヘリコプター空母として運用中。 | |
R07 | アーク・ロイヤル (HMS Ark Royal) | スワン・ハンター | 1978.12.14 | 1981.6.2 | 1985.11.1 | 2011.3.11 | 2012.9 スクラップとしてトルコに売却 |
派生型
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