《なるべく早く》の敬語
「なるべく早く」の敬語表現
「なるべく早く」を相手に使う敬語表現は「できるだけ早くお願いします」「できる限り早くお願いします」といった形です。「なるべく」はやや平易な表現なので、目上の人への言葉遣いとして適切ではありません。「できるだけ」や「できる限り」に直した後で、丁寧に頼みごとをするときに使う「お願いします」を付け加えます。自分の行動を指す場合には「できるだけ(できる限り)~いたします」にしましょう。「なるべく早く」の敬語の最上級の表現
「なるべく早く」の敬語を最上級にすると、「早急によろしくお願い申し上げます」となります。日本語では、普段使わない言葉を使うことで、相手への特別感を示す習慣があります。「なるべく」を「早急に」に置き換えれば、より丁寧な言葉遣いとなるでしょう。そのうえで、「お願いします」の最上級である「お願い申し上げます」を付け加えます。自分の行動について指す場合も「早急に~いたします」の形に直します。「なるべく早く」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「なるべく早く」の敬語はビジネスシーンで頻繁に用いられてきました。以下、取引先や顧客相手へのメール、手紙の例文を挙げていきます。「申し訳ございませんが、できるだけ早くご回答をお願いします。納期が差し迫っておりますので、急いでおります」
「お電話にておおまかな事情は理解できました。できる限り早く、問題のある商品を送っていただけるようお願いします」
「先方への訪問ですが、できる限り早くお願いします。お話ししたところ、他社もアプローチしているようでしたので」
「昨日ご連絡いただいた見積書の件ですが、できるだけ早く訂正いたします。明後日まで待っていただけませんか」
「できるだけ早く御社の見解を送ってもらえるようお願いします。それを踏まえ、弊社との契約を考えさせてください」
「うかがいたいことは先ほどのメールですべて理解いたしました。できるだけ早くご回答いたします」
「コンペティションの出欠ですが、実はほかの企業様はすべて意思表示してくれています。できる限り早くお願いします」
「できる限り早く会場を手配いたします。そのうえで、御社のセミナーの方向性をご提案させてください」
「なるべく早く」を上司に伝える際の敬語表現
「なるべく早く」を上司に伝える際は、主語が相手でも自分でも「早急に~」の形にしましょう。「早急にお願い申し上げます」や「早急に~いたします」の言い回しにしなければ、上司に対して失礼な印象になりかねません。なぜなら、「なるべく早く」「できるだけ早く」といった言葉は、相手を急かす可能性が高いからです。目上の人に向けた言葉として適切とはいえないでしょう。そこで、「早急に」のような難しい言葉に置き換え、意味をぼかすのが礼儀です。「なるべく早く」の敬語での誤用表現・注意事項
ビジネスシーンでは「なる早」というフレーズがあります。これは「なるべく早く」を略した表現であり、「なる早で対処いたします」のように使われてきました。ただし、正確な敬語が求められる場所では、略語は好ましくありません。「なる早」という言葉を使っていいのは気心の知れた相手に対してのみです。上司や取引先、顧客には「できるだけ」「できる限り」「早急に」といった言葉を用いましょう。次に、「できるだけ早く~してください」「できる限り早く~できませんか」といった表現もあります。これらのフレーズは、日本語として間違いではありません。むしろ、本当に差し迫っている場合ではこれらの表現を用いることもありえるでしょう。しかし、「できるだけ早く」の後に「してください」「できませんか」と続けるのは、かなり強い要求のニュアンスが含まれてしまいます。そのため、相手によっては不快に感じる可能性もあります。よほどの緊迫した状況でない限り、使わないほうが無難な言い回しです。
そして、ビジネスシーンで誰かに向かって「できるだけ早く~」「できる限り早く~」などのフレーズを使うときは、相手の都合も考慮しましょう。単に「早く」とお願いするだけでは、一方的な会話になりかねません。相手が目上の人なら、いっそう失礼になってしまいます。「申し訳ございませんが」「お忙しいとは存じますが」などの前置きがあると、一方的な雰囲気は少し薄れるでしょう。
「なるべく早く」の敬語での言い換え表現
「なるべく早く」の敬語表現に似た言葉では、「大至急~いたします」「一刻も早く~お願いします」などがあります。いずれも、「なるべく早く」と同等以上に差し迫った表現なので、目上の人への敬語としては一般的ではありません。逆をいえば、本当に緊迫している状況では使用が許されている表現だともいえます。トラブルが起きていたり、期限が迫ってきていたりするときには「大至急」「一刻も早く」などのフレーズを用いた、敬語表現を投げかけてみることも可能です。さらに、最上級の敬語表現である「早急によろしくお願い申し上げます」は、「早急にお願いできたら幸いです」にも置き換えられます。やや遠回しな表現にはなるものの、直接的な物言いではないので丁寧な印象を与えるフレーズです。特別な相手とのやりとりでは、使ってみてもいいでしょう。
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