速度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/01 05:29 UTC 版)
速度の単位
国際単位系(SI)における、一貫性 (単位系)のある単位は、メートル毎秒(m/s)である。国際単位系国際文書においては、組立量は、「速さ、速度」[1](英語版では、speed, velocity[2])としている。
ただし、日本の計量法では、「速さ」のみを物象の状態の量(物理量と考えてよい。)としており、「速度」は採用していない[3][4]。
速度と速さ
日常語としての「速度」と「速さ」はほとんど区別なく使われている。この場合の速さは、動いている物体が一定時間あたりに進む距離のことを指す。これは移動距離を経過時間で割ったもの
- [平均の速さ] = [移動距離] ÷ [経過時間]
これに対して、物理学においては、速さ(英語: speed)と速度(velocity)を区別することがある。速度とは、一義的には力学における質点の運動を表し、運動している質点の単位時間あたりの変位、およびその方向を表すベクトル量である。よって、ベクトルであることを強調する際には、速度を速度ベクトルと呼ぶ。一方、速さとは、速度の大きさ(厳密には絶対値)を表すスカラー量である。この意味で日常語として使われる速さと同義である。[5]
例として東向きを正に取ると、自動車が一定速度で東の方向に走り、1 時間で 60 km 移動した場合、車の速度は「東向きに(+)時速 60 km」となり、車の速さは「時速 60 km」となる。また例えば、マラソン選手が西向きに 40 km を 2 時間で走った場合、そのマラソン選手の速さは 20 km/h、または時速 20 km と表されるが、速度は「西向きに(-)20 km/h」となる。
類似の概念
着目する現象が時間的に変化している場合に、その現象の単位時間あたりの変化量(時間微分)に対して「速度」という言葉が用いられることがある。
など種々の速度の概念が定義される。各種物理量の速度には特別な名称が付けられていることがあり、馬力、仕事率、躍度などがある。
物体の運動やその安定性を記述する際、最初の状態における速度がしばしば問題になる(初期値問題)。この初めの速度のことを初速度(initial velocity)という。
速度に対して抵抗を受けて変化するとき、平衡となって一定となった速度を終端速度(terminal velocity)という。
注釈
出典
- ^ 国際単位系(SI)第9版(2019)、p.108 表5
- ^ The International System of Units p.139、Table 5.、Derived quantityとして、「speed, velocity」とある。
- ^ 計量法 第2条第1項第1号
- ^ 計量単位令 別表第1、項番14。
- ^ Wilson, Edwin Bidwell (1901). Vector analysis: a text-book for the use of students of mathematics and physics, founded upon the lectures of J. Willard Gibbs. pp. 125
- ^ 英: instant velocity
- ^ 松岡隆, 佐伯昭彦, 秋田美代「小学校教員養成における教科専門科目「算数」の教材例 (数学教師に必要な数学能力とその育成法に関する研究)」『数理解析研究所講究録』第1867巻、京都大学数理解析研究所、2013年12月、89-97頁、CRID 1050564285761501056、hdl:2433/195410、ISSN 1880-2818“p.91(円グラフ様の図がある。”
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