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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/20 09:09 UTC 版)
Margarya bicostata Tchang & Tsi, 1949 二肋螺蛳 (二肋螺螄) 【分布】 撫仙湖(および連絡する人工池)、滇池(おそらく絶滅) 【IUCN Red List ver.2010.1】 Endangered B1ab(i,ii,iii,iv,v)+2ab(i,ii,iii,iv,v) 【中国物種紅色名録 2005】 濒危 EN:A2abc; B1ab(i,ii,iii)+2ab(i,ii,iii) コブタニシの亜種として記載されたが、1982年に独立種とされた。かつては、滇池と撫仙湖に普通に見られた種であったが、滇池では激しい水質汚染などにより見られなくなり、絶滅した可能性が高いと見られている。撫仙湖でも沿岸部ではほとんど見られなくなってしまったが、湖心付近の深場などにはまだ棲息していると考えられている。また、2006年には撫仙湖と連絡した小さな人工池でも1個体が発見された。なお、刘月英・吴岷(2005)の『中国物種紅色名録』(中国版レッドリスト)では生息地として5湖(撫仙湖・杞麓湖・星雲湖・異龍湖・洱海)が挙げられているが、その後のチェックにより撫仙湖以外の4湖の記録は誤りであることが判ったという。 Margarya carinata Neumayr, 1898 无刺螺蛳 (無刺螺螄) 【分布】 滇池、洱海 【IUCN Red List ver.2010.1】 評価なし 【中国物種紅色名録 2005】 濒危(瀕危) EN A2abc; B1ab(i,ii,iii)+2ab(i,ii,iii) 上記の2湖に分布し、もともと限られた個体群であったため生息環境が狭まり、減少しつつあるとされる。 Margarya elongata Tchang & Tsi, 1949 长螺蛳 (長螺螄) 【分布】 滇池 【IUCN Red List ver.2010.1】 評価なし 【中国物種紅色名録 2005】 绝灭(絶滅) EX 棲息環境の変化により絶滅したとされる。 Margarya francheti (Mabille, 1886) 方氏螺蛳 (方氏螺螄) 【分布】 滇池、洱海、撫仙湖 【IUCN Red List ver.2010.1】 評価なし 【中国物種紅色名録 2005】 绝灭(絶滅) EX 上記の3湖に分布するが、直近の50年間に生きた個体が見つかっていないため絶滅種とされる。 Margarya mansuyi Dautzenberg & Fischer, 1905 孟氏螺蛳 (孟氏螺螄) 【分布】 星雲湖、杞麓湖、滇池(おそらく絶滅)、大屯海(おそらく絶滅)、異龍湖(絶滅) 【IUCN Red List ver.2010.1】 Endangered B1ab(i,ii,iii,iv,v)+2ab(i,ii,iii,iv,v) 【中国物種紅色名録 2005】 易危 VU A2ac; B1ab(i,ii,iii)+2ab(i,ii,iii) 【原記載】 M. melanioides var. mansuyi Dautzenberg & Fischer, 1905. p.423 (図2-4), p.424(原記載文), タイプ産地:Mong-Tsé (蒙自) コブタニシの「ver.」(変種)として記載されたが、1949年に独立種とされた。螺塔が高く殻高の6割を占め、強い螺肋を体層に3-4本、螺層に2-3本巡らすが、螺肋は突起状にはならず概ね滑らか。本属の種としてはコブタニシに次いで生息地の多い種であったが、過剰な取水や水質汚染、渇水による乾燥などによって生息地が激減した。『中国物種紅色名録』(中国版レッドリスト)では生息地として8湖が挙げられているが、そのうち洱海、撫仙湖、長橋海の3湖は誤記録で、実際の分布は上記の5湖のみとされる。しかし異龍湖では1983年の渇水で湖が2か月間干上がった際に他の生物と共に完全に絶滅したと考えられており、大屯湖は干上がりはしなかったものの水深が非常に浅くなり、その後の調査では一度も確認されていないことから、やはり絶滅した可能性が高く、2006-2007年の調査で棲息が確実視されたのは星雲湖と杞麗湖のみであったという。また2007-2008年の別の調査では杞麓湖でも確認には至らず、本種が確認されたのは星雲湖のみだったという Margarya melanioides Nevill, 1877 螺蛳(螺螄) コブタニシ 【分布】 滇池、茈碧湖、剣湖(絶滅?)、洱海(絶滅?)、[?撫仙湖、星雲湖、異龍湖、大屯海 ] 【IUCN Red List ver.2010.1】 Endangered B1ab(i,ii,iii,iv,v)+2ab(i,ii,iii,iv,v) 【中国物種紅色名録 2005】 易危 VU A1abc; B1ab(i,ii,iii)+2ab(i,ii,iii)> 【原記載】Margarya melanioides Nevill, 1877. p.30-31(原記載文), タイプ産地:Lake Tali in Yunnan. 本属のタイプ種で、種小名 melanioides は「Melania(トゲカワニナの旧属名)のような」の意で、殻が一見トゲカワニナを起想させることによる。典型的なものでは螺肋が発達して瘤状や鈍角状にとがり、和名の通り全体にゴツゴツとした外見をもつ。マルタニシ類よりも味が良いとされ、1980年代ごろまでは商業的に大量に漁獲されており、シーズン中の滇池では1人当たり1日に20kgほども採取していた。さらに1990年の時点でも、洱海で大型のコブタニシが他の水産物とともに大量に漁獲され、周辺の街の市場で売られていたという。しかしその後は、過剰な採取や水質汚染、捕食者となる外来魚の移入、周辺の都市化や堰堤建設、その他の原因で急速に減少した。棲息湖のうち、剣湖では1933年以降確認されておらず、洱海でも2004年及び2007-2008年の調査では確認されていない。生息地のうち最後の[ ]内の4湖は『中国紅色名録』に挙げられているが、IUCNのレッドリストには記載がない湖。 Margarya monodi Dautzenberg & Fischer, 1905 牟氏螺蛳 (牟氏螺螄) 【分布】 滇池、清水河 【IUCN Red List ver.2010.1】 Critically Endangered B1ab(i,ii,iii,iv,v) 【中国物種紅色名録 2005】 濒危 (瀕危) EN A2cd; B1ab(i,ii,iii)+2ab(i,ii,iii) 【原記載】M. melanioides var. monodi Dautzenberg & Fischer, 1905. p.423 (図1), p.424(原記載文), タイプ産地:Mong-Tsé (蒙自) 滇池西部の限られた水域と、その付近から流出する清水河のみに分布する。1980年代までは数多く棲息しコブタニシと共に漁獲されていたが、もともと生息域が狭かったことに加え、過剰な漁獲や水質汚染などによる環境悪化のため急速に減少し、2008年の調査では清水河からは確認されていない。 Margarya tchangsii Xia, 1982 张氏螺蛳 (張氏螺螄) 【分布】 滇池 【IUCN Red List ver.2010.1】 評価なし 【中国物種紅色名録 2005】 绝灭 (絶滅) EX 約2000年前の半化石のみで知られ、その頃までに「生態変化」により絶滅したとされる。 Margarya tropidophora (Mabille, 1886) 乳顶螺蛳 (乳頂螺螄) 【分布】 滇池、洱海、撫仙湖 【IUCN Red List ver.2010.1】 評価なし 【中国物種紅色名録 2005】濒危 (瀕危) EN A2abc; B1ab(i,ii,iii)+2ab(i,ii,iii)】 上記の3湖に分布するとされ、自然災害や人為的影響による棲息環境悪化により、個体数が減衰しているとされる。 Margarya yaungtsunghaiensis Tchang & Tsi, 1949 阳宗海螺蛳 (陽宗海螺螄)(中国物種紅色名録では杨宗海螺蛳) 【分布】 陽宗海 【IUCN Red List ver.2010.1】 Critically Endangered A2a; B1ab(i,ii,iii,iv,v) 【中国物種紅色名録 2005】 极危 (極危) CR A2cd; B1ab(i,ii,iii)+2ab(i,ii,iii) 螺塔が高く、コブタニシよりも螺肋が強く、肋上の突起も多い。陽宗海の固有種で、学名もこれに因むが、『中国物種紅色名録』には「杨宗海螺蛳(楊宗海螺螄)」(陽が楊になっている)の名で登載されており、本書を引いたサイトなどもこの中国名を用いている。しかし棲息湖名の方は阳宗海(陽宗海)と記載されていることから、中国名の方は誤植の可能性もある。IUCNによる2008年の評価では、新種記載された1949年以来再確認されていなとして、ほとんど絶滅状態に近いが、深所に棲息する種であるため、そのような場所には未だ残存している可能性もあるとしてCRの評価とした(陽宗海の平均水深は最深部で30m、平均水深が20mであるという)。一方、『中国物種紅色名録』では、本種は湖の河口付近の三角州に多いとしており、必ずしも一致しない。また、1996年には本種の染色体数が2n=24であるという報告があり、コブタニシや M. monodi など2n=18のものから分化したとの推定がなされている。さらに2008年にはミトコンドリアDNAのCOI遺伝子を用いた分子系統解析がなされ、本種のみが他のコブタニシ類と離れているとの結果が報告されている。 Margarya yini Tchang & Tsi, 1949 尹氏螺蛳 (尹氏螺螄) 【分布】 滇池 【IUCN Red List ver.2010.1】 評価なし 【中国物種紅色名録 2005】 绝灭 (絶滅) EX 直近の50年間生きた個体が確認されておらす、『中国物種紅色名録』では絶滅としている。
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