「変節」と政界入りとは? わかりやすく解説

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「変節」と政界入り

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 05:09 UTC 版)

徳富蘇峰」の記事における「「変節」と政界入り」の解説

従軍記者として日清戦争後旅順にいた32歳の蘇峰は、1895年明治28年4月のロシア・ドイツ・フランスによるいわゆる三国干渉の報に接し、「涙さえも出ないほどくやしく感じ激怒して角なき牛、爪なき、嘴なき、掌なき熊」と日本政府批判し国家対す失望感吐露した。 蘇峰は、 この遼東還付が、予のほとんど一生における運命支配したといって差支えあるまい。この事を聞いて以来、予は精神的にはほとんど別人となったこれと言うのも畢竟すれば、力が足らぬわけゆえである。力が足らなければいかなる正義公道も、半文価値もないと確信するいたった。 — 『蘇峰自伝』 と回想している。 遼東半島還付三国干渉)に強い衝撃受けた蘇峰は、翌1896年明治29年)より海外事情を知るための世界旅行に出かけた。同行したのは国民新聞社社員深井英五であった蘇峰は、渡欧する船のなかで「速やかに日英同盟組織せよ」との社説を『国民之友』に掲載した。その欧米巡歴は、ロンドン皮切りにオランダドイツポーランド経てロシア入りモスクワでは文豪レフ・トルストイ訪ねたその後パリ入ってイギリス戻り、さらにアメリカ合衆国渡航している。ロンドンでは、『タイムズ』や『デイリー・ニューズ』などイギリスの新聞界と密に接触し日英連繋根回しをおこなっている。このころから蘇峰は、平民主義からしだいに強硬な国権論国家膨脹主義へと転じていった。 帰国直後1897年明治30年)、第2次松方内閣内務省勅任参事官就任従来強固な政府批判論調をゆるめると、反政府系の人士より、その「変節」を非難された。 蘇峰は「予としてはただ日本男子としてなすべきことをなしたるに過ぎず」と述べているが、田岡嶺雲蘇峰対し一言の氏に寄すべきあり、曰く一片真骨頂を有てよ。説を変ずるはよし、節を変ずるなかれと」と記して批判し堺利彦もまた「蘇峰君は策士となったのか、力の福音屈したのか」とみずからの疑念表明した1898年明治31年)には『国民之友』の不買運動がおこり、売り上げ低迷した蘇峰は、この年8月国民之友のみならず家庭雑誌』『欧文極東』も廃刊して、その言論活動を『國民新聞』に集中させた。なお、蘇峰政治的姿勢変化については、有力新聞基盤として政治家交際し政界官界影響力持った政客として活動することで政治動かそうとしたとして肯定的な評価もある。 蘇峰こののち山縣有朋桂太郎との結びつき深め1901年明治34年6月第1次桂内閣成立とともに桂太郎支援して、その艦隊増強案を支持し続け1904年明治37年)の日露戦争開戦に際して国論統一国際世論への働きかけ努めた戦争が始まるや、蘇峰支持した艦隊増強案が正しかった評価され、『國民新聞』の購読者数は一時飛躍的に増大した。しかし、1905年明治38年)の日露講和会議報道では講和条約ポーツマス条約調印について、 図に乗ってナポレオン今川義元秀吉のようになってはいけない。引き際大切なのである。 と述べて唯一賛成立場をとったことから、国民新聞社御用新聞売国奴みなされ9月5日日比谷焼打事件に際しては約5,000人もの群衆によって襲撃受けた。社の印刷設備破壊しようとする暴徒社員社屋入り口付近もみ合いとなり、駆けつけ日比野雷風抜刀してかろうじて撃退している。 1910年明治43年)、韓国併合ののち、初代朝鮮総督寺内正毅依頼応じ朝鮮総督府機関新聞社である京城日報社監督就いた。『京城日報』は、あらゆる新聞雑誌発行停止となった併合後の朝鮮でわずかに発行許され日本語新聞であった。 翌1911年明治44年8月24日には貴族院勅選議員任じられている。前年5月には大逆事件検挙始まり1911年明治44年1月には幸徳秋水24人に死刑判決下った。弟の蘆花は、桂太郎首相に近い蘇峰対し幸徳らの減刑助命忠告をするよう求めたが、処刑執行速やかにおこなわれたため、間に合わなかった。 1912年明治45年7月30日明治天皇崩御蘇峰明治天皇死について国家一大秩序は、実にわが明治天皇御一身つながりしなり。国民陛下崩御とともに、この一大秩序を見失いたるは、まことに憐むべきの至りならずや。 と言及している。同年専門学校令による同志社大学開校際し政治経済学部委員長就任

※この「「変節」と政界入り」の解説は、「徳富蘇峰」の解説の一部です。
「「変節」と政界入り」を含む「徳富蘇峰」の記事については、「徳富蘇峰」の概要を参照ください。

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