十津川郷の山村生産用具とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 文化 > 国指定文化財等データベース > 十津川郷の山村生産用具の意味・解説 

十津川郷の山村生産用具

名称: 十津川郷の山村生産用具
ふりがな とづがわごうのさんそんせいさんようぐ
種別 生産生業用いられるもの
員数 3174点
指定年月日 1991.04.19(平成3.04.19)
所有者 吉野郡十津川村
所有者住所 奈良県吉野郡十津川村
管理団体名:
備考 自然物採集73点,狩猟川漁300点,農耕369点,畜産32点,養蚕135点,炭焼84点,山480点,木挽71点,木工476点,石工51点,鍛冶屋102点,手仕事50点,紡織193点,運搬290点,仕事着156点,飲食携行89点,灯火39点,信仰儀礼184
解説文:  奈良県西南端に位置する十津川郷は、十津川北山川いずれも熊野灘に注ぐ熊野川支流)の流域占める。古来秘境として名高い。その総面積は約六七二平キロメートル広大である。東西三三キロメートル余で南北三三キロメートル弱であり、その周囲は、大峯山脈(東境)、天辻山系(北境)、伯母山地(西境)及び果無【はてなし】山脈南境)と一、〇〇〇メートル級以上の峻峰連なりさえぎられている。この地域は、全面積の九六パーセント山林原野樹種が豊富である。ここに古くから住みついた人々は、蛇行する川筋平坦地緩傾斜地を選んで住居構えくらしを立ててきた。現在、この地域行政的に七区分されているものの、生活単位数えれば五四ジゲ大字ザイショダイジともいう)に分けられており、そこに二百十余のカイト小字バンクミともいう)が点在している。
 この十津川郷の山村生産用具は、約三〇年間歳月費やし収集整理し体系化したものである。当初は、奈良県立十津川高等学校収集整理に当たり、それを引き継いだ十津川村新たに広範多岐にわたって収集したものを整理し、まとめたものである。それらが全体として十津川郷において営まれてきた山村生産実態変遷推移とを裏付ける内容となっている。
 そのコレクションは、生産活動に応じて自然物採集用具狩猟川漁用具農耕用具畜産用具養蚕用具炭焼用具、山用具木挽用具木工用具石工用具鍛冶屋用具手仕事用具及び紡織用具十指にあまる分野大別して網羅するとともに、それらの活動いずれかに関係する運搬用具仕事着飲食携行用具灯火用具及び信仰儀礼用具含めて構成されている。
 それら用具類には注目に値するものが少なくない
 自然物採集用具は、山野自生する多く草木類を衣食住活用など利用するために使われたものである。トチノミワリ(栃の実割り栃餅用)や彼岸花球根掘り起こし灰汁抜きする(オイモチ〈おい餅〉用)用具類などが収められている。
 狩猟川漁用具では、タヌキ)を巣穴から引き出ネジリボウ(捻じり棒)や獲物の処理・加工用のハリワク(張り)・ハリボウ(張り棒)、掴み漁用のウナギバサミ(ばさみ)や見突き漁用の各種ヘシ(〓【やす】)、引掛け漁用のミズカガミ水中覗き漁具)・チョンガケ(先が一本引掛け漁具)など、一見単純に見えるものながら、人々創意工夫跡付けるのである
 農耕用具稲作用具畑作用具とに分け、各作業応じた用具配している。それらのうち、人力耕起用の各種の鍬類、畜力(牛)耕起用のタスキドウグ(カラスキ〈犂〉・ハナヅナ鼻綱〉等)、タシバ(緑肥用の入れ用のオシギリ(押切り)・タゲタ田下駄)、脱穀用のシゴキオケ()、選別用のイタミ(板箕)などの稲作用具麦作用いられ種子蒔き用のムギマキツナ(麦まき綱)、草取り用のヒトツメ・フタツメ(前者は爪が一本後者はそれが二本)、麦扱き用では箱付きのムギスゴキなどは農耕実際を知る上で注目される。ワゲンドウは樹皮輪状曲げた貯蔵用大型容器ケヤキ)の樹皮作られている。
 続いて位置付けられている畜産用具は、農耕用の役牛関わるものの一式である。カイバオケ飼葉桶)は結物であり、フネ(木)は刳物である。また、養蚕用具炭焼用具は、副業的性格の濃い職種のものである前者にクワツミ・クワバサミ・クワスゴキなど各種桑摘み用具含まれていること、後者備長炭を焼くエブリ柄振)・エブリツリ(柄振吊り)などの用具見られることが注目される
 山用具は、ここの基幹産業従った者たちが用いたのである。ジアラケ(地拵え)や伐採用具一式として植林後から丸太伐り・集材までに使う各種の鎌・鉈・鋸・ヨキ(斧)を巨細取りまとめている。樹皮剥ぎ用の木製鉄製ヘラをはじめカワハギホウチョウ・カルコ(足場用具)などは、立木のまま樹皮剥いだことを実証するものとして注目されるまた、ハツリ用具では多様なヨキとともに各種カスガイ(鎹)が収められている。さらに、木挽用具では、リンダイ挽き割り台)とその付属用具及びマエビキ(前挽鋸)と呼ばれる縦挽鋸が数多く収められている。
 木工用具は、刳物用具曲物用具結物用具及びその他(主として家大工用具)に分けられ、各一式配されている。そのうち、とくに注目されるのは曲物作り用のもので、樹皮表皮など)を曲げ、耳付けし、漆を塗って下絵付けして仕上げたヤロウ煙草入れ)・ガッタロウ(煙草入れ付き煙管)などの製作用具はよく収集されており、貴重である。
重要有形民俗文化財のほかの用語一覧
生産、生業に用いられるもの:  北佐渡  北武蔵の農具  北陸地方の木地製作用具  十津川郷の山村生産用具  南佐渡の漁撈用具  南部杜氏の酒造用具  吉野林業用具と林産加工用具



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「十津川郷の山村生産用具」の関連用語

十津川郷の山村生産用具のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



十津川郷の山村生産用具のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
文化庁文化庁
Copyright (c) 1997-2025 The Agency for Cultural Affairs, All Rights Reserved.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS