米ソ冷戦終結 - 現在までのアメリカの軍事政策
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「アメリカの軍需経済と軍事政策」の記事における「米ソ冷戦終結 - 現在までのアメリカの軍事政策」の解説
1990年11月、ヨーロッパ通常戦力条約に署名。アメリカ政府(ブッシュ大統領・共和党)と当時のNATO加盟16か国政府、当時のワルシャワ条約機構加盟14か国がヨーロッパ通常戦力条約(CFE)に署名した。ヨーロッパ通常戦力条約(CFE)は冷戦終結の結果、NATOとワルシャワ条約機構の全加盟国が、戦闘用の車両、戦闘用の航空機、各種の大砲の配備数の上限を設定し、上限数を超えて配備されている武器の廃棄と、廃棄を確認するための査察を規定している。 1991年6月、中距離核戦力全廃条約の履行を確認。アメリカ政府(ブッシュ大統領・共和党)とソ連政府は、中距離核戦力全廃条約(INF)が規定する核兵器を搭載する射程距離が500-5500kmのミサイルをアメリカは846基、ソ連は1846基、全て廃棄したことを、アメリカ政府とロシア政府の相互査察により確認したと発表した。 1991年7月、第一次戦略兵器削減条約に署名。アメリカ政府(ブッシュ大統領・共和党)とソ連政府は、第一次戦略兵器削減条約(START1)に署名した。第一次戦略核兵器削減条約は、アメリカとソ連が条約発効の7年後までに、核兵器を搭載する弾道ミサイル、潜水艦発射弾道ミサイル、爆撃機をそれぞれ1600基(機)に削減することを規定し、配備される核弾頭数の上限をアメリカは32000発から6000発に、ソ連は45000発から6000発に削減し、6000発のうち大陸間弾道ミサイル、潜水艦発射弾道ミサイルに搭載する弾頭数は4900発以下に削減することを規定した。 1992年10月、第一次戦略兵器削減条約を批准。アメリカ議会上院(民主党が多数派)は、第一次戦略兵器削減条約(START1)を批准した。 1993年1月、第二次戦略兵器削減条約に署名。アメリカ政府(ブッシュ大統領・共和党)とロシア政府は、第二次戦略兵器削減条約(START2)に署名した。第二次戦略核兵器削減条約は、アメリカとロシアは2003年月1日までに配備する核弾頭数を3000-3500発以下に削減し、潜水艦発射弾道ミサイルを1750発以下に削減、複数の核弾頭を搭載する弾道ミサイルを全廃することを規定した。 1993年1月、化学兵器禁止条約に署名。アメリカ政府(ブッシュ大統領・共和党)は、化学兵器の開発、生産、取得、保有、移譲、使用を禁止、条約発効後10年以内に全ての化学兵器を廃棄、条約の履行状況を査察・検証する機関として化学兵器禁止機関(OPCW)を設立を規定した化学兵器禁止条約(CWC)に署名した。 1995年3月、特定通常兵器使用禁止制限条約を批准。アメリカ議会上院(共和党が多数派)は、特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)を批准した。 1996年1月、第二次戦略兵器削減条約を批准。アメリカ議会上院(共和党が多数派)は、第二次戦略兵器削減条約(START2)を批准した。 1996年9月、包括的核実験禁止条約に署名。アメリカ政府(クリントン大統領・民主党)は、包括的核実験禁止条約(CTBT)に署名した。アメリカ議会上院(1995年1月4日-2007年1月3日までは共和党が多数派、2007年1月4日-2009年1月3日は民主党が多数派)は未批准である。包括的核実験禁止条約(CTBT)は国際原子力機関の加盟44か国全ての批准が必要であるが、アメリカ、中国、インド、パキスタン、イスラエル、イラン、インドネシア、ベトナム、エジプト、コロンビア、コンゴ民主共和国、北朝鮮の12か国が未批准なので未発効である。アメリカ、中国、インドネシア、コロンビア、エジプト、イラン、イスラエルの7か国は署名済・未批准、北朝鮮、インド、パキスタンの3か国は未署名・未批准である。 1997年4月、化学兵器禁止条約を批准。アメリカ議会上院(共和党が多数派)は、化学兵器禁止条約(CWC)を批准した。 1997年9月、第二次戦略兵器削減条約の履行期限の延期議定書に署名。アメリカ政府(クリントン大統領・民主党)とロシア政府は第二次戦略兵器削減条約(START2)の条約の履行期限を2003年1月1日から2007年に延長すると規定した議定書に署名した。 1997年12月、対人地雷禁止条約への未署名。対人地雷禁止条約(APM Convention or Mine-Ban Convention)が採択された。アメリカ政府(採択時から歴代の大統領は、クリントン・民主党、ブッシュ・共和党)は、2007年8月時点で未署名である。 2000年4月、第二次戦略兵器削減条約の履行期限の延期議定書を未批准。ロシア議会は第二次戦略兵器削減条約(START2)と履行延期の議定書を批准した。ロシア議会は批准の条件として、アメリカが弾道弾迎撃ミサイル制限条約(ABM)から脱退した場合はロシアも第二次戦略兵器削減条約(START2)から脱退する権利を留保する規定を含んでいた。アメリカ議会上院(1995年1月4日-2007年1月3日までは共和党が多数派、2007年1月4日-2009年1月3日までは民主党が多数派)は第二次戦略兵器削減条約(START2)の履行期限の延期を規定した1997年9月に署名された議定書は批准していないので第二次戦略兵器削減条約(START2)は未発効の状態である。 2001年 - (継続中)、軍の機械化・戦場の無人化計画推進。アメリカ政府(ブッシュ大統領・共和党)は、軍人の死傷者の減少と軍人削減のための、自律制御または遠隔操作の偵察・工作・戦闘ロボット、遠隔操作の無人戦闘車両、遠隔操作の無人偵察・戦闘・爆撃機などの、偵察・工作・戦闘・戦場無人化装置・システムを研究・開発中である。 2001年12月、第一次戦略兵器削減条約の履行を確認。アメリカ政府(ブッシュ大統領・共和党)とロシア政府は、第一次戦略兵器削減条約(START1)が規定する戦略核兵器と核兵器運搬手段の削減に関して、アメリカの核弾頭数は5949発、ロシアの核弾頭数は5518発に削減したことを、アメリカ政府とロシア政府の相互査察により確認したと発表した。 2002年5月、戦略攻撃能力削減条約に署名。アメリカ政府(ブッシュ大統領・共和党)とロシアは、戦略攻撃能力削条約(SORT)に署名した。戦略攻撃能力削減に関する条約は、アメリカとロシアが2012年までに、配備された核弾頭数を1700-2200発に削減することを規定、削減された核弾頭と、運搬手段である大陸間弾道ミサイル、潜水艦発射弾道ミサイル、爆撃機の廃棄は義務付けられず、削減した核弾頭を保管すること、削減せずに保有する核弾頭の種類と、核弾頭の運搬手段の種類と数量については、規制されないと規定している。 2002年6月、弾道弾迎撃ミサイル制限条約から脱退。アメリカ政府(ブッシュ大統領・共和党)は、弾道弾迎撃ミサイル制限条約(ABM)から脱退し、条約は失効した。ロシア政府は、アメリカ議会が第二次戦略兵器削減条約(START2)の議定書を批准しないこと、アメリカ政府が迎撃ミサイル制限条約(ABM)から撤退したことに対して、ロシア政府も第二次戦略兵器削減条約(START2)を履行するために行動する義務は無くなったと表明した。 2003年6月、戦略攻撃能力削減条約の批准。アメリカ議会上院(共和党が多数派)は、戦略攻撃能力削減に関する戦略攻撃能力削減条約(SORT)を批准した。 2006年 - (継続中)、アメリカ軍の再編計画推進。アメリカ政府(ブッシュ大統領・共和党)は、軍事的脅威の主要な要素が他国の軍事力・他国との戦争から、武装民兵の武力・武力攻撃に推移した現状に対して、柔軟で機動力が高い軍事組織への転換をめざして、2014年までの9年間におよぶ世界的な米軍再編を計画した。世界的な米軍再編計画にともない、在日米軍基地の一部返還・在日米軍兵士数の削減を計画した。 2010年12月、新戦略兵器削減条約の批准。第一次戦略兵器削減条約(STARTI条約,1994年発効)が2009年12月5日に失効し、そのため後継条約の締結を決議していた。2010年4月8日,プラハ(チェコ)において,米露両国大統領がSTARTI条約を後継する新START条約に署名。2010年12月22日に米国上院(民主党が多数派)、2011年1月26日にロシア連邦院が新START条約の締結を承認し、2011年2月5日に発効した。条約では、弾頭上限合計数を米露双方で1550発以下にすること(配備ICBM搭載弾頭数,配備SLBM搭載弾頭数,配備重爆撃機搭載核弾頭)、運搬手段上限合計数を米露双方で800基・機(配備・未配備のICBM発射基,SLBM発射基及び重爆撃機)とした。 2019年2月、中距離核戦力全廃条約の破棄。アメリカ政府(トランプ大統領・共和党)は、ロシア(旧ソ連)政府との中距離核戦力廃棄条約について破棄通告を発表した。2014年、アメリカ政府(オバマ大統領・民主党)は、ロシアが条約に違反するミサイルの発射実験を実施したと指摘した。2018年10月、アメリカ政府(トランプ大統領・共和党)は、ロシアの新型ミサイルの射程が条約に違反しているなどと主張し、破棄する方針を表明した。同年12月には60日以内にロシアが是正しなければ条約破棄の手続きを進めると最後通告していた。2019年2月2日から義務履行を停止すると明らかにした。条約は2月2日の正式通告の6カ月後に失効した。 2019年12月、宇宙軍創設。アメリカ政府(トランプ大統領・共和党)は、ドナルド・トランプ大統領が署名した2020会計年度国防権限法により、陸海空軍、海兵隊及び沿岸警備隊に続く「第6の軍」、1947年以来72年ぶりとなる新しい軍種として「宇宙軍」が発足した。当初は空軍の宇宙関連部隊を中心に約1万6000人が移動する。 上記のアメリカの軍事政策の歴史に関する備考徴兵制に関する政策はアメリカの徴兵制の歴史を参照。
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