5W1H
「5W1H」とは・「5W1H」の意味
「5W1H」は、「5w2h」や「7w2h」とともに業務の質や仕事のやり方を向上させたり、問題解決や戦略立案に導くために、看護や介護の現場などをはじめ、多くのビジネスシーンで活用されているフレームワークを指す言葉である。「5W1H」とは、「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(誰が)」「What(何を)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」の頭文字と数を示している。ビジネスの場でコミュニケーションをとる際に、伝えたい内容を「5W1H」の要素に沿って順番に構成していくことで、伝える側が情報をわかりやすく整理したり、聞き手がスムーズに理解しやすくなる。
それぞれの構成要素をさらに詳しく見ていくと、「When(いつ)」と「Where(どこで)」については、時間と場所を明確にすることで、その先に伝えるべき事柄の内容が聞き手の頭に入りやすくなる役割を果たす。「Who(誰が)」と「What(何を)」は、関わる人や物がわかることで、説明したいことの結果や目的が事前にはっきりとわかる。そして、最後に構成されている「Why(なぜ)」と「How(どのように)」は、結論に至った理由や手段を具体的に説明することで、全容をしっかりと理解することにつながる。
「5W1H」の正しい順番は?と問われた時には、「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(誰が)」「What(何を)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」の順番が基本となる。しかし、正しい情報伝達においては、聞き手となる相手にとってわかりやすいことが一番に優先されるため、「5W1H」の順番を変更して組み立てていくことも必要となる。例えば、問題が起こっている時にトラブルの重大さを強調してから始める場合には、「What(何を)」を一番最初にもってくるのが適切である。ほかにも、相手に目的や起こっていることの経緯を知ってもらってから話す必要がある場合には「Why(なぜ)」、物事に関わっている人物が話のキーポイントとなる場合には「Who(誰が)」を頭にして組み立てるなど、臨機応変な変更をすることが望ましい。
そもそも「5W1H」の目的は?というと、一番にあげられるのはコミュニケーションの円滑化である。「5W1H」によって整理された情報は、受け取る側にとって具体的で理解しやすく、スムーズなやりとりを可能とする。項目の確認漏れもなくなり、論点がずれて時間や手間ばかりがかかるという問題もなくなる。さらには、「5W1H」の過不足のない情報収集と情報発信が繰り返されることで、目的や方法などが明確になり、問題解決にもつながりやすいというメリットがある。課題の分析をする時にも、「5W1H」の内容に沿ってこまかく分析していくことで、原因を見極めたり、解決策を立てやすくなる。
そのため、「5W1H」は会話の中だけではなく、ビジネスメール、ビジネス文書、引き継ぎ書、記録などにも適用できる。自分が抱えている課題や議題について「5W1H」に沿って書き出していくことで、無意識だった考えが可視化されていき、内容の切り分けや整理が可能となる。そこからこれまでになかった新しい発想や、行き詰まっていた問題への新たなアプローチなども生まれ、社内のスタッフやクライアントに対してさまざまな利益をもたらすことになる。
また、現在では、マーケティングやターゲット設定のためのペルソナの作成にも「5W1H」が用いられている。例えば、ウェブサイトの設計においては、「誰が、いつ、どこのチャネルから、何を求めるのか、なぜ関心を持つのか、Web上でどのように行動するのか」といったような企画立案やニーズの把握が行われ、「5W1H」のフレームワークに沿って課題を掘り下げている。
「5W1H」の起源は、古代ギリシャ時代までさかのぼると言われている。古代ギリシャの政治においては、弁論を繰り広げながら国を動かしていたため、説得する能力が重要視されていたことから、すでに「5W1H」の元となるフレームワークが確立されていたと考えられている。
その後、初めて英語文献で紹介されたのは、1560年に修辞学者トマス・ウィルソンが出版した『The Arte of Rhetorique』の中である。ウィルソンは、「ある事象を理解するためには、事実を構成している7つの事象(Who、What、Where、What help、Why、How、When)を理解する必要がある」と「5W1H」の起源となる考え方を示している。
さらに時を経て、「5W1H」が日本をはじめ、世間一般に定着するきっかけとなったのは、1902年にイギリスの児童文学者ラドヤード・キップリング発表した『The Elephant’s Story』だとされている。キップリングは、この本の中で「僕には、6人の信頼できる召使いがいる。彼らの名前はWhat、Why、When、How、Where、Whoだ」という表現を使い、「5W1H」の「5w」の概念の大切さに触れている。1900年代以降からは、「5W1H」がアメリカのジャーナリズム教育で取り上げられるようになったほか、現在では、欧米だけではなく、日本の教育現場においても、「5W1H」を国語や英語などの指導に用いることが多い。
「5W1H」と類似するビジネスフレームワークとしては、「5w2h」がある。「5w2h」は、「5W1H」の6つの要素に「How much(いくらで)」を加えたものである。商談や交渉などにおいて、金額についての情報をやりとりしたり、予算についての話し合いをする際には、「How much(いくらで)」の観点を欠かすことはできない。同じく「5W1H」に「How many(どのくらいで)」の要素を足した「5w2h」もあり、仕入れの量や販売数といった数値についてのやりとりに役立つ。さらに、「5W1H」に「How much(いくらで)」と「How many(どのくらいで)」の両方を加えて「5w3h」とする考えもあり、コストや数量の要素が必要な場面で適宜取り入れながら活用するとよい。
そのほかには、「5w2h」に2つの要素を盛り込む「7w2h」もある。「7w2h」は、「5w2h」にさらに「Which(どちら)」「Whom(誰に)」の2つの要素を付け加えたものである。いずれもビジネスに欠かすことのできない大切な要素であり、新規の事業戦略や企画の立案などの場において、「5W1H」や「5w2h」からの応用として取り入れている例も多い。
「5W1H」の読み方
「5W1H」の読み方は、「5」を「ご」、「w」を「ダブリュ」または「ダブリュー」、「1」を「いち」、「h」を「エイチ」または「エッチ」として、「ご・ダブリュ・いち・エイチ」や「ご・ダブリュー・いち・エッチ」などと読む。一方、欧米では、「5W1H」を「Five W's and One H(ファイブ・ダブリューズ・アンド・ワン・エイチ)」と読む。「5W1H」の使い方・例文
・「5W1H」を意識しながらコミュニケーションをとることが、スタッフが情報を共有する上で非常に大切である・介護記録を残す時には、引き継ぐスタッフに伝わりやすいように「5W1H」を明確にしたわかりやすい文章を心がけている
・筋道を立てて物事を明確かつ具体的に伝えるためには、常に「5W1H」の考え方を頭において話をするべきだ
・「5W1H」はとてもシンプルな要素で構成されているため、ビジネスのあらゆる場面で応用することができる
・「5W1H」はさまざまなビジネスシーンにおいて活用することができるフレームワークのことである
・「5W1H」の考え方は、会話をする時だけではなく、ビジネス文書を作成する時にも大いに役立つ
・欧米の「5W1H」と日本の「5W1H」の考え方や活用方法にはほぼ変わりはない
・社内の新人研修では、毎年必ず「5W1H」についての詳しい講義を行っている
・医療現場では情報の伝達ミスがないように、医師や看護師などのすべてのスタッフが「5W1H」に則したやりとりをしている
・「5W1H」を適切に使いこなせるようになってからは、ビジネスメールや書類の作成が苦手ではなくなった
ごダブリュー‐いちエッチ【5W1H】
5W1H
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/27 05:10 UTC 版)
5W1Hとは、When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、 What(何を)、 Why(なぜ)、How(どのように)といった最重要の情報を先頭にもってくる慣行である。ニュース記事を書くときなどで使われる。欧米ではふつう「Five Ws」、「Five W's and One H」[1]、または略して単に「Six Ws」と呼ばれるが、日本では更に「1H」を足して「5W1H」(ご・ダブリュ・いち・エイチ)とし「六何の原則」とも呼ばれる。
解説
ニュース記事の最初の段落はリードと呼ばれる。ニューススタイルの規則では、リードには以下の「5W」の多くを含むべきとされている。すなわち、
- When(いつ) Where(どこで) Who(誰が) What(何を) Why(なぜ)したのか?
である。しかし日本においては、「5W」にさらに下記の「1H」を含む「5W1H」であるべきであるとされる。
- How(どのように)
日本では、教育現場で国語や英語の文法や文学作品読解の指導に使われることもある。また、情報取材のあり方やその提示の方法、歴史の叙述などノンフィクション全般にわたって意識されるべき必須事項としてしばしば取り上げられる。
5W1Hの始まり
英国の児童文学作家で詩人のラドヤード・キップリングが1895年に発表した『ジャングル・ブック』には、登場する少年が虎の縞模様はどうしてできたかという話から「動物はどうして人間に恐怖を感じるようになったか?」など、さまざまな物語があった。その後、1902年に空想的な「なぜなの?ものがたり」(pourquoi:仏語:なぜ? - stories:物語)シリーズと呼べる4から8歳の子供向け[2]のさまざまな現象や出来事を書いた多くの物語(原題:Just So Stories for Little Children)を出版した。それぞれの物語はバラッド形式の詩的文章を盛り込んでいたが、そのなかでも「象のこども(原題:The Elephant's Child)」は次のような詩で始まっている。
- (原文)
- I keep six honest serving-men.
- (They taught me all I knew).
- Their names are What and Why and When and How and Where and Who.
- (日本語を解するこども向けの意訳)
- 私にはうそをつかない正直者のお手伝いさんが6人居るんだよ
- (その者達は私の知りたいことを何でも教えてくれるんだよ).
- その者達のなまえは「なに? (What) 」さん、「なぜ? (Why) 」さん、「いつ? (When) 」さん、「どこ? (Where) 」さん、「どんなふうに? (How) 」さん、それから「だれ? (Who) 」さんと言うんだよ。
また、その本の挿絵には「W」の文字の波形の上3点と下2点に並んだベッドのマット上の5個ボタンと枕元(または足下)から見たベッドの形の「H」が描かれた。
6W1H
場合により、
- Whom(誰に)
の1つを付け加えて、「6W1H」と呼ばれることもある。
5W3H
場合により、
- How many(どのくらいの数で)
- How much(いくらで)
の2つを付け加えて、「5W3H」と呼ばれることもある。manyとmuchの違いは、manyが一瞥で数えられる場合に用いられるのに対し、muchは計算・計量が必要な場合であること。
5W1H1R
時々、
- Result(どうなったか)
の1つを付け加えたものが「5W1H1R」と呼ばれることがある。
5W1Hを使った言葉遊び
複数人がWho・What・When・Where・Why・How(必ずしもその全てではない)の部分だけを書き、一斉に出して(あるいはそれをあらかじめ混ぜておいてランダムに引き)出来上がった文章のナンセンスさを楽しむ「5W1Hゲーム」という言葉遊びがある[3]。
脚注
- ^ “The Five W's and One H Approach to Six Sigma Training” (英語). Aveta Solutions@sixsigmaonline.org. 2008年12月21日閲覧。
- ^ Just So Stories for Little Children (Oxford World's Classics) (ペーパーバック) ISBN 0192834363
- ^ humans.txt. “日々の笑いをドンドン生み出す!5W1Hなライフスタイル|WARAI+”. waraiplus.com. 2022年9月19日閲覧。
関連項目
外部リンク
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