各種の覆面オーケストラとは? わかりやすく解説

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各種の覆面オーケストラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/31 22:41 UTC 版)

覆面オーケストラ」の記事における「各種の覆面オーケストラ」の解説

コロンビア交響楽団: 米コロンビア・レコード社とその関連会社による録音オーケストラコロンビア交響楽団ハリウッド録音:「ブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団」や、「イーゴリ・ストラヴィンスキー指揮コロンビア交響楽団(その中のハリウッド録音)」は、アメリカ・カリフォルニアにおいてコロンビア・レコード社が編成した録音専用オーケストラである。特に、大指揮者ワルター晩年芸術ステレオ録音残したことで名高い。このオーケストラ実体は、ハリウッド映画スタジオ奏者たちによって組織されていたグレンデール交響楽団変名であるという説がある。その一方ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団メンバー主体にしつつ、それにハリウッド映画スタジオ所属する奏者などを加えたという説もある。ただ、後者の説の場合も、それに参加した映画音楽奏者たちがグレンデール交響楽団所属していた可能性は高い。 コロンビア交響楽団ニューヨーク録音大部分:1950年代から60年代にかけて、コロンビア・レコード社の関連会社コロンビア・マスターワークス社によってニューヨークで編成されオーケストラは、ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団メトロポリタン歌劇場ならびにNBC交響楽団楽団員フリーランス奏者として雇用したものであった大作曲家イーゴリ・ストラヴィンスキー自作自演に際して振ったコロンビア交響楽団中にもニューヨークで録音されたものがあり、これに該当するコロンビア交響楽団ニューヨーク録音一部:ブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団録音の中で、ベートーヴェンの交響曲第9番第4楽章と、ベートーヴェンコリオラン序曲使用されオーケストラだけは、上記コロンビア交響楽団ハリウッド録音」のそれとは異なっている上に、さらに、上記コロンビア交響楽団ニューヨーク録音大部分」とも異なっている。この両曲を演奏したコロンビア交響楽団」はニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団変名であった。これについては「コロンビア交響楽団#ワルターのステレオ録音での例外」項を参照コロンビア交響楽団クリーヴランド録音:「ジョージ・セル指揮コロンビア交響楽団」とされているものは、セル音楽監督つとめていたクリーヴランド管弦楽団の変名である。 RCAビクター交響楽団 ほか 米RCAレコード録音オーケストラビクタートーキングマシン社のオーケストラRCAビクター管弦楽団(旧):ビクタートーキングマシン社はアメリカレコード会社である。同社音楽監督のナット・シルクレット(Nat Shilkret)がニュージャージー州カムデンにおいて編成した録音オーケストラである。ストコフスキー時代フィラデルフィア管弦楽団メンバー主体としていた。1929年ビクタートーキングマシン社がRCA買収されRCAビクター設立されるとともに、このオーケストラRCAビクター管弦楽団RCA Victor Orchestra)と呼ばれるうになる1943年フィラデルフィア管弦楽団コロンビア・レコード専属となったため、消滅RCAビクター交響楽団RCA交響楽団):RCAビクター管弦楽団(旧)が停止したため、RCAニューヨークにおいて新たな録音専用オーケストラ編成した。これがRCAビクター交響楽団である。ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団メトロポリタン歌劇場管弦楽団、シティー・センター、NBC交響楽団放送局のスタッフ・ミュージシャンなどの選抜メンバーによる編成だったといわれている。また、ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団変名場合あるらしい下記のうち、ライナー指揮オーケストラが「RCAビクター交響楽団」、ストコフスキークリップス指揮オーケストラが「RCA交響楽団」と呼ばれていたという説もあるが、発売されレコードではこのふたつの名称は必ずしも区別されていないフリッツ・ライナー指揮RCAビクター交響楽団RCAビクター交響楽団事実上音楽監督フリッツ・ライナーであったライナー求めに応じて上記ミュージシャンから特別に選抜されメンバーによって編成されていた。オーケストラ・ビルダーとしても名高いライナー指導のもと、実力的にはアメリカ一流水準確保していた。著名な録音として、ウラディミール・ホロヴィッツピアノによるベートーヴェンピアノ協奏曲第5番皇帝」(1952)、同じくホロヴィッツピアノによるラフマニノフピアノ協奏曲第3番1951)などがある。 その他のRCAビクター交響楽団RCA交響楽団ニューヨーク録音レオポルド・ストコフスキーヨーゼフ・クリップスニューヨークで録音には、ライナーRCAビクター交響楽団とは別に組織され臨時編成オーケストラ使われている。また、キリル・コンドラシンアルフレッド・ウォーレンスタインレナード・バーンスタインなどの指揮によるニューヨークで録音にもRCAビクター交響楽団(またはRCA交響楽団)がクレジットされているが、この団体の構成はよくわかっていない。著名な録音として、コンドラシン1958年ヴァン・クライバーン同行して初めアメリカ訪れた際に録音したチャイコフスキーピアノ協奏曲第1番」(ピアノクライバーン)、「ロシア管弦楽名演集(ハチャトゥリアン組曲仮面舞踏会」、カバレフスキー組曲道化師」 、チャイコフスキーイタリア奇想曲ヴァイオリン独奏オスカー・シュムスキー〉、リムスキー=コルサコフスペイン奇想曲)」、などがある。 RCAビクター交響楽団カリフォルニア録音RCAカリフォルニア州録音したレコードにもRCAビクター交響楽団の名称が使われことがある。これはニューヨークRCAビクター交響楽団とは別物で、上記コロンビア交響楽団ハリウッド録音」と近い形態のものであった推定されている。著名な例として、ヤッシャ・ハイフェッツヴァイオリンによるグラズノフヴァイオリン協奏曲ワルター・ヘンドル指揮1963年)がある。 RCA管弦楽団RCAビクター管弦楽団):RCA1950年代オペラ全曲録音積極的に行ったが、そのオーケストラとしてRCA OrchestraRCA管弦楽団)またはRCA Victor OrchestraRCAビクター管弦楽団)がクレジットされている。これは契約上の都合による変名であり、実態メトロポリタン歌劇場管弦楽団であった考えられている。特に著名なのはライナー指揮による1951年録音ビゼー歌劇カルメン」である。この録音歌手陣は当時メトロポリタン歌劇場メンバーによって占められている。なお、このレコードオペラ指揮者として著名であったライナーの、唯一のオペラ全曲正規録音である。 その他、このオーケストラ名で発売されヴェルディオペラ全曲録音として、「リゴレット」「イル・トロヴァトーレ」(レナート・チェリーニ指揮)、「シモン・ボッカネグラ」(ジャナンドレア・ガヴァッツェーニ指揮)などがある。 RCAイタリアーナ管弦楽団イタリアRCA歌劇管弦楽団):1960年代RCAレコードローマで行ったヴェルディプッチーニ録音起用された。ローマ歌劇場管弦楽団変名であったといわれている。RCAイタリア管弦楽団RCAイタリア・オペラ管弦楽団イタリアRCA歌劇管弦楽団の名称が使われているものもある。 録音としては、ヴェルディ歌劇エルナーニ」(トーマス・シッパーズ指揮)「椿姫」(ジョルジュ・プレートル指揮)・「リゴレット」(ゲオルク・ショルティ指揮)、プッチーニ歌劇「つばめ」フランチェスコ・モリナーリ=プラデッリ指揮)などがある。 フィラデルフィア・ロビンフッド・デル管弦楽団 単に「ロビンフッド・デル管弦楽団」と名乗る場合もある。フィラデルフィア管弦楽団変名。「ロビンフッド・デル」はフィラデルフィアにある野外音楽コンサート会場で、同管弦楽団の夏のシーズン音楽祭会場となる。ウィリアム・カペルピアノ担当したラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」(指揮フリッツ・ライナー1951年録音)、同「ピアノ協奏曲第2番」(指揮:ウイリアム・スタインバーグ、1950年録音)などの録音知られるハリウッド・ボウル交響楽団キャピトル交響楽団 主にキャピトル・レコードグレンデール交響楽団録音する際に使用した名称。カーメン・ドラゴン、フェリックス・スラトキン等と多く録音残している。ハリウッド・ボウル管弦楽団(ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団の別名)と混同される事が多い。 ニューヨーク・スタジアム交響楽団 1950年代にエヴェレスト・レコード社から発売された、レオポルド・ストコフスキーレナード・バーンスタインカルロス・チャベス作曲家で、自作自演行った)などの指揮レコードクレジットされた。ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団変名だといわれている。 レオポルド・ストコフスキーの「彼の交響楽団」、「ストコフスキー交響楽団ストコフスキーSPレコード録音時代から多数録音行っているが、その中に彼の交響楽団(his Symphony Orchestra)」または「レオポルド・ストコフスキー交響楽団」とクレジットされたものがしばしば見られる録音場所はニューヨークであったことから、ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団変名である可能性指摘されている。 ルネ・レイボヴィッツ指揮のパリ・コンセール・サンフォニーク協会管弦楽団など ポーランド出身作曲家指揮者音楽理論家ルネ・レイボヴィッツ1940年代末から1960年代前半にかけて大量管弦楽作品録音した。そこで多く登場している楽団としてパリ・コンセール・サンフォニーク協会管弦楽団があるが、これはパリ音楽院管弦楽団変名であった可能性指摘されている。また、レイボヴィッツ録音にはその他にパリ交響協会管弦楽団、パリ・フィルハーモニー管弦楽団パリ放送交響楽団、ロンドン・フェスティヴァル管弦楽団、などの楽団登場するが、これらも実態不明確な「覆面オーケストラ」である。 ウィーン国立歌劇場管弦楽団ウェストミンスター録音 ウィーン国立歌劇場管弦楽団というと通常ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団母体となっているウィーン国立歌劇場(ウィーン・シュターツオーパー)のオーケストラを指す。ところが、1950年代アメリカウェストミンスター・レコード社がヘルマン・シェルヘンエイドリアン・ボールト等の指揮するレコード演奏団体として「ウィーン国立歌劇場管弦楽団」をクレジットしている。このウェストミンスター・レーベルウィーン国立歌劇場管弦楽団は実はウィーン・シュターツオーパーのオーケストラではなくウィーンにあるもうひとつ歌劇場ウィーン・フォルクスオーパー所属楽団であるウィーン・フォルクスオーパー交響楽団変名であると考えられている。 フリッツ・ライナー指揮の「交響楽団ライナー最後録音1963年となったハイドン交響曲95番・第101番「時計」のオーケストラは、単に「交響楽団」とだけクレジットされている。その実態はメトロポリタン歌劇場管弦楽団ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団ピッツバーグ交響楽団シカゴ交響楽団等からの選抜メンバー構成され臨時編成オーケストラである。ここには、ヴィクター・アイタイ(ヴァイオリンコンサート・マスター)、ヤーノシュ・シュタルケルチェロ)、ジュリアス・ベイカー(フルート)、ロバート・ブルームオーボエ)といった名手集まっていた。なお、このオーケストラかつては、「メトロポリタン歌劇場管弦楽団変名もしくはそこからの選抜メンバーによる編成」というのが通説であり、そう記載している資料も多いが、近年になって上記のような構成であったことが判明した千秋真一指揮R☆Sオーケストラ(ライジングスターオーケストラ) 二ノ宮知子作の漫画のだめカンタービレ」がテレビ・ドラマアニメさらには映画化され原作とともに大ヒットしたため関連CDとして「千秋真一指揮R☆Sオーケストラ」が演奏するブラームス交響曲第1番ハ短調ドヴォルザーク交響曲第8番ト長調第1楽章」が発売された。しかし、指揮者千秋真一漫画主人公としての架空の人物であるし、「R☆Sオーケストラ」は漫画内に登場する同名オーケストラモデルとした覆面オーケストラである。「R☆Sオーケストラ」の実体や、実際に指揮した人物公表されていない。 なお、この漫画テレビ・ドラマ版アニメ版映画版の中での楽曲演奏するために、臨時編制の「のだめオーケストラ」が結成されており、こちらは東京都交響楽団団員とし、オーディション集められメンバー加えた臨時編成オーケストラであることが知られている。「R☆Sオーケストラ」と「のだめオーケストラ」の関係は公表されていない。 マクシミアンノ・コブラ指揮ヨーロッパ・フィルハーモニア・ブダペスト管弦楽団、ヨーロッパ・フィルハーモニア、ウィーン・シンフォニー・ライブラリー フランス系ブラジル人指揮者マクシミアンノ・コブラが、2002年頃から、彼が信奉する「テンポ・ジュスト理論」にのっとった録音リリースしだした。その際演奏主体が「ヨーロッパ・フィルハーモニア・ブダペスト管弦楽団」または「ヨーロッパ・フィルハーモニア」と銘打たれている。また、近年コブラ録音にはヨーロッパ・フィルハーモニアとならんで「ウィーン・シンフォニー・ライブラリー」の名がクレジットされることもある。 最初に発売されベートーヴェンの交響曲第9番DVDによる演奏映像として公表されているため、この時のヨーロッパ・フィルハーモニア・ブダペスト管弦楽団(ヨーロッパ・フィルハーモニア)が実在するオーケストラであったことは確かである。ただしこうした名称の楽団は他では確認されないため、コブラ録音用の臨時編成オーケストラか、または既存楽団変名としての覆面オーケストラであった考えられる。 ところが、2002年以降コブラ録音は、同じヨーロッパ・フィルハーモニア・ブダペスト管弦楽団(ヨーロッパ・フィルハーモニア)の名で公表されたものの、それらは臨時編成オーケストラでさえなく、電子サンプル音源利用してシンセサイザー製作した電子録音となった。 さらに、近年コブラシンセサイザー録音には「コブラ指揮ウィーン・シンフォニー・ライブラリー & ヨーロッパ・フィルハーモニア」とクレジットされたものがあり、「ウィーン・シンフォニー・ライブラリー」という楽団存在するように装われている。しかし、実はこれはオーケストラではなく、在オーストリアシンセサイザー電子サンプル音源の製作・販売会社である。

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