県立中央図書館(1970-)
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「静岡県立中央図書館」の記事における「県立中央図書館(1970-)」の解説
移転新築 1960年代になると老朽化が問題となり、図書館の移転新築の要望が起こり、1963年(昭和38年)、県政の重点施策として草薙地区に図書館、美術館兼博物館、体育館、音楽ホールを内包する大規模文化エリア「県文化センター」の建設構想がまとめられる。1960年度(昭和40年度)には、県の広報課に文化センター建設準備室を設置、教育委員会は新図書館研究委員会を設けて、調査研究に入った。1961年(昭和41年)8月には、企画調整部長の意見聴取に対し同研究委員会による成果物「新図書館の望ましい姿」を教育長名で回答、翌1962年(昭和42年)9月、県会の議決を得て、12月に着工する。名称変更と準備期間を経て、1970年(昭和45年)4月に静岡県立美術館に隣接する現在地に移転し、静岡県立中央図書館が開館した。初代館長は高林静夫。 平成期 1994年(平成6年)、電算システムを導入し、業務を開始する。以降、コンピュータ技術と情報メディアの革新的発展の中で、1998年(平成10年)には、「静岡県年生涯学習情報提供システム:マナビット」のインターネット化、静岡県立中央図書館ウェブサイトの開設、さらに、2000年(平成12年)に「デジタル葵文庫」、2004年(平成16年)には「静岡県横断検索システム:おうだんくん」を構築するなど、新サービスの提供を行っている。 しかし、かつては年間20万人あった入館者数が、1997年度(平成9年度)には15万人まで落ち込んだ。当然貸出数も減少し、それにともない資料費も減額される。当時の静岡県立図書館は、職員数、資料費、所蔵冊数等が全国的に最下位に近く、県内の市町立図書館の格差もあり、貧しい図書館事情にあった。1998年(平成10年)4月に鈴木善彦が館長として着任すると、利用率の低下と予算の減額の悪循環を断ち切るべく、「開かれた図書館」「信頼される図書館」「成長し続ける図書館」を3つの基本理念に据えて、3年間にわたり計画的・持続的な改革が行われた。具体的には、貸出冊数の増加や、貸出可能図書の範囲拡大、県外在住者への規制緩和、開館時間延長など、「調査研究活動の支援」から「県民の学習活動の支援」へサービスの重点を見直し、利用者に見える形での実践を行った。 こうした県立図書館側の変化は、県民の心も動かし、図書館協議会委員が立ち上げた「県立図書館サポーターネットワーク」を中心とした、減額の危機にあった予算の獲得のための署名活動が行われる。署名は2か月で1万数千名分が集まり、賛同団体29、賛同人124名によって要望書が知事に届けられた。それにより、7千万円の予定だった資料費は、2001年度(平成13年度)には1億円にまで大幅増額が実現した。また、図書館協議会より要望のあった児童図書の購入が2001年(平成13年)4月から開始され、その後2004年(平成16年)6月には「子ども図書研究室」が開設された。 外部機関との連携としては、2007年度(平成19年度)に中国浙江図書館と姉妹図書館関係を結び、研修員の受け入れや資料の交換を継続して行っているほか、静岡県立美術館、静岡県埋蔵文化財調査研究所(現在の静岡県埋蔵文化財センター)、静岡県立大学と4機関で始めた「ムセイオン静岡」と呼ぶ文化の情報発信の協働を行っている。 2015年(平成27年)、創立90周年をむかえ、記念事業を実施した。同年6月2日、富士山に関する情報発信強化を目的とし、山梨県立図書館と、富士山に関する資料の相互利用に関して、3年間の連携協定を結んでいる「。 2016年(平成28年)11月16日、静岡図書館友の会により、老朽化が進む静岡県立中央図書館の新館建設と今後の図書館サービスについての期待を盛り込んだ「静岡県立図書館の新館建設についての要望書」が静岡県教育長に提出されている。 2017年(平成29年)4月から6月に行った長寿命化改修の可能性等を検討する施設調査で、資料棟2階閲覧室の床(1階書庫の天井部)に積載荷重と劣化によるひび割れがある事が分かった。静岡県教育委員会は利用者の安全確保に万全を期すため、同年7月4日から3〜4ヶ月程度の臨時休館を決定、館内の所蔵資料を一旦移動させ主因となった荷重超過の状態を解消した上で、再度詳しい調査を行い対策を検討するとした。開館以来、前例のない全職員による大幅な蔵書移動が行われるなか、同年9月25日の静岡県議会代表質問において、川勝平太静岡県知事がJR東静岡駅南側に計画中の『文化力の拠点』に全面移転すると答弁した。これを受け、新館基本構想策定に向けた各種協議や会議を行っていたが、2018年(平成30年)3月19日の静岡県教育委員会定例会で、新図書館の基本構想案が承認された。
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