アルスター物語群
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アルスター物語群『クアルンゲの牛捕り』(クーリーの牛争い)では、ルーは英雄クー・フリンの超自然的な父親として登場する。アルスターの王コンホヴォルの妹デヒテラは、鳥達に導かれて妖精の丘に行き、ある夫婦の家で一晩過ごす。デヒテラは、その夫婦のあいだに誕生したばかりの男児と2頭の仔馬を預かり、我が子のように可愛がるが、その甲斐もなく、その子供は病気で死んでしまう。悲しみにくれるデヒテラは、コップの水に入った虫を誤って呑み込んでしまう。同じ夜、彼女の夢の中にルーが現れ、妖精の丘に連れ出し一夜の宿を与えたのも、可愛がっていた子供の親も自分であると名乗った。さらに、その子はおまえの胎内に居るゆえ生まれたらセタンタと名付けるべし、また2頭の仔馬はセタンタが成人した時その戦車を引く馬になるから一緒に育てよ、と告げた。懐妊したデヒテラは、やがてセタンタ(後のクー・フリン)を産んだ。 また、クー・フリンがスカアハの治める「影の国」へ向かう最中、「不幸の野原」(アイルランド語: [Mag] ndobail)の沼地に足を取られ、暗闇の中で苦しんでいた。そこにエオフ・バルヘ(?)(Eochu Bairche)という青年が現れてクー・フリンに車輪を渡し、車輪を転がしてその後を進むよう助言した。(一説によればこの青年はルーの仮の姿であった)。クー・フリンがそのようにすると、車輪からは火花が飛び散り、周囲を明るく照らしながら熱で沼地を乾かしたので、クー・フリンは「不幸の原」を通りきった。クーリーの牛争いでは、孤軍奮闘でコナハト軍を相手に戦うクー・フリンは、ロフとの対決でモリガンの妨害で負傷する。このクー・フリンの前にルーが現れ、彼に眠る猶予を与えるため、そののち3日間クー・フリンの身代わりにメイヴ女王の軍と戦った。
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アルスター物語群
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「アイルランド神話」の記事における「アルスター物語群」の解説
詳細は「アルスター物語群」を参照 アルスター物語群は伝統的に第1世紀(西暦元年-100年)前後に設定されており、大半の行動がアルスターおよびコナハト地方で起こったことである。それは、アルスターの王コンホヴァル・マク・ネサの生涯や、ルグの息子である偉大な英雄クー・フーリンの生涯、そして彼らの友人や恋人、および敵たちを扱う英雄譚の集まりで構成されている。これらはウラッド(英語版)、またはアイルランド北東端の人々であり、物語の動きはアーマーの近代的な街付近にあるエヴァン・マハ(英語版)(愛: Emain Macha)の王宮法廷を中心にしている。ウラッドはスコットランドにおけるアイルランドの植民地と密接な関連があり、クー・フーリン訓練の一部はその植民地で行われた。 この物語群は、英雄の出生、幼少期の訓練、求婚、戦い、宴会、死亡の物語で構成され、戦闘は主に単一の戦闘からなり、富が牛で測定される戦士社会を反映している。これらの物語は、主に散文で書かれている。 アルスター・物語群の主題は『クーリーの牛争い』(愛: Táin Bó Cúailnge)である。他の重要な物語としては、『アイフェの一人息子の最期』(愛: Aided Oenfir Aífe)、『ブリクリウの饗応』(愛: Fled Bricrenn)、『ダ・デルガの館の崩壊』(愛: Togail Bruidne Dá Derga)がある。ディアドラの悲劇としてよく知られ、ジョン・ミリントン・シング、ウィリアム・バトラー・イェイツ、ヴィンセント・ウッズ(英語版)の演劇の原典である、『ウシュリウ(ウシュナハ)の息子たちの流浪』もこの物語群の一部である。 この物語群は、少なからず神話物語群に近いものがある。 一部のキャラクターが後年にも再登場しており、姿形を変える同じ種類の魔法など、厳格でほとんど非情な写実主義と並んで(神話群に近い)多くの証拠がある。メイヴやクーロイ(英語版)のような、かつて神格とされたいくつかの人物は怪しいが、特に超人的な豪勇を誇ったクー・フーリンは、命がある(死んでしまう)キャラクターながら特定の時間と場所に関連付けられている。仮に神話物語群が黄金時代を表すなら、アルスター物語群はアイルランドの英雄時代と言える。
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アルスター物語群
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「フェルグス・マク・ロイヒ」の記事における「アルスター物語群」の解説
フェルグスは、コンホヴァル王の前のアルスター王であった。彼はコンホヴァルの母ネスの愛人でもあり、ネスは「自分の息子を1年のあいだ王にするなら、妻になってもよい」という条件でフェルグスを受け入れた。この条件は実行され、コンホヴァルはとても人望があることを示したので、人々はコンホヴァルを恒久的な王に選んだ。フェルグスは王としてあることより、狩りをしたり宴を催したりするほうを好んだため、喜んで王位を譲った。 しかしのちに、彼はノイシュとディアドラの事件におけるコンホヴァルの不誠実な振る舞いに嫌気がさし、一族もろともコナハトへと寝返る。それでも、養い子でありアルスターの英雄でもあるクー・フーリンへの深い愛情を忘れることはなく、物語『クーリーの牛争い』においては、クー・フーリンの幼少時代の業績をコナハト人に語って聞かせたり、クー・フーリンの手助けをする。
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アルスター物語群
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「ロイグ・マク・リアンガヴラ」の記事における「アルスター物語群」の解説
ロイグは、クー・フランの愛馬「リアト・マハ(マハの灰色)」とドゥヴ・サングレン(サングレンの黒毛)の二頭立ての戦車を巧みに操る御者であった。また超自然的な力も有しており、魔法をかけて戦車を見えなくすることが可能であったという。ロイグはクー・フランの相棒として、友のピンチを幾度と無く救う。 ロイグの最期は物語「クー・フランの死」にて詳しく語られている。この物語では、無敵のクー・フランが彼を逆恨みする者達の企みと魔術で、ゲッシュを冒し命を落とす様が描かれている。当時のアイルランドには、詩人に対して何物をも惜しまないというある種の掟があったが、カリブレ(英語版)の息子エルクはこの掟を逆手に取り、クー・フランの槍を奪うことに成功する。そしてクー・ロイの息子ルガズは、「王はこの槍で落つる」と叫びながらクー・フランの戦車目掛け槍を投擲し、御者の王ロイグを貫く。ロイグは「傷を負った」と言い残し、クー・フランに看取られながら絶命した。
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アルスター物語群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/08 04:26 UTC 版)
夫のアリル・マク・マータとどちらの保有する財産が多いかという比べあいを行い、それに端を発したクーリーの牛争いにおいて、コナハト軍を度々苦しめたクー・フーリンを憎み、彼がゲッシュ(禁忌)を破って死ぬきっかけを作る。 スライゴーの町を流れる河の水源はメイヴ女王の聖泉で、この水面は処女、母親、老女の三つの姿を示すともいえるが、メイヴ女王の三つの面(権威、悪、狂気)を示している。また、メイヴ女王の印・三脚巴(トリスケリオン)も三相一体の女神の特徴を示している。 伝承によって、彼女はウラド王コンホヴァルや、他王の妃であるともされる。このような描写から、メイヴはもともとキリスト教伝来以前の地母神の名残ではないかと推測されている。
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