自主審査機構とは? わかりやすく解説

自主審査機構

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 18:47 UTC 版)

アダルトゲーム」の記事における「自主審査機構」の解説

規制に関する歴史あるように、業界にとって青天の霹靂とでも言うべき事態であった沙織事件などから来る規制強化流れ受けて1992年、自主審査機構つまり自主規制団体としてコンピュータソフトウェア倫理機構(以下ソフ倫)が設立された。 最初期制定され性表現規制基準については、主に当時アダルトビデオ業界最大の自主審査機構・日本ビデオ倫理協会(以下ビデ倫)の基準参考にしていたが、動画実写作品管理することを主目的としたビデ倫モデルにした基準は、ほとんどの作品静止画イラスト主体であるアダルトゲーム実態にはそぐわないものであった。 しかし、ソフ倫アダルトゲーム業界唯一の審査機構であることを背景に、パソコンソフト卸・流通企業との関係連携重視しこれらを取り込むことで、ソフ倫加盟してその規制指示に従わなければアダルトゲームパソコンソフト商業流通販路乗せることが事実上不可能になるという業界構図作り出し設立後数年経たないうちにアダルトゲーム業界絶大な権力を持つに至った。 だが、その反面で、ソフ倫はその業務内容については非公開としており、ソフ倫人員提供する一部制作会社に対して作品審査が甘いという指摘なされるなど、透明性が低いと言わざるを得ない組織体質であり、プレイヤーサイド求めるものとのギャップ大きくプレイヤー会員メーカーからの不信感招いた。その上組織体質的に極度事なかれ主義で、1999年施行児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律影響波及する事態沙織事件再来恐れ18歳未満男女キャラクター性的描写禁止や、ゲーム内において使ってはいけない言葉いわゆるNGワード」)などといった規制強化ばかりを年々進め続け例えば「高校生」(ほとんどが18歳未満)という言葉を「学園生」(年齢不詳)に言い換える、など)、ジュブナイルポルノアダルトアニメなどと比べて表現制約と不自由さは増すばかりであった。しかも、ソフ倫アダルトゲーム審査業務事実上独占し上述のように卸・流通をも掌握していたことから、事実上商業流通アダルトゲーム市場でのメーカークリエイター生殺与奪の権握っていたと言っても過言では無くアダルトゲームメーカークリエイターたちはソフ倫加盟自主審査かは関係なくソフ倫楯突くような真似はできず、ノベライズであるジュブナイルポルノ作品など関連商品雑誌イラストウェブサイトなどにおける表現言動含めて業界権勢を増すばかりのソフ倫影響下から逃れることはできなかった。 この状況小さくとも風穴が開く、すなわちアダルトゲーム審査業務におけるソフ倫独占崩れる、その転機となる出来事きっかけ2001年8月起きた『君が望む永遠』2001年アージュ)が、画像修正理に不手際があるとして“自主回収となった発売元アージュの代表は後年同作について「自主審査のうえで自主回収だった」としている が、自主回収騒動の後しばらくは主に同作絡めてアダルトゲーム業界ソフ倫絡んだ様々な情報憶測流れたことも事実である。 「君が望む永遠#初回生産版回収騒動」も参照 いずれにせよ同作回収騒ぎ1つ契機となり、アージュ作品取り扱っていたソフトウェア卸売会社ホビボックスは、アダルトビデオの自主審査機構だったメディア倫理協会(現・コンテンツ・ソフト協同組合メディア倫理委員会、以下メディ倫)にアダルトゲーム審査を行うように働きかける。そして、2003年2月アージュ『マブラヴ』メディ倫審査によるアダルトゲーム第1号として発売された。また、ホビボックスとソフト流通独占契約締結していたぱんだはうすなど数ブランドが、アージュとほぼ同時期にメディ倫移行した前作『君が望む永遠』ヒット作になったアージュ新作『マブラヴ』は、諸般の事情発売予定日延期何度も繰り返しながらも大きな注目集めていた。しかし、メディ倫審査による作品登場という事に対して当初パソコンソフト流通企業やこのルートからの仕入れメインとする小売店多くは、ソフ倫との関係への配慮からソフ倫審査作品以外は取り扱わない方針取ったその結果多くパソコンソフト販売店で『マブラヴ』について入荷どころか仕入れ元からの情報さえ一切皆無という事態が起きパソコンソフト販売店の店頭通販ルートからの購入希望者たちを困惑させる。その一方で『マブラヴ』流通販売中核担ったのは、従前からメディ倫審査アダルトビデオ販売数多く手掛けていたアダルトビデオ系の流通とこれを取り扱うサブカルチャー書店であったパソコンソフト販売店での『マブラヴ』入手難から、アダルトゲームプレイヤーたちの間ではインターネット上で同作販売概況を巡る情報交換幅広く行われ、やがて実情明らかになるに連れてサブカルチャー書店でのパソコンソフト販売対す認知プレイヤーの間で広まることになったまた、当時メディ倫ソフ倫異なり全ての素材審査する完全審査体制取っており、卑猥な用語に対す規制ソフ倫より若干緩いものであったメディ倫審査通過した『マブラヴ』登場によって、当時ソフ倫メディ倫規制などへに対す姿勢相違点比較されその中でソフ倫表現規制末端加盟メーカー対す姿勢のきつさが表面化する格好になったその後2004年初頭数々ブランド抱え大手テックアーツメディ倫への移行表明前後して主に中堅以下の数ブランドメディ倫移行しその後設立されメーカー中には最初からメディ倫による審査選択しソフ倫には加盟しない所も見られるようになった。これらの結果パソコンソフト流通属す流通小売各社メディ倫審査作品存在無視することができなくなりなし崩し的取り扱い開始され10年以上にわたって続いたソフ倫によるアダルトゲーム審査業務独占崩壊することになった。 この一連の流れ受けて加盟メーカーメディ倫審査への流出防止、すなわち組織防衛必要に迫られソフ倫様々な対抗策打ち出して加盟メーカー引き留め図ったが、その最大切り札は、それまで組織内部では口にすることさえ事実上タブーであった性的描写部分的規制緩和であり、たとえば一度厳禁になった近親相姦描写2004年以降作品から再解禁となった。 なお、メディ倫によるアダルトゲーム審査業務は、メディ倫組織変更に伴い2010年映像倫理機構による審査業務移行している。

※この「自主審査機構」の解説は、「アダルトゲーム」の解説の一部です。
「自主審査機構」を含む「アダルトゲーム」の記事については、「アダルトゲーム」の概要を参照ください。

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