ランドサット【LANDSAT】
ランドサット
【英】: landsat
米国が打ち上げた一連の地球資源衛星の名称。 当初 ERTS(資源技術衛星)と呼ばれていたが改称された。1972 年 7 月の 1 号以後、平均寿命 2 ~ 3 年の衛星が次々と軌道に乗った。1984 年 3 月打ち上げの 5 号が現在( 1985 年)稼働中。本衛星に搭載された主なリモート・センサーは MSS(マルチスペクトラル・スキャナー)で、電磁波スペクトルを細分化し、可視光および可視光範囲外(近赤外領域)での地表物質の反射特性のデータから地表物質の分類、地表状況の把握などに役立つ情報を得るのを目的としている。これらの電磁波スペクトル(バンド)の組み合わせは必ずしも地質情報抽出に最適とはいえないが、一画面の面積が 185 × 185km という広域性のため広域地質現象の把握などに利用されている。地表分解能が約 80m であること、雲の下の地表データは得られないことという欠点にもかかわらず、条件さえ良ければ広域にわたってデータに均一性があること、ほぼ全世界の陸域データの蓄積があることなどの利点のため大いに利用されている。4 号および 5 号には MSS に加えて TM(セマティック・マッパー)と称する地表分解能約 30m 、岩石識別に有効な波長域のバンドも加わったセンサーが搭載され、TM データの地質分野への利用が期待されている。 |

ランドサット
名称:ランドサット/Landsat
小分類:地球観測衛星
開発機関・会社:アメリカ航空宇宙局(NASA)/ジェネラル・エレクトリック社
運用機関・会社:アメリカ海洋大気局(NOAA)
打上げ年月日:1972年7月23日(ランドサット1号)/1975年1月22日(ランドサット2号)/1978年3月5日(ランドサット3号)/1982年7月16日(ランドサット4号)/1984年3月1日(ランドサット5号)/1993年10月5日(ランドサット6号)/1999年4月15日(ランドサット7号)
運用停止年月日:1978年1月6日(ランドサット1号)/1982年2月25日(ランドサット2号)/1983年3月31日(ランドサット3号)/1993年10月5日(ランドサット6号)
打上げ国名・機関:アメリカ/アメリカ航空宇宙局(NASA)
打上げロケット:ソー・デルタ型
打上げ場所:バンデンバーグ空軍基地
国際標識番号:1972058A(ランドサット1号)/1975004A(ランドサット2号)/1978026A(ランドサット3号)/1982072A(ランドサット4号)/1984021A(ランドサット5号)/1999020A(ランドサット7号)解説:1960年代から70年代にかけて、アメリカは人類を月に送るという壮大な目標を掲げて「アポロ計画」を推し進めました。その推進役となったアメリカ航空宇宙局(NASA)は、アポロ計画で得た技術力を実用的な用途に役立てようと、さまざまな宇宙システムの開発を行ないました。地球観測衛星「ランドサット」もそのひとつです。
ランドサットは、宇宙から地球表面の様子をとらえ、その画像データを地上に送る役目を担っています。送られてきたデータは、農作物の分布状況、森林や湖水の調査、地形の測量、金属資源の探査といった目的のために世界中で利用されています。
NASAがこの衛星の開発に着手したのは、1964年のことでした。当時は地球資源技術衛星と呼ばれ、70年には「アーツ(ARTS)」と名づけられました。
72年7月に第1号が打ち上げられると、航空写真ではわからない地表面のさまざまな様子を映し出した画像データが、執と送られてくるようになりました。以後、アーツは「ランドサット」と改名され、地球観測衛星の草分けとして、今日にいたるまで活躍し続けているのです。
ランドサット/Landsatをよく知るためのアラカルト
どんな形をして、どんな性能を持っているの?
どんな目的に使用されるの?
宇宙でどんなことをし、今はどうなっているの?
このほかに、同じシリーズでどんな機種があるの?
どのように地球を回るの?
分類:人工衛星ランドサット/Landsatをよく知るためのアラカルト
どんな形をして、どんな性能を持っているの?
どんな目的に使用されるの?
宇宙でどんなことをし、今はどうなっているの?
このほかに、同じシリーズでどんな機種があるの?
どのように地球を回るの?1.どんな形をして、どんな性能を持っているの?
ランドサット3号は、円錐の塔のような形の本体の両側に太陽電池パネルが縦に付いた形状をしています。重量約960kg、高さ約3.1m、底部直径1.5mです。
2.どんな目的に使用されるの?
衛星には多波長走査放射計(MSS=Multi-Spectral Scanner)と呼ばれるテレビカメラのような電子カメラが搭載されていて、テレビ画像のように地上を多数の走査線で撮影していきます。一回の撮影でカバーできる地表の幅は横185キロ、縦170キロで、関東平野なら1〜2枚、日本列島は32枚の画像でカバーすることができます。
画像は、青緑、オレンジ、赤の可視光帯と、赤外光帯の4つのスペクトル帯に分けて撮影され、地上で合成することによってあたかもカラー写真のような疑似カラーをつくりだしています。
このカメラの地表の分解能はおよそ80m。これは、AとBの2点の間が80m以上離れていれば、2つの点を離れた点として識別できる能力があることを示しています。
ランドサット4号以降は、TM(Thematic Mapper)と呼ばれる分解能30mの高精度センサーも搭載されるようになり、より精密な画像データの収集が可能になりました。これによって、ランドサットは今後も一層の活躍をするものと期待されています。
3.宇宙でどんなことをし、今はどうなっているの?
ランドサットは、計7機が打ち上げられ、4号帰5号帰7号機の3機が運用されています。6号機は1993年10月に打ち上げられたものの失敗しています。4.このほかに、同じシリーズでどんな機種があるの?
ランドサット1〜5号があります。5.どのように地球を回るの?
周回中のランドサット7号は、遠地点高度705km、軌道傾斜98.2度、公転周期98.884分です。
ランドサット
(LANDSAT から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/25 08:36 UTC 版)
ランドサット (Landsat) は、アメリカ航空宇宙局 (NASA) などが打ち上げている人工衛星である。種類としては、地球観測衛星にあたる。複数の波長における光学観測により、地球環境を観測することを目的としている。1972年に1号機が打ち上げられて以来、9号機まで打ち上げられており、非常に多くの画像を撮影してきた。それらの画像は、一般科学のみならず、農業や都市計画、安全保障分野にまで活用されている。
歴史
ヒューズ社のサンタバーバラ研究所が最初の3基のMSS(Multi-Spectral-Scanners:多波長走査機)を1969年に製造した。最初の試作機はその後の9ヶ月以内, 1970年秋に完成した。試作機はヨセミテ国立公園のハーフドームを走査することでテストされた。
最初のMSSの構想は光学器械設計技術者で最初に太陽系を離脱したパイオニア探査機の光学カメラを設計したJim Kodakによって描かれた。
この計画は当初、1966年にから1975年までの間、EARTS (地球資源観測衛星計画; Earth Resources Observation Satellites Program) と呼ばれていた。しかし1975年にはランドサットに改名された。1979年にジミー・カーター大統領がランドサットの運用をNASAからアメリカ海洋大気局 (NOAA)に移管した。更に、ランドサット3号以降に関しては運用が長期間に見込まれることから、1985年、ヒューズ社とRCA社によって設立された民間のEarth Observation Satellite Company (EOSAT) が、NOAAから10年間の運用契約を請け負った。EOSATはランドサット4と5を運用してランドサットのデータの市場への占有権を有し、ランドサット6と7を製造した。
1989年、NOAAのランドサット計画予算が尽きたため、ランドサット4号と5号の運用を中止することになったが、緊急予算が可決され、運用は継続された。同じような事態は1990年から1992年まで毎年続いた。1992年末にはランドサットの観測データの処理が中止された。1993年10月にはランドサット6号がようやく打ち上げられたが、打上は失敗に終わった。このため、ランドサット4号と5号のデータ処理が1994年に再開された。1999年4月にはランドサット7号が打ち上げられた。
2013年2月に、後継機となるLDCM(Landsat Data Continuity Mission)(ランドサット8号)が打ち上げられた。LDCMはランドサットが観測してきた観測データの継続性を引き継ぐ衛星であり、Operational Land Imager (OLI) とThermal InfraRed Sensor (TIRS) という2つの観測装置を搭載する。 2021年9月27日には、後継の9号機が打ち上げられた。
衛星の運用記録

- ランドサット1号:1972年7月23日打ち上げ、1978年1月6日まで運用。
(当初の名前は、Earth Resources Technology Satellite 1)
- ランドサット2号:1975年1月22日打ち上げ、1981年1月22日まで運用。
- ランドサット3号:1978年3月5日打ち上げ、1983年3月31日まで運用。
- ランドサット4号:1982年7月16日打ち上げ、1993年まで運用。
- ランドサット5号:1984年3月1日打ち上げ、2012年12月21日まで28年10ヶ月間運用[1]。ランドサット5号は最も長く運用された地球観測衛星としてギネス世界記録にも認定された[2]。
ランドサット5号の設計寿命は3年であり、観測データの送信機1台が故障しているが、ランドサット7号がデータ欠損を生じているため、2011年11月までこの衛星の観測運用が行われてデータが活用されてきた。2011年11月18日にもう一台の送信機も不調になったため、90日間観測を中止してトラブル対応を行った。 ランドサット5号は1987年にTDRS用の送信機が故障したため、地上局上空でしかデータをダウンリンクできなくなった。1995年8月には観測装置の一つであるMSS(Multispectral Scanner System)が停止され、TM(Thematic Mapper)のみで観測を継続することになった。2005年1月に太陽電池駆動装置が故障し予備系に切り替えられたが、2005年11月には予備系の太陽電池駆動装置も故障。2006年1月には復旧したが8月に再び停止し、太陽電池アレイは固定した状態で運用を行なっていた。最後の画像を送信した9日後の2013年1月15日から残った燃料を使って軌道を下げる運用が行われ、2013年6月5日に最後のコマンドを送信して運用を終了した[3]。
- ランドサット6号:1993年10月5日打ち上げ、軌道投入失敗。
- ランドサット7号:1999年4月15日打ち上げ、運用中。(ただし、2003年5月31日に観測装置であるEnhanced Thematic Mapper Plus (ETM+)のScan Line Corrector (SLC)が機械的な故障を起こし、データの一部に欠損が出るようになった)
- ランドサット8号:2013年2月11日打ち上げ、運用中。
- ランドサット9号:2021年9月27日打ち上げ、運用中。
米国メリーランド大学のGLCF: Earth Sciece Data Interfaceで画像が無償で入手できる。
脚注
- ^ “Mission Accomplished for Landsat 5”. USGS. (2012年12月21日) 2013年6月22日閲覧。
- ^ “Landsat 5 Sets Guinness World Record For 'Longest Operating Earth Observation Satellite'”. NASA. (2013年2月10日) 2013年6月22日閲覧。
- ^ “USGS Issues Final Command to Landsat 5”. SpaceNews.com. (2013年6月19日) 2013年6月22日閲覧。
外部リンク
- LANDSATのページへのリンク