黒川_(横手市)とは? わかりやすく解説

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黒川 (横手市)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/05 03:31 UTC 版)

日本 > 秋田県 > 横手市 > 黒川 (横手市)
黒川
大字
秋田県流域下水道横手処理センター前
にあるイチョウ並木
北緯39度21分46.6秒 東経140度30分09.1秒 / 北緯39.362944度 東経140.502528度 / 39.362944; 140.502528座標: 北緯39度21分46.6秒 東経140度30分09.1秒 / 北緯39.362944度 東経140.502528度 / 39.362944; 140.502528
座標位置:中心点
日本
都道府県  秋田県
市町村 横手市
地域 横手地域
人口情報2020年10月1日現在[1]
 人口 940 人
 世帯数 309 世帯
設置日 1951年4月1日[2]
郵便番号 013-0826[3]
市外局番 182[4]
ナンバープレート 秋田
ウィキポータル 日本の町・字
ウィキポータル 秋田県
ウィキプロジェクト 日本の町・字
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黒川(くろかわ)は、秋田県横手市大字郵便番号は013-0826[3]。人口は940人、世帯数は309世帯(2020年10月1日現在)[1]。旧平鹿郡黒川村大字黒川、旧平鹿郡黒川村に相当する。

地理

横手市の北部、横手地域の北西端に位置しており、東と南で下境、西で百万刈、北で仙北郡美郷町金沢西根と隣接する。水田中心の純農村地帯[2]。北東部では横手川が北西に流れ、西部を流れる大戸川と北部で合流する[2]。水田中心の準農村地帯[2]。北西から南西にかけては県道71号大曲横手線が通っており、沿線には黒川・落合・下和野・上和野・福島・寺村・千本野の各集落がある[2]。南東部の余目集落を通って北東へ抜ける県道266号耳取後三年停車場線が、寺村で県道71号と交差する[2]

全域が都市計画区域に含まれるが、区域区分非設定区域となっている[5]都市計画法上の用途地域には指定されていない[6]

地名の由来

1981年(昭和56年)の『秋田大百科事典』によると、「地名のクロには黒色と畔の意があり、ここでは畔の意味で、自然堤防のこと」とあり[7]、地区を流れる横手川と大戸川が、畔のように境界の役割を果たしていることに由来すると考えられている[8]

もう一つの説として、1907年明治40年)の『大日本地名辞書 下巻』によると、「此間の山野、往々石腦油の滲漏を見る、混油の爲に、水に黑色を呈するに因る歟[9]」と解説されており、この地を流れる川の水が黒色に見えたことに由来するとされている[10]

小字

2024年令和6年)10月5日時点での「横手市(秋田地方法務局大曲支局)登記所備付地図データ[11]デジタル庁公表の「アドレス・ベース・レジストリ」の「秋田県 横手市 町字マスター(フルセット) データセット[12]、横手市公表のオープンデータ[13]によれば、黒川の小字は以下の通りである。

町・字 出典
大字 小字 登記[11] 町字マスター[12] 行政区一覧[13]
黒川 字合川
字悪戸
字悪戸谷地
字一本木
字浦島
字横山
字下共和
字下和野
字館廻 ×
字館後
字館西
字館東
字宮ノ下
字宮ノ後
字牛柳
字三郷渕 ×
字寺村
字寺南
字上共和
字上和野
字新田
字清水
字西野
字千本野
字川原
字川南
字中松
字中谷地
字長沼
字鶴巻田
字田中
字東田中 × ×
字藤根
字南谷地
字二本柳
字富士見 ×
字福島
字福柳
字目名川
字余目
字余目東谷地
字余目北谷地
字落合

歴史

くろかわむら
黒川村
廃止日 1955年4月1日
廃止理由 編入合併
横手市、境町村黒川村横手市
現在の自治体 横手市
廃止時点のデータ
日本
地方 東北地方
都道府県 秋田県
平鹿郡
市町村コード なし(導入前に廃止)
総人口 2,636
国勢調査1950年
隣接自治体 横手市
平鹿郡角間川町、境町村、田根森村
仙北郡金沢西根村
黒川村役場
所在地 秋田県平鹿郡黒川村上和野206番地[14]
座標 北緯39度21分51.0秒 東経140度30分4.6秒 / 北緯39.364167度 東経140.501278度 / 39.364167; 140.501278 (黒川村)
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黒川は、平安時代後期の後三年合戦の頃までは原始林であった[15]。合戦で金沢柵が落城すると、その残党が黒川の原始林に潜伏し、騒乱が収まるのを待った[16]。その後、他の土地へ移動する者もいたが、この地にとどまって開拓に従事した者もおり、これが黒川地区の開祖であると伝えられている[16]。最初に人家が建てられたのは、現在の根田川にあたる場所である[15]

正保4年(1647年)の『出羽国知行高目録 下』には黒川村として村名が見え、享保年間までの村高を記録した郷帳に記載された町名を調べた『平鹿郡御黒印吟味覚書』でも、黒川村として記載がある[17]。享保15年(1730年)の『六郡郡邑記』によると、黒川村は家数55軒、支郷に落合村(家数9軒)・河原村(同6軒)・悪土村(同4軒)・横山村(同1軒)・下上野村(同6軒)・上ノ上野村(同6軒)・今宿村(同8軒)・田中村(同3軒)・靏巻田村(同8軒)、慶安3年(1650年)に始まる余ル目村(同30軒)、寛文6年(1666年)に始まる南谷地村(同5軒)・牛柳村(同2軒)・姜名川村(同8軒)・西野々村(同5軒)・千本野村(同2軒)・館村(同3軒)がある[18]

『久保田領郡邑記』によると、館村には大森城主・小野寺康道の家臣、黒沢甚兵衛が居住し、黒沢甚兵衛が梅津半右衛門に頼んで康道の旧家臣による角間川町周辺の開拓を行ったと記されている[19]菅江真澄の『雪の出羽路 平鹿郡』によると、悪土村と今宿村が合併して悪土今宿村となり、横山村は廃村、西野々村が西野村と改称、新たな支郷として浦嶋村が成立したとある[20][19]

黒川字館東には、黒川館と称される中世の城館跡がある。元は小野寺氏時代に西野に築かれた西野館であり、小野寺義道の家老・西野修理亮道俊が置かれていた[15]。その後、道俊は家老として横手に移り、西野館は廃止された。代わって黒川館が、寺村と余目集落の中間に位置する丘陵地に築かれ、黒沢甚兵衛の居館とされた[15]。なお、黒川縫殿の居館であるとの説もあり、判然としない[21]佐竹氏の入部後、黒川館は破却され、黒川は新領主の支配下に置かれた[15]。館の破却後、館のあった丘陵地は樹木がうっそうとしていたが、明治期には伐採され、田畑として利用されていた[22]。その後、黒川村が横手市に合併する際に、耕地整理と並行して丘陵地を均し、水田として整備された[22]。そのため、遺構は殆ど残されていないが、昭和30年頃までは、丘陵地を囲う堀の遺構が見られたという[21]

年表

世帯数と人口

2020年(令和2年)10月1日現在の世帯数と人口は以下の通りである[1]

丁目 世帯数 人口
黒川 309世帯 940人

人口・世帯数の推移

以下は国勢調査による1995年(平成7年)以降の人口の推移。

黒川の人口推移
人口
1995年(平成7年)[37]
1,442
2000年(平成12年)[38]
1,333
2005年(平成17年)[39]
1,245
2010年(平成22年)[40]
1,197
2015年(平成27年)[41]
1,057
2020年(令和2年)[1]
940

以下は国勢調査による1995年(平成7年)以降の世帯数の推移。

黒川の世帯数推移
世帯数
1995年(平成7年)[37]
323
2000年(平成12年)[38]
324
2005年(平成17年)[39]
250
2010年(平成22年)[40]
326
2015年(平成27年)[41]
328
2020年(令和2年)[1]
309

小・中学校の学区

市立小・中学校に通う場合、学区(校区)は以下の通りとなる[42]

番地 小学校 中学校
全域 横手市立横手北小学校 横手市立横手北中学校

交通

鉄道

町内に駅はない。最寄り駅は奥羽本線後三年駅

バス

町内にバス路線及びバス停はない。

2023年9月30日までは羽後交通の角間川線が通っていた[43][44]

道路

施設

  • 神明社(字寺村95番地)[45]
    祭神:天照皇大神菊理姫命宇賀之御魂大神・豊田和姫命・大山祇大神源頼朝[45]
    開創年代は不明であるが、社殿の西南方向には城館跡があり、城主・黒沢甚兵衛が黒川地区を統治する際に白旗神社を建立し、当地区を治めたと伝えられている[45]。1876年(明治9年)に境内社の神明社を合祀し、社名を神明社と改称[45]。その後、1951年(昭和26年)に奉安殿を改築して本殿としたが、社殿の老朽化が著しく進んでいたため、1989年(平成元年)には本殿・幣殿を新築し、拝殿の修復も行われた[45]
  • 瑞福山 洞雲寺(字寺村7番地)[46]
    宗派: 曹洞宗
  • 三黒山 正善寺(字悪戸24番地)[47]
    宗派:浄土真宗本願寺派
    当寺の開基は、能登国畠山氏の家臣・小守俊之亟である。俊之亟は仙台の北山にある正念寺で出家し、黒沢尻(現・北上市)に居住したのち、上黒沢へ移住した[47]。その子孫に当たる玄祐(法名は浄円)は、天正16年(1588年)に入寂[47]。浄円は黒川村に移住し、本尊および寺号を拝領して一寺を建立した[47]。言い伝えによれば、「黒」の字がついた地名を三度移住したことから、「三黒」を姓としたと伝えられている[47]
  • 黒城山 浄圓寺(字寺村72番地)[47]
    宗派:浄土真宗本願寺派
  • 横手市交流促進施設「オアシス館(黒川地区交流センター)」(字館西619番地)[34]
  • 黒川農村公園(字富士見1番地)[48]
  • 西地区野球場(字一本木)[49]
  • 秋田県流域下水道横手処理センター(字福柳350番地)[50]
    施設の脇には、長さ約400メートルの歩道に約70本のイチョウが植えられており、並木道を形成している[51][52]

参考文献

脚注

  1. ^ a b c d e 令和2年国勢調査の調査結果(e-Stat)”. 総務省統計局 (2020年10月). 2025年6月21日閲覧。
  2. ^ a b c d e f 角川日本地名大辞典編纂 1980, p. 790.
  3. ^ a b 郵便番号”. 日本郵便. 2025年6月29日閲覧。
  4. ^ 市外局番の一覧”. 総務省. 2022年3月21日閲覧。
  5. ^ 都市計画区域・区域区分(線引き)”. 横手市 (2021年9月28日). 2025年6月19日閲覧。
  6. ^ 都市計画図(横手地域)”. 横手市 (2024年3月29日). 2025年6月19日閲覧。
  7. ^ 秋田魁新報 1981, p. 268.
  8. ^ 佐藤 1995, p. 15.
  9. ^ 吉田 1907, p. 4560.
  10. ^ 伊沢 1984, p. 84.
  11. ^ a b 横手市(秋田地方法務局大曲支局)登記所備付地図データ”. G空間情報センター. 一般社団法人社会基盤情報流通推進協議会 (2024年10月5日). 2025年3月25日閲覧。
  12. ^ a b 秋田県 横手市 町字マスター(フルセット) データセット”. デジタル庁 (2024年7月5日). 2025年1月14日閲覧。
  13. ^ a b 横手市総務企画部情報政策課情報政策係: “横手市の行政区”. オープンデータ. 横手市 (2022年5月24日). 2025年3月25日閲覧。
  14. ^ a b c 横手市史編さん 1981, p. 142.
  15. ^ a b c d e 横手市史編さん 1981, p. 34.
  16. ^ a b 横手市史編さん 1981, p. 33.
  17. ^ 横手市 2010, p. 702.
  18. ^ 横手市 2010, pp. 702–703.
  19. ^ a b 横手市 2010, p. 703.
  20. ^ a b 平凡社 1980, p. 245.
  21. ^ a b 秋田県教育委員会 1981, p. 330.
  22. ^ a b 横手市史編さん 1981, p. 35.
  23. ^ 横手市史編さん 1981, p. 369.
  24. ^ 横手市史編さん 1981, p. 38.
  25. ^ 角川日本地名大辞典 1979, p. 790.
  26. ^ a b 横手市史編さん 1981, p. 181.
  27. ^ 横手市史編さん 1981, p. 392.
  28. ^ 横手市史編さん 1981, p. 283.
  29. ^ 横手市史編さん 1981, p. 246.
  30. ^ 角川日本地名大辞典 1979, p. 787.
  31. ^ 総理府告示第977号」『官報』第8472号、大蔵省印刷局、1955年3月31日https://search.kanpoo.jp/r/19550331h8472p540-49/2025年6月30日閲覧 
  32. ^ 角川日本地名大辞典 1979, p. 267.
  33. ^ 横手市史編さん 1981, p. 376.
  34. ^ a b 横手市横手総合交流促進施設設置条例”. 横手市 (2025年4月1日). 2025年6月19日閲覧。
  35. ^ 横手市 2011, p. 735.
  36. ^ a b 【定住促進】横手市のなりたち”. 横手市 (2021年9月28日). 2025年6月30日閲覧。
  37. ^ a b 国勢調査 / 平成6年国勢調査 小地域集計 / 小地域集計 05秋田県”. 総務省統計局. 2022年5月12日閲覧。
  38. ^ a b 国勢調査 / 平成12年国勢調査 / 小地域集計 05秋田県”. 総務省統計局. 2022年5月12日閲覧。
  39. ^ a b 国勢調査 / 平成17年国勢調査 / 小地域集計 05秋田県”. 総務省統計局. 2022年5月9日閲覧。
  40. ^ a b 国勢調査 / 平成22年国勢調査 / 小地域集計 05秋田県”. 総務省統計局. 2022年5月9日閲覧。
  41. ^ a b 国勢調査 / 平成27年国勢調査 / 小地域集計 05秋田県”. 総務省統計局. 2022年5月9日閲覧。
  42. ^ 横手市立小中学校通学区域に関する規則”. 横手市. 2022年3月23日閲覧。
  43. ^ 秋田県内の16バス路線、30日に廃止 過去10年で最多」『秋田魁新報』2023年9月29日。オリジナルの2023年9月29日時点におけるアーカイブ。2025年3月7日閲覧。
  44. ^ 角間川線の廃止について(重要)” (PDF). 羽後交通株式会社 (2023年8月29日). 2023年8月30日閲覧。
  45. ^ a b c d e 神明社”. 秋田県神社庁. 2025年6月30日閲覧。
  46. ^ 横手市史編さん 1981, p. 515.
  47. ^ a b c d e f 横手市史編さん 1981, p. 516.
  48. ^ 黒川農村公園(多目的広場)”. 施設案内. 横手市 (2025年3月12日). 2025年6月30日閲覧。
  49. ^ 西地区野球場”. 施設案内. 横手市 (2025年3月12日). 2025年6月30日閲覧。
  50. ^ 横手市の下水処理場について知りたいのですが。”. 下水道 よくある質問. 横手市 (2025年3月28日). 2025年6月30日閲覧。
  51. ^ 横手市黒川のイチョウ並木見頃 落葉に覆われ、黄色いじゅうたんに」『秋田魁新報 電子版』2024年11月14日。オリジナルの2024年11月14日時点におけるアーカイブ。2025年6月30日閲覧。
  52. ^ 黄色に染まったイチョウ並木 晩秋の雰囲気を楽しむ 横手”. NHK NEWS WEB. 日本放送協会 (2024年11月16日). 2025年6月30日閲覧。

関連項目

外部リンク


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