ダイオキシンとは? わかりやすく解説

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ダイオキシン【dioxin】

読み方:だいおきしん

ポリ塩化ジベンゾダイオキシンの通称。2個のベンゼン環が2個の酸素原子で結びつけられ構造骨格とする塩素化合物で、多く異性体があるが、特に四塩素ジベンゾダイオキシン(TCDD)をさす。猛毒で、強い催奇性発癌(はつがん)性をもつ。昭和40年(1965)ごろから除草剤として使われたが、昭和46年(1971)使用禁止ジオキシン


ダイオキシン

ダイオキシン類意図して製造使用される化学物質ではありませんが、他の化学物質製造燃焼などに伴って生成されるポリ塩化ダイオキシンとポリ塩化ジベンゾフラン総称です。通常,これらの2,37,8?位置置換異性体の4?8塩素化物(17異性体)が対象となってます。最も毒性が強い2・3・7・8四塩化ジベンゾ・パラダイオキシンの致死量は,体重1キロモルモット換算して0.0006ミリグラムで,青酸カリ1万倍の急性毒性ありますベトナム戦争米軍使った枯れ葉剤含まれ多く胎児奇形の原因報告されたほか,高い発がん性ありますイタリア化学工場での爆発事故による土壌汚染米国化学工場廃棄物による土壌汚染欧米各国におけるごみ焼却施設飛火からの検出等によって,環境問題として注目されました。 
平成9年5月にはダイオキシン類リスク評価排出抑制対策について環境庁設置され検討会から報告書出され、ダイオキシン対策方針示されました。 
「ダイオキシン対策について」は、平成9年8月に「ダイオキシン対策に関する5カ年計画」の策定12月には大気汚染防止法施行令一部改正による規制措置実施を行うなど、いろいろな観点から幅広い調査研究等進められています。また、ダイオキシン類による環境汚染世界的な問題であり、ダイオキシン類危険性対策方法について科学的な議論国際的に続けられています。

ダイオキシン

ポリ塩化ジベンゾーパラージオキシン(PCDD 75種)とポリ塩化ジベンゾフランPCDF 135種)の総称塩素を含む物質食塩も含む)と有機物不完全燃焼時や塩素処理等で意図しない副生物として生成する。ダイオキシンの中には強い急性毒性を持つ物質発ガン性有する物質がある。
ダイオキシンの物性
溶けにくい。
油脂によく熔ける
自然界では分解しにくいが紫外線により分解する例が報告されている。
800上の高温完全燃焼させる事で分解する
⑤300程度低温燃焼では再合成される

2,3,7,8‐TCDD

分子式C12H4Cl4O2
その他の名称ジオキシンTCDD、TCDBD、Dioxin2,3,7,8-Tetrachlorodibenzo-p-dioxin、2,3,7,8-Tetrachlorodibenzo[b,e][1,4]dioxinNCI C-03714、2,3,7,8-TCDD、ダイオキシン、2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-p-ダイオキシン、2,3,7,8-四塩化ジベンゾパラジオキシン、2,3,7,8-TeCDD
体系名:2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-p-ジオキシン2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ[1,4]ジオキシン2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ[b,e][1,4]ジオキシン


ダイオキシン類

( ダイオキシン から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/28 00:43 UTC 版)

ダイオキシン類(ダイオキシンるい、Dioxins and dioxin-like compounds)は、ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン(PCDD)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)、ダイオキシン様ポリ塩化ビフェニル(DL-PCB)の総称である。これらは塩素置換された2つのベンゼン環という共通の構造を持ち、類似した毒性を示す。


注釈

  1. ^ この分布は生体内の脂質分布と一致する。脂質分布は記事「コレステロール」に詳しい。
  2. ^ a b 魚からの摂取が大きい場合の推定は大きな幅を持っており、国民栄養調査(1995)によると日本人の5%は魚介類・魚類加工品の摂取量が平均の2倍以上であることが知られている。魚の摂取が多いケースの推定値が3.26 pgTEQ/人/dayである。;ダイオキシンリスク評価検討会報告
  3. ^ 高山らによる大阪府下におけるマーケットバスケット方式推定値は総ダイオキシン類の摂取量は163 pgTEQ/人/dayであった[16]
  4. ^ 13 - 100 pg-TEQ/gであった[20][21]
  5. ^ ベトナム戦争で使用された枯葉剤は、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)と2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸(2,4,5-T)の混合剤であり、反応副成物として一般の2,4,5-T剤よりさらに多く 2,3,7,8-TCDD を含んでいた。この 2,4,5-Tはアメリカ合衆国や日本では使用が許可されていない。

出典

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  4. ^ a b c d e f g h ダイオキシンリスク評価検討会の報告の概要”. 環境省. 2007年9月1日閲覧。
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ダイオキシン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 02:40 UTC 版)

ダイオキシン類」の記事における「ダイオキシン」の解説

元来、ダイオキシンは、ジオキシンの英語読みである。ジオキシンIUPAC命名法の定義に基づいた有機化合物の名称で、環内に酸素原子二つ含む六員環不飽和複素環式化合物である。 ダイオキシン類用語としては、最も有名なダイオキシン類である2,3,7,8-テトラクロロジベンゾジオキシンとされることもある。なお、英語ではダイオキシンとジオキシンはまったく同じ語で区別できないダイオキシン類(dioxins)も単なる複数形なので、「ダイオキシン類1つ」との区別難しい。

※この「ダイオキシン」の解説は、「ダイオキシン類」の解説の一部です。
「ダイオキシン」を含む「ダイオキシン類」の記事については、「ダイオキシン類」の概要を参照ください。


ダイオキシン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 05:09 UTC 版)

催奇性」の記事における「ダイオキシン」の解説

詳細は「ダイオキシン類#毒性」を参照 ダイオキシンは動物実験奇形起こすことが確認されている。 ベトナム戦争米軍使用した枯葉剤ベトナム散布地域住民および退役軍人その子供に健康被害もたらしたといわれている。このときの催奇性原因として、枯葉剤含まれていたダイオキシンとの関連示唆されている。 ダイオキシンの曝露事例のうちセベソ事故では、女児出生率増加家畜大量死、癌発生率増加奇形出産率増加などが報告された。セベソでは事故翌年4月から6月妊婦流産率は34%となった

※この「ダイオキシン」の解説は、「催奇性」の解説の一部です。
「ダイオキシン」を含む「催奇性」の記事については、「催奇性」の概要を参照ください。

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