置換反応
置換反応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/06 01:11 UTC 版)
アミンはハロゲン化アルキルやスルホン酸アルキルエステルなどに対し、アンモニアやアミンなどが求核剤としてはたらく置換反応により合成される。ただし、立体障害の小さい基質の反応などでは、生成したアミンがさらに求核剤としてはたらき、二級、三級のアミン、さらに四級のアンモニウムとなる副反応が起こってしまう。このことは、特に一級アミンを合成したい場合に問題となる。その解決法として、フタルイミドカリウムとハロゲン化アルキルを反応させて N-アルキルフタルイミドとし、続く加水分解などで一級アミンを得る、ガブリエル合成が行われる。またハロゲン化アルキルとアジ化ナトリウムなどを反応させてアルキルアジドとし、これを還元(後述)する方法も有用である。 アリール基(芳香族基)をアミン上に導入する置換反応は、その芳香環上の適当な位置に電子求引基があるハロゲン化アリールの場合は SNAr 機構により進むことがある。活性の低いハロゲン化アリールでも、ウルマン反応やブッフバルト・ハートウィッグ反応といった、銅やパラジウム化合物を媒介とする反応によりアリールアミンへと変換できる。
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置換反応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/01 00:51 UTC 版)
置換反応に使用される溶媒は求核剤の求核性を決定する。この事実は、気相で行われる反応が増えるにつれて、より明らかとなってきている。このように、溶媒条件は反応の進行に顕著な影響を与える。溶媒条件によって反応機構の選好性が逆転する場合もある。SN1反応の場合、中間体であるカルボカチオンを溶媒が安定化できるかどうかが溶媒を使うことができるかどうかにおいて直接的に重要である。極性溶媒が SN1 反応の反応速度を加速することは、極性溶媒が反応中間体、すなわちカルボカチオンに溶媒和し、活性化エネルギーが低下する結果である。次の表はtert-ブチルクロリドの加溶媒分解反応速度を酢酸 (CH3CO2H)、メタノール (CH3OH)、水 (H2O) を溶媒として比較したものである。 溶媒 比誘電率 ε相対速度CH3CO2H 6 1 CH3OH 33 4 H2O 78 150,000 SN2反応の場合はこれとは全く異なり、求核剤が溶媒和を受けない場合にSN2反応の反応速度は加速される。SN1では遷移状態が安定化され、SN2では反応物が不安定化されるが、どちらの場合でも活性化エネルギー ΔG‡ の低下により反応が加速される。この関係は ΔG = −RT ln K(ギブズの自由エネルギー(英語版))によるものである。 SN2反応は2分子反応であり、反応速度は求核剤に一次、求電子剤に一次の依存性を示す。SN2反応およびSN1反応のどちらの反応機構も可能である場合、決定因子は求核剤の強さである。求核性と塩基性は連動しており、分子の求核性が高まれば求核剤の塩基性は高くなる。この塩基性の高まりは、溶媒がプロトン性のSN2反応機構において問題を引き起こす。プロトン性溶媒は塩基的性質を持つ強い求核剤と酸塩基反応を起こし、したがって求核剤の求核的性質を低減もしくは除去してしまう。次の表に、n-ブチルブロミドとアジ化物イオン N−3 とのSN2反応における、反応速度への溶媒極性の影響を示す。プロトン性溶媒から非プロトン性溶媒へ変更した際の総反応速度の増加に注目されたい。この差は強い求核剤がプロトン性溶媒とは酸塩基反応を起こし、非プロトン性溶媒とは起こさないために生じる。反応速度への影響として、溶媒効果の他にも立体障害効果を忘れてはならない。しかし、SN2反応速度への溶媒極性の影響を見る際には、立体障害は無視してよい。 溶媒比誘電率 ε相対速度種別CH3OH 33 1 プロトン性 H2O 78 7 プロトン性 DMSO 49 1,300 非プロトン性 DMF 37 2800 非プロトン性 CH3CN 38 5000 非プロトン性 SN1反応とSN2反応を比較した図を下に示す。左半分はSN1反応の反応座標図である。極性溶媒反応条件の場合に ΔG‡activation が低下していることに注目されたい。これは極性溶媒がカルボカチオン中間体の生成を非極性溶媒に比べて大きく安定化することに起因する。ΔEa, ΔΔG‡activationを見れば明らかである。右半分は SN2 応の反応座標図である。非極性溶媒反応条件の場合に ΔG‡activation が低下していることに注目されたい。極性溶媒は求核剤の負電荷に溶媒和することにより、反応物を非極性溶媒に比べて大きく安定化し、求電子剤との反応を難しくする。
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