有神論的サタニズムの教説の多様性とは? わかりやすく解説

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有神論的サタニズムの教説の多様性

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/02 09:10 UTC 版)

有神論的サタニズム」の記事における「有神論的サタニズムの教説の多様性」の解説

インターネットによってサタニスト教説多様性がより意識されるようになり、一方で多様性が増すことにもなった。しかしそれでもサタニズムは常に多元主義的・脱中心的な宗教であり続けてきた。サタニズム外部研究者たち有神論的か無神論的かによってサタニズム分類して研究し文字通りサタン協同しようという実践伝統的サタニズムあるいは有神論的サタニズム呼称した。アブラハムの宗教みられるような厳密な意味でのサタンであるかもしくはアーリマンエンキといった他の宗教(大抵はキリスト教以前宗教)の神々習合しサタンあるような1~複数神格認め神学的形而上学的経典受け入れることが、一般に有神論サタニストみなされるための条件となっている。Children of the Black Roseという現存しない小規模なグループではサタンがThe Kybalionに記されているような汎神論的な「全者」とみなされていた。多く有神論サタニスト一つの解釈信じ込むよりもむしろ個々概念サタンに関する多様な概念全体の諸部分基づいているのだと考えている。 神話ステレオタイプ終始することを選ぶ者もいるが、有神論的サタニズム言及するうえでキリスト教は常に第一枠組みというわけではない。有神論サタニスト宗教ネオペイガニズム左道オカルトといった流儀基づいている場合もある。キリスト教サタン論に基づいた信仰を持つ有神論サタニストは他のサタニストから「逆キリスト者」(英: reverse Christian)と呼ばれるが、これはしばし侮蔑的な含意を伴う。一方「逆キリスト者」と呼ばれる人々自身自分たちのサタン論を純粋で混じりけのないものとみなしていることがある。彼らはより厳密なサタン解釈信奉する: つまり、キリスト教聖書登場するようなサタンである。こういった意識有神論サタニスト大多数には共有されていないものの、ウイッカはほとんどのサタニズムを逆キリスト教とみなし、無神論者であるサタン教会指導者ピーター・ハワード・ギルモア(英語版)は「悪魔崇拝」をキリスト教異端、つまり多様なキリスト教の一形式だとみなしている。有神論的サタニズム分類される信仰多様性有神論的サタニズム内部激し議論原因であるが、サタン個人主義慫慂していることの反映だとしばしばみなされる。 はっきりと伝統的サタニズム自認する著名なグループとしてOrder of Nine Anglesがある。このグループ人間生贄捧げることを奨励しているために議論の的となり、新聞書籍数多く取り上げられた。ONAではサタンは「無為」な永遠2つ存在片方であり、もう一方バフォメットであり、サタンは男でバフォメットは女だと信じられている。 ONAとは大きく異なイデオロギーを持つ集団にSatanic Redsがおり、彼らのサタニズムには共産主義的要素みられる。しかし彼らはサタン人格神だと信じるような有神論的サタニズムではなく、闇の理神論つまりサタンは自然の中に存在するという信念持っている初期サタン教会ではアントン・ラヴェイ自身提議した理神論あるいは万有内在神論奉じられていたが、サタン教会指導者たちは自身が偽サタニズムみなしていたもの距離を置くために無神論奉じていると主張した。 他のグループとして2007年までMisanthropic Luciferian Orderの名で知られていたTemple of the Black Lightがいる。このグループは「Chaosophy」という哲学信奉している。Chaosophyとは人類世界(英:World)の中に存在し世界宇宙(英:Universe)の中に存在し、そして宇宙コスモス(英:Cosmos)という領域中に存在するという思想である。コスモス3つの空間的次元1つ時間的次元から成るコスモスはほとんど変化しない物質的な領域である。一方コスモスの他にカオスという領域存在するカオスコスモスの外に存在しており、コスモス違って無数の次元有し、常に変化している。カオス領域11の闇の神によって統治されており、その神々の中で最上位存在サタンであって史上知られている全ての神々はより高位存在顕現したのである。この行為存在はAzerate、龍の母であり、11の闇の神が1つ統合され存在である。そしてAzerateはいつの日にか復活してコスモス破壊しカオス破壊させるのだとTotBLでは信じられている。TotBLはスウェーデンブラックメタル/デスメタルバンドのディセクションと、特にそのフロントマンジョン・ノトヴェイトと結びついてきた。ノトヴェイトは「早い段階で」TotBLに参加したディセクションのサードアルバム『Reinkaos』の歌詞専らTotBLの教説扱ったものであった。そしてノトヴェイトは2006年自殺した。 かつてのChildren of the Black Roseのような有神論的ルシフェリアンのグループとりわけルシファーインスパイアされているが、ルシファーサタン同一視されるともされないこともある。 実際には「曙の子」、「ルシファーその他の名前単一霊的存在よりもむしろバビロニア王などの当時政治的人物を指すのに用いられたと考え神学者もいる(し、聖書の記述表面上は明らかにティルス王を指している)が、この名前がサタン指していると信じる者はサタン堕落にもそれを適用するJoy of Satanサタン天使のような姿で現れる信じている; また、サタンノルド人の神々リーダーであると信じている; さらに、サタン古代シュメール人の神エンキ/エアであるとも信じている; 加えてサタンヤズィーディー大天使マラク・ターウースでもあると信じている。The Church of the EldersはJoy of Satan神学借用してサタンエンキ基づいていると信じるが、この存在サタンと呼ぶことは拒否してエンキと呼ぶ。これはセト寺院サタンセト基づいていると信じるがこれをサタンと呼ぶよりもむしろセトと呼ぶのに酷似している。The Cathedral of the Black Goatサタンルシファー同一存在であり、それぞれの名前が彼の光の側面と闇の側面を表すと信じている。 セト寺院によるセト崇敬有神論的サタニズム同一視する著述家もいる。しかし、セト寺院有神論サタニスト標榜していない。彼らはエジプトの神セトこそがサタンの名に隠れた真の闇の主であり、サタンとはセト戯画化したものにすぎないと彼らは信じているのである。彼らは自己発展中心に据えた実践行っている。セト寺院において、「黒い炎」とは個々人の神的な中核であってセト類縁関係にある霊魂であり、彼らはこの黒い炎発展させることを目指す有神論的サタニズムにおいては黒い炎とはサタニストから独立した存在であるサタンから人類与えられる知識のことであり 、サタン知識求めサタニストにこの黒い炎分け与えることができる。 サタニスト信仰多様性いくらかサタニスト有神論性質1995年調査示されている。サタン探求崇拝する人にとって危険なものではなく友人のように付き合えるものとみなせると言う者もいる。サタンを「父」と呼ぶ者もいるが、他の有神論サタニスト中にはそう呼ぶのは混乱を招くとか卑屈すぎるとかと言って批判する者もいる。しかし聖書John 8:44においてサタン追随者から「父」と呼ばれ悪人は1 John 3:10で「悪魔の子たち」と呼ばれている。またサタンジョン・ミルトンの『失楽園』で娘である罪の父親として描かれている。 有神論的サタニズム単なる一時的な暇つぶしとしての魔術儀式基づいたオカルト実践というよりもむしろ宗教的コミットメント伴っている場合がしばしばある。有神論的サタニズム実践者自己捧げる儀式を行うことを選ぶことがあるが、そうした儀式有神論サタニストとなってすぐ行うべきかそれともある程度研鑽をつんでから行うべきかは議論対象となっている。

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