《なので》の敬語
「なので」の敬語表現
「なので」は、センテンスの前後をつなぐ順接の連語です。前の事柄が原因や理由となって後ろの事柄を引き起こすといった因果関係を示し、意味の上では「だから」と言い換えることができます。文法上は、断定の助動詞「だ」の連体形である「な」に、原因・理由を示す接続助詞の「ので」が結合した用語となります。「なので」はこれ自体には敬語の要素はありません。そのため「なので」の「な」の基本形である「だ」を丁寧語の「です」に改めて、「ですので」と言い換えることで、相手に対する敬意を示す表現とすることができます。「なので」の敬語の最上級の表現
「なので」の敬語表現は「ですので」となりますが、これを最上級の敬語表現とするためには、「です」をさらに丁寧な言葉で表して「でございます」と言い換えます。「ございます」は動詞の「ある」を丁寧に表現した言葉ですが、格助詞の「で」と組み合わせて「でございます」という連語にすることによって、「です」と同じ働きを持たせることができます。そのため「でございますので」が「なので」の最上級の敬語表現だということなります。「なので」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
文語表現は口語表現よりも丁寧にするのが通例なので、ビジネスメール・手紙においては丁寧な敬語表現を使うのがマナーです。そのため、丁寧語ではなく、尊敬語もしくは謙譲語の敬語表現を使うのが適切です。尊敬語のメール例文:お世話になっております。先日のコンペの参加賞を皆様にご用意させていただきました。どうぞお納めください。
謙譲語のメール例文:平素からお世話になっております。プロジェクトの企画案を拝受いたしました。早々にご対応いただき誠にありがとうございます。
また、ビジネスメール・手紙においては同じ言葉を繰り返すのではなく、「受け取る」という意味の敬語表現を使い分け読みやすく書くことも大切です。
メールの例文:見積書をお送りいたしました。ご査収のほどよろしくお願いいたします。
メールの例文:先ほど、注文書を拝受いたしました。早速納品の準備に取り掛かり、発送させていただきます。
メールの例文:本日納品いただいた商品は、全て検収しました。誠にありがとうございます。"
「助かりました」の敬語をビジネスメールや手紙で使用する際は、差し出す相手によって使い分けに注意する必要があります。たとえば相手が自分の同僚や目下の人であれば丁寧表現である「助かりました」をそのまま使ってもかまいません。「すぐにメールを返してくれたおかげで助かりました」「先日はシフトを代わってくれてありがとう。おかげで助かりました」「先日はプレゼンお疲れ様。君がしっかり資料をまとめてくれていて助かりました」などと使います。
一方で、差し出す相手が目上の人であったり、取引先であったりする場合は、丁寧表現ではなく謙譲表現を使って自分がへりくだり相手に対する敬意を強めなくてはなりません。「厚く御礼申し上げます」「ありがたく御礼申し上げます」「心より感謝申し上げます」などがよく用いられる表現です。たとえば「この度は格段のご支援をたまわり、厚く御礼申し上げます」「先日はお忙しい中ご臨席たまわり、ありがたく御礼申し上げます」「前回の会議で頂戴しました貴重なご指摘、心より感謝申し上げます」「日頃はひとかたならぬご愛顧を頂戴し、衷心より御礼申し上げます」などと使います。
"「お忙しい中、ご協力いただきまして、誠にありがとうございます」
「プロジェクトの成功にあたり、ご助力に深く感謝いたします」
「展示会の開催にお力添えをいただき、厚く御礼申しあげます」
「長きにわたる弊社へのご高配、痛み入ります」
「多大なご支援をいただき、たいへん恐れ入ります」
「ご多忙のところ申し訳ございませんが、本日中にご回答いただけましたら幸いです」
「事前にご連絡をいただけますと、幸いでございます」
「ご都合のよい日程を、いくつか教えていただければ幸いに存じます」
「今回の企画にご賛同いただけましたこと、幸甚に存じます」
「なので」を上司に伝える際の敬語表現
「なので」はカジュアルな口語表現ですので、ビジネスシーンで目上にあたる上司にそのまま使う言葉としてはふさわしくありません。上司に伝える際は「ですので」と言い換え、相手への敬意を表した丁寧な言葉遣いとなるように改めます。また、「打ち合わせが夜になりました。なので、直帰します」のように、「なので」を会話の文の冒頭に使うケースもありますが、この場合は「ですので、直帰します」とは言い換えません。それは「ですので」が単独の接続詞としては使えない言葉だからです。ここは「ですので」の代わりに「したがいまして」「そのため」などを用いて伝えるようにします。「なので」の敬語での誤用表現・注意事項
「なので」はこれ自体は活用がない体言であり、単独で接続語になる接続詞としては用いることができないものとされています。したがって、本来は文頭に置くことができませんので、たとえば「取引先との打ち合わせが夜になりました。なので、本日はそのまま直帰いたします」という言い方は誤用だということになります。しかし、日常生活の中で非常に使用頻度の高い言い回しであることから、最近では慣用表現として許容される傾向にあります。とはいえこれはあくまで例外であって「なので」の敬語表現にあたる「ですので」には適応されない用法であるという点には注意が必要です。「なので」を文の冒頭に置く場合、それに相当する敬語表現は「ですから」となります。「ですから」は「だから」の丁寧な言い方ですが、「だから」は「なので」と違い、単独で接続詞になることができる言葉です。したがって「だから」の丁寧な言い方である「ですから」も冒頭に置くことができるということになります。しかし「ですから」は強く断定する意味を持っており、言い方によっては相手に威圧感を与えてしまう語気の厳しい言葉ですので、目上の人に使うにはあまりふさわしくない言葉遣いでもあります。目上の人には「ですから」は使わず、「したがいまして」や「そのため」といった別の表現を用いるようにします。
「なので」の敬語での言い換え表現
「なので」の敬語での言い換え表現としては、「つきましては」「そのようなわけで」をあげることができます。「つきましては」は、「就きましては」と表記し、理由を表す「~のために」や対象となる事柄を受ける「~に関して」などの意味を持つ動詞「就く」に、丁寧語「ます」の連用形である「まし」と助詞の「て」「は」が組み合わさった連語です。また、「そのようなわけで」は、前の話題を広く指し示し、それを背景・理由とする事情を述べる接続詞的な連語「そんなわけで」を丁寧語「そのような」に言い換えた敬語表現となります。《なので》の敬語
なのでの敬語表現
「なので」は断定を意味する助動詞の「だ」の連体形の「な」と、理由や原因の意味を持つ接続助詞の「ので」を組み合わせた言葉です。なので単体を独立して使うことはできず、「AなのでB」のように他の言葉と結びつけるのが正しい使い方になります。なのでは敬語ではないので、言い換えるなら「ですので」「そのため」などを用います。また、なのでは話し言葉でもあることから公文書や論文などの文章には適していません。なのでの敬語での誤用表現・注意事項
なのでの敬語表現は「ですので」「そのため」などがありますが、いずれの場合も文章の最初に用いることはできません。接続詞は言葉同士を繋げるために用いるので、文章の最初に置くと意味が通じなくなるためです。日常会話では話の最初に「ですので」「そのため」と言うことがありますが、これはその前に行った会話と繋げる意味があります。文章にすると「●●になりました。ですので××」と繋げることができます。しかし、文章の場合は「。」を置くとそこで完結してしまうので、同じ文章にするため「、」と置き換える必要があります。また、「ですので」「そのため」単体には肯定や否定の意味はありませんが、一般的には前後の文章を肯定的に結ぶ目的で使われます。「これは○○です。ですのであれは××です」と使うのは普通ですが「これは●●です。ですのであれは▲▲ではありません」と使うのは一般的ではありません。間違いではありませんが不自然に感じられるのも事実なので、文章を作成する際は他の言い回しを用いるなど表現方法に気を配る必要があります。なのでの敬語での言い換え表現
なのでを敬語で言い換える表現にはいくつもの例があります。「ですので」なら「人気商品ですのでお早めにお買い求めください」のように使います。「そのため」なら「大雨で川が増水しています。そのため、河川敷での花火大会は中止です」と使うことができます。かしこまった文章なら「したがいまして」が適しているので「この駐車場は会員専用です。したがいまして、会員以外の方が利用することを固く禁止しております」と使います。敬語でもややフランクな印象を持たせる言い換え表現として「ですから」があります。「ですから」は話し言葉でも多用されるので公的な文書など格式が求められる文章には不向きですが、馴染みやすい雰囲気を持たせるのに最適です。「用意された道具が不足しています。ですから自分で新しく買い揃えました」と会話のような文章を作ることができます。- 《なので》の敬語のページへのリンク