蒸気機関車牽引による鉄道とは? わかりやすく解説

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蒸気機関車牽引による鉄道

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 04:29 UTC 版)

アメリカ合衆国の鉄道史」の記事における「蒸気機関車牽引による鉄道」の解説

ニュージャージー州ホーボーケン住んでいた元陸軍大佐弁護士技術者・発明家であったジョン・スティーブンスは、蒸気鉄道導入提唱し1815年にはニュージャージー州州議会から鉄道建設許可取り付けた1823年にはペンシルベニア州州議会からも鉄道建設許可取り付けたが、反対強く、また鉄道建設必要な資金集めることができなかった。そこで、スティーブンス1825年自宅の庭に円形線路敷いて自力開発した蒸気機関車走らせた。これは線路設けた突起機関車歯車噛み合わせ前進するラック式鉄道で、最高速度19 km/hほど出した。これがアメリカにおいて最初に走った機関車である。 イギリスでは次第蒸気機関車とそれによる鉄道発達しつつあり、この時期イギリス視察行ったアメリカ人報告により次第アメリカで蒸気鉄道への理解深まりつつあった。重力式鉄道建設したデラウェア・アンド・ハドソン鉄道でも、インクラインの間にある平坦な区間において牽引に馬ではなく蒸気機関車用いることを計画したこのためにジョン・ジャービスは部下技術者であるホレイショ・アレンイギリスへ送ったアレンイギリスで、蒸気機関車実用化をしたジョージ・スチーブンソン面会しストックトン・アンド・ダーリントン鉄道見学した。そしてロバート・スチーブンソン・アンド・カンパニーに1両、フォスター・ラストリック・アンド・カンパニーに3両の蒸気機関車発注してアメリカ持ち帰ったロバート・スチーブンソン製の機関車は「プライド・オブ・ニューカッスル」(Pride of Newcastle)、フォスター・ラストリック製の機関車は「デラウェア」(Delaware)、「ハドソン」(Hudson)、「スタウアブリッジ・ライオン」と名づけられたが、デラウェアハドソンについてはその後記録残っておらずはっきりしない。またプライド・オブ・ニューカッスルも、解体され部品取り使われたものと考えられている。実際にデラウェア・アンド・ハドソン鉄道走ったのはスタウアブリッジ・ライオンで、1829年8月8日のことであった機関車性能良好であったが、木製レール橋梁機関車重量に耐えられず、とても実用には耐えないと判断されて、デラウェア・アンド・ハドソン鉄道での蒸気機関車使用はこの時点では見送られてしまった。 一方ボルチモア・アンド・オハイオ鉄道では、曲線がきついことから蒸気機関車利用不可能であるというジョージ・スチーブンソン意見により馬の牽引開業していた。しかし実業家政治家でもあるピーター・クーパーは、購入した蒸気機関搭載した機関車試作してみた。この機関車は「トム・サム」という名で、1830年8月試運転行った。これは、アメリカで一般営業をする路線において初め走行した機関車となったが、まだ試作試運転留まり営業運行には用いられなかった。馬が牽引する列車との競走1830年8月25日行いトム・サム故障のために馬に敗れはしたが、蒸気機関車実用に足ることを示し、またスチーブンソン意見反して曲線でも走行可能であることが分かったこのためボルチモア・アンド・オハイオ鉄道では翌年実用機関車を選定するコンテスト開催し7月から蒸気機関車による定期旅客営業開始したサウスカロライナ州においてサウスカロライナ運河鉄道英語版)でも蒸気機関車の運転を開始した技師長はデラウェア・アンド・ハドソン鉄道から移ってきたホレイショ・アレンで、ニューヨークのウェスト・ポイント・ファウンドリー(英語版)に発注して蒸気機関車製造させた。完成したのは「ベスト・フレンド・オブ・チャールストン(英語版)」で、1830年12月25日に運転が開始された。この鉄道軌間は5フィートで、これ以降南部標準的な軌間としてしばらく使用された。これがアメリカで最初に営業運転使用され実用蒸気機関車となった。 こうして蒸気機関車実用に用いられるうになると、アメリカ各地でその使用広がっていった。1832年ペンシルベニア州バージニア州1833年ノースカロライナ州1834年ケンタッキー州1835年ワシントンD.C.ロードアイランド州1836年フロリダ州メイン州ミシガン州ウェストバージニア州1837年ミシシッピ州ジョージア州1838年コネティカット州イリノイ州ニューハンプシャー州といった州で蒸気鉄道運行開始され1840年には鉄道総延長が4,500 km達した。これは当時ヨーロッパすべての鉄道合計した距離の2倍にもなった。 鉄道の運行に必ずしも皆が好意的というわけではなく、特に鉄道進出によって影響を受けることになる運河所有会社からは激烈な反対受けた巨大な資本投じて建設され長年をかけて償還される運河は、建設に際してその地域輸送独占する免許与えられ公共事業として保護されることが常であったため、鉄道の建設に対して訴訟起こすなどして抵抗した。しかし実際には、特にかさばるばら積み貨物などに関して長く鉄道より運河輸送の方が運賃低廉で、1854年時点で1トンを1マイル (1.6 km) 輸送するめにかかる費用運河では1セント前後であったに対して鉄道では2セント超えており、鉄道網発達して依然として運河による輸送量増加していた。とはいえ鉄道輸送速度運河より絶対的に速く緯度の高い地方にある運河冬季凍結して長期間輸送不能になることや、平地にしか建設できず支線網を伸ばすことが困難で、馬車との積み替えがどうしても発生することなど、鉄道の方が有利な点数多くあり、旅客輸送郵便物輸送軽量な物品輸送などから鉄道転換していくことになった一方一般の人々からも、事故対す恐怖沿線火災引き起こす家畜驚いて牛の乳の出が悪くなるといった理由挙げて反発を受けることがあった。

※この「蒸気機関車牽引による鉄道」の解説は、「アメリカ合衆国の鉄道史」の解説の一部です。
「蒸気機関車牽引による鉄道」を含む「アメリカ合衆国の鉄道史」の記事については、「アメリカ合衆国の鉄道史」の概要を参照ください。

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