キュリウム 用途

キュリウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/06 01:44 UTC 版)

アメリシウム キュリウム バークリウム
Gd

Cm

Uqh
96Cm
外見
銀白色
一般特性
名称, 記号, 番号 キュリウム, Cm, 96
分類 アクチノイド
, 周期, ブロック n/a, 7, f
原子量 [247]
電子配置 [Rn] 5f7 6d1 7s2
電子殻 2, 8, 18, 32, 25, 9, 2(画像
物理特性
固体
密度室温付近) 13.51 g/cm3
融点 1613 K, 1340 °C, 2444 °F
沸点 3383 K, 3110 °C, 5630 °F
融解熱 ? 15 kJ/mol
蒸気圧
圧力 (Pa) 1 10 100 1 k 10 k 100 k
温度 (K) 1788 1982
原子特性
酸化数 4, 3両性酸化物
電気陰性度 1.3(ポーリングの値)
イオン化エネルギー 1st: 581 kJ/mol
原子半径 174 pm
共有結合半径 169 ± 3 pm
その他
結晶構造 六方晶系
磁性 反強磁性(52 Kで常磁性に転移)[1]
電気抵抗率 1.25 µ[1]Ω⋅m
CAS登録番号 7440-51-9
主な同位体
詳細はキュリウムの同位体を参照
同位体 NA 半減期 DM DE (MeV) DP
242Cm syn 160 d SF - -
α 6.1 238Pu
243Cm syn 29.1 y α 6.169 239Pu
ε 0.009 243Am
SF - -
244Cm syn 18.1 y SF - -
α 5.8048 240Pu
245Cm syn 8500 y SF - -
α 5.623 241Pu
246Cm syn 4730 y α 5.475 242Pu
SF - -
247Cm syn 1.56 × 107 y α 5.353 243Pu
248Cm syn 3.40 × 105 y α 5.162 244Pu
SF - -
250Cm syn 9000 y SF - -
α 5.169 246Pu
β- 0.037 250Bk

キュリウム (: curium [ˈkjʊəriəm]) は原子番号96の元素元素記号Cmアクチノイド元素の一つ。超ウラン元素でもある。安定同位体は存在しない。

銀白色の金属で、常温、常圧で安定な結晶構造は面心立方構造 (α、fcc)で、約500℃で体心立方(β、dcc)、更に約1000℃で六方最密充填構造(γ、hcp)が安定となる。比重は理論値で13.51、融点は1340 °C (1350 °C)、沸点は3520 °C。原子価は+3、+4価。

名称

元素名は、キュリー夫妻(ピエール・キュリーマリ・キュリー)に由来する[2]

歴史

1944年シーボーグ等(米国)により、プルトニウム239に32 × 106 eVα粒子をぶつけることにより、キュリウム242(半減期163日)が作られた[2]。その後、いくつかの同位体が発見されたが、最も半減期が長いものはキュリウム247の1560万年である[2]。最も大量に入手できるのはキュリウム244(半減期18.1年)。

アメリシウム中性子を照射することによってキュリウムが人工的に作られる(アメリシウム243 + 中性子 → キュリウム244)。

特徴

レーザー光 (396.6 nm)で励起したトリス(ヒドロトリス)ピラゾリルボラト-キュリウム(III) tris(hydrotris)pyrazolylborato-Cm(III) 複合体溶液中のキュリウム(III)イオン Cm3+ の蛍光。(レーザー誘起蛍光法)

キュリウムは銀白色の金属で安定同位体は存在せず、すべてが放射性である。化学的性質はガドリニウムに似るが、ガドリニウムよりも複雑な結晶構造を持つ。

同位体

キュリウムには19の同位体が存在する。しかし安定同位体は存在せず、すべてが放射性である。さらにキュリウムには四つの核異性体が存在する。質量範囲は233から252まで。最も半減期が長いのはキュリウム247で1560万年の半減期を持つ。その他にも、34000年の半減期を持つキュリウム248、9000年の半減期を持つキュリウム250、8500年の半減期を持つキュリウム245などが比較的安定している。

残りの同位体は30年未満の半減期を持っており、その大半は35日未満の半減期を持っている。

キュリウムの化合物

  • フッ化キュリウム(III) (CmF3)
  • 酸化キュリウム(III) (Cm2O3)
  • 酸化キュリウム(IV) (CmO2)

用途

原子力電池や、惑星探査機のαプロトンX線分光計、実験用のアルファ線源としての用途がある。

放射性廃棄物として

原子力発電使用済み核燃料を再処理した際に発生する廃液(高レベル放射性廃棄物)中には、キュリウムのほかアメリシウムなどの半減期の長い核種が含まれる。これら核種はマイナーアクチニドと呼ばれる。キュリウムを含む高レベル放射性廃棄物はガラス固化体に加工され、日本の場合は高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターで保管。ゆくゆくは地層処分される[3][4]

出典

  1. ^ a b Schenkel, R (1977). “The electrical resistivity of 244Cm metal”. Solid State Communications 23: 389. doi:10.1016/0038-1098(77)90239-3. 
  2. ^ a b c 桜井弘『元素111の新知識』講談社、1998年、394~395頁。ISBN 4-06-257192-7 
  3. ^ 根岸仁, 上出英樹, 前田誠一郎, 中村博文, 安部智之「最先端の研究開発 日本原子力研究開発機構 : 第4回 今こそ,高速炉の話:持続性あるエネルギー供給へ」『日本原子力学会誌ATOMOΣ』第62巻第8号、日本原子力学会、2020年、438-441頁、doi:10.3327/jaesjb.62.8_4382024年1月6日閲覧 
  4. ^ 返還されるガラス固化体について”. 日本原燃. 2023年11月8日閲覧。



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