天地志狼の技・術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/09 04:48 UTC 版)
天地志狼は基本的に関羽から習った拳法と左慈から習った仙術・シュアンから習った闘仙術をメインに使って闘うが、他にも戦闘中に敵将の技を見切って盗むことで膨大な数の技を習得している。以下にそれを記す。 「実」の拳 天地志狼が生まれ持った拳質のこと。蓮花などが得意とするスピードを生かしたフェイントなどは一切行わず、限界まで無駄を排した動きと天性の洞察力により最短距離で敵の急所を抉る実戦本位の殺人拳である。関羽曰く、この拳を極めたならば予測はできても防御も回避も不可能とのこと。しかし現在の志狼の武量では完全に使いこなすことは難しい。 雲体風身 氣を用いて、人体を己の意のままに操る術。「雲体」とは人体に対する深い認識、理解を指し、筋肉はおろか内蔵や神経まで操ることができるため、常人なら死の危機に瀕した時のみしか発現しない潜在能力も自在に引き出すことが可能。それを氣によってさらに高めるのが「風身」である。また戦闘だけでなく、筋肉を締め上げて脱臼を治したり、重傷人の血流を操って止血するなど医療にも応用可能。ただし過度な使用は肉体の自壊を招きかねないため、自在に使いこなすためには修行によって肉体を強靱に鍛えることが不可欠。 その習得は想像を絶する荒行であり、「同じ雲体風身を会得した者によって一度五感を奪われた後、自力で復活する」というもの。五感はおろか脳と心臓を除く内臓まで止められてしまうため、復活できぬまま時が経てば暗闇の世界で精神は発狂し、肉体は朽ちてしまう。生き延びるためには普段は身体が自然に行っている五体や内臓の動きを自らの意思で行わねばならず、そうして肉体の隅々まで認識することができれば技も自然と身につくという道理である。 作中では志狼や師匠の左慈、宿敵の「仲達」をはじめとする仙界の関係者たちが習得している。 仙氣発勁 相手に掌底打を打ち込み、そこから仙氣を流し込む技。単なる打撃としてのタイプと、相手の身体に衝撃を浸透させ内臓を完全破壊する「真仙氣発勁」の2パターンが存在する。「念体」を会得するまでは長らく志狼最大の決め技であり、数々の強敵を打ち倒してきた。しかし強力な氣の持ち主に対しては勁力を呑み込まれたり弾き返されたりすることもある。 空破山 刀剣を高速で振り切ることで真空波を発生させ、それを以って遠く離れた相手を切断する技。元は炎武から赤飛虎へと伝えられた阴刀術の奥義だが、志狼も赤飛虎の空破山を模倣して修得し、後に素手で放てるほどに熟達した。使い勝手が良いためか多用される。 衝破山 阴刀術秘奥義。空破山の派生技で、剣と剣が衝突した際の衝撃を利用して真空波を放つ技。元は炎武の技だが、彼との戦いの中で志狼も修得した。他に仲達の影武者も使用可能。 硬氣功 体に氣を巡らせ、一瞬だけ皮膚を硬化させる、あるいは体毛を硬直させるなどで刃物すらも通さなくさせる防御技。ほとんどの攻撃に対して有効だがタイミングが肝要なため変幻自在な乾坤圏などとは相性が悪い。また至高の拳など強すぎる衝撃は完全には遮断できない。 軽身功 志狼が使う防御技。打撃を受けた瞬間に体を浮かせて衝撃を受け流す技。 柳の体術 体を柳のように揺らし、相手の攻撃が起こす風圧によって自らの体を動かし避ける技。かなりの強敵にも効果があるが、反面下半身は小刻みに重心移動を行っているため、そこをリーチの長い攻撃で狙われると弱い。また風よりも速く繰り出される神速の攻撃には通用しない。虎豹騎の石柳が使う防御技だが、後に志狼も体得した。 小円の捌き 志狼が使う防御技。小さい円を描くような素早い足捌きで相手の間合い内に留まったまま攻撃を避け続けることができる。そのため反撃に出やすい。 分身 高速で移動し、その際に殺氣を残すことで残影を見せる技。応用で自らの姿を何体にも見せることも可能。青龍も使っていたが同じ原理かどうかは不明。 心眼の結界 肉眼に頼らず万物の氣や大気の流れ、音を感知することで相手の行動を読む技。結界内であればあらゆる不意打ちを察知することが可能。代表的な使い手は虚空で、志狼も虚空との対決や闘仙術の修業により体得した。ただし盲目で常に心眼を使っている虚空よりは技の精度が劣る模様。 「破凰」の相 「天運」の相と相対する、全ての破滅こそを理想とする概念。本来は仲達の生まれ持った相であるが、志狼も赤飛虎に「破凰」の種を心中に埋め込まれてから技として使えるようになった。「破凰」の力を開放すると生命を奪うことに躊躇がなくなるため戦闘能力が飛躍的に向上する。初期のころは「破凰」に心を支配されて殺人鬼と化すこともあったが、幾度かの試練を経て自在に使いこなせるようになった。 周囲の氣の取り込み 周囲の人や自然の氣を取り込むことで自身の氣を強大にする技。自身の氣脈のみを活性化させる「小周天」に対し、「大周天」と呼ばれる仙道の極意である。志狼自身の氣の量は大柄な体躯の武人たちに劣るが、虚空との戦いでは曹軍の軍氣で風を起こして心眼の結界を破り、元武との戦いでは龍脈の氣を取り込んで元武の念体をかき消した。志狼自身の意思では発動できないようである。 闘仙術 元武が編み出した、仙道に武道を取り込んだ戦闘用の仙術。しかし修得は困難を極め、現在に至るまで仙道士が多数亡くなっているため「死仙行」の別名を持つ。また外敵を倒すためだけの術というのは仙道としてはあくまで邪道である。念体 闘仙術の奥義で、相手を傷つける威力を持つ幻を生み出して敵を攻撃する技。どんな武器や盾でも防げず、しかも幻は周囲の者たちには見えないため技の正体を見破るのは極めて困難。 その実態は「己と相手の氣を同化させる」技であり、強大な仙氣を練り上げて相手の氣脈と繋がり、相手の五感を操って身体に様々な錯覚を起こさせるというもの。幻を生み出すだけの幻術とは異なり臭いや触感さえも操るため、その状態で幻体による攻撃を加えると、相手は頭では実体はないと理解しつつも心と体が「傷を受けた」と錯覚し、自ら傷を生み出してしまう。 ただし技の性質上、相手の邪氣を取り入れてしまい自らの人格が侵されるという危険性がある。また、そもそも自身の通常の攻撃が効かない者には通じず、命を失うこともいとわないほどの覚悟を決めた者にも効果が薄い。加えて術者の集中力が乱れてしまうと第三者の肉眼でも目視できるようになり威力も減退してしまうとなど欠点も多い。 意脈 志狼が身に着けた彼独自の技。氣ではなく相手の意思を読むことで、相手が攻撃の際に放つ殺気を読むよりも速い予測を可能とする。しかし志狼が攻撃したあとのリアクションまで読めるわけではないので、受けに徹する相手には使用できない。 至高の拳 突きや蹴りにおいて、究極のレベルまで精度を極めた体術の極意。重心、体移動、力の伝達などにおいて一切の無駄をなくし、最速にして最大の威力の攻撃を行う。その威力は通常の攻撃でさえ発勁に匹敵する。甘寧、ライ、天地志狼の三名が修得しているが、志狼のものは他の二名のものに比べまだ完成度が低い。甘寧のものは剛拳による攻撃が主体で震脚が十分に行えない環境下では威力が半減するという弱点がある。一方、ライのものは蹴り主体のものであり、飛び蹴りや水中での蹴りでも使用することが出来る。
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