震災不況と震災特需、復興に伴う問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 23:46 UTC 版)
「東日本大震災の経済への影響」の記事における「震災不況と震災特需、復興に伴う問題」の解説
年別東日本大震災関連倒産の推移(2017年3月末現在) 年件数負債総額(百万円)2011 544 744,751 2012 490 615,017 2013 333 124,471 2014 175 46,451 2015 141 49,038 2016 97 29,650 2017 15 6,450 東日本大震災関連倒産地区別概況(2017年3月末現在) 地区件数構成比(%)負債総額(百万円)北海道 84 4.67 25,656 東北 374 20.83 121,796 関東 950 52.92 1,166,262 中部 110 6.12 64,628 北陸 52 2.89 92,225 近畿 79 4.40 65,855 中国 22 1.22 11,157 四国 19 1.05 19,182 九州 105 5.84 49,067 東北・関東地方の太平洋岸では、津波による浸水で会社や工場が損壊したり社員が被災したりして打撃を受けた企業があった。臨海工業地域が大きな被害を受けたほか、倉庫が流失するなどして海沿いの物流拠点が機能しなくなったことで海上輸送にも大きな影響が出た。また、復旧したところや被害を受けていないところであっても電力不足の影響で震災直後に節電要請が出されたり、3月13日以降の計画停電によって業務の中断や見直しを迫られるなどの影響が発生した。また、原発事故の放射性物質汚染による被害・風評被害や、震災後一時的に高まった各方面での消費自粛ムードが響いた企業もあった。震災以降業績が悪化し、倒産する企業も発生している。日銀短観や帝国データバンクによる景気動向調査では、景況感が悪化したとの調査結果が出ており、帝国データバンクは、リーマン・ショックに次ぐ大幅な落ち込みであり、急激に企業の景気認識が悪化しているとしている。 震災で多くの工場や製油所が被災し操業を停止したため、製造業に大きな影響が出た。2011年5月20日、震災と福島第一原子力発電所事故の対応に追われた東京電力は、年間決算の最終損益が創業以来最大となる1兆2,473億円の赤字に転落したことを明らかにした。これは、日本の事業会社としては過去最大の赤字となる。自動車産業では、部品供給網が途切れたために国内大手メーカーのほとんどの工場が停止し、4月には操業を再開したものの、5月時点でも生産量は本格的には回復していなかった。また、紙やインキの原料となる石油化学製品の不足から出版・印刷業界に影響が生じたほか、キャップ や容器、ビール などでも供給不足が生じた。日本国外でも、自動車産業などで日本からの部品が調達できないために操業を停止した工場が出ている。 一方、一部の産業・商品では「震災特需」「復興特需」と表現される突発的な需要が発生した。また、今後復興に伴う建設需要が急増することが予想される。こういった需要の見込みから、建設業、不動産等の関連企業の株価が上昇する現象が発生した。また、それ以外にも移動電源車、防災や節電関連商品などの需要が急増して増収となった企業もある。 また農林水産業でも、津波により港湾施設・設備や養殖施設が破壊されたり、農地が浸水したり、農業施設や設備が破壊されたりして大きな被害が生じている。7月1日の農林水産省の発表によると、岩手・宮城・福島を中心に約2兆1,000億円の被害が生じておりさらに増える見込みとされた。特に三陸沖は世界三大漁場である北西太平洋海域の主要漁場とされ、被災した北海道 - 千葉の太平洋岸7道県だけで海面漁業生産量は全国の半分以上を占める漁業地帯であり、漁業だけではなく水産加工業などの関連産業も連鎖的に打撃を受けたため、影響は大きかった。また原発事故による放射性物質拡散が、一部水産物の出荷停止などの形で影響を及ぼしていて、現在も続いている。復旧は進んでいて、2011年12月時点ですべての漁港で瓦礫の撤去が完了したのをはじめ、6割の漁港で水揚げ可能となり、水揚げ量・額も11月時点で前年同月比6割程度まで回復している。しかし、復興に伴い地域主体で行ってきたこれまでのやり方を転換する漁港の集約や民間企業の参入が提案され、それに対する反発が起きていて、漁業者の生活や水産業のあり方を巻き込んだ議論となっている。 失業問題も深刻である。NHKの調査・日本総合研究所の推計によると2011年末で推定12万人が失業しているという。石巻市のある仮設住宅では年金生活者を除く約半数の世帯が震災で仕事を失った。特に自営業者の失業率が高い。またその後続々と失業保険による給付が打ち切られていくという[出典無効]。
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