台風番号
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 14:33 UTC 版)
前述の通り、終戦後のアメリカ軍占領下では、アメリカ式の女性名を用いていたが、サンフランシスコ講和条約発効後の1953年の台風2号(ジュディ台風)以降、日本国内では台風番号が導入された。 日本では、気象庁が毎年1月1日を区切りとして、台風が発生した順にこの台風番号を付けており、日本国内では通常はこの台風番号で呼ばれ、マスメディアにおいては「台風○号」のような表現が一般的には使用される。例えば、「台風1号」はその年に発生した最初の台風を意味し、「台風10号」はその年の10番目に発生した台風を指す。ただし、このような人為的な区切りを考えずに気温・海水温の推移から見ると、1月は季節的に前年の台風シーズンの延長上にあり、新たな台風シーズンの始まりは2月頃からであるといえる。そのため、台風1号が1月に発生することは珍しくないが、これは前年の延長上とも見ることができるため、実質上は2月以降に発生した最初の台風が、その年の1番目に発生した台風ともいえる。例えば、前年の12月31日までの台風の発生数が29個で、翌年の1月に台風第1号が発生したと仮定すると、この台風1号は厳密には「前年の台風30号」ともいえることになり、2月以降に発生した最初の台風(この場合であれば第2号以降の番号の台風)が、実質的には「この年の台風1号」とも言い換えられる。とはいえ、現実的な使い道を考えれば、西暦年と台風シーズンとが一致していた方が便利であるため、台風シーズンは1月から12月までとなっている。当年12月31日までに発生した台風は、発生した順番に番号を付けるが、翌年1月1日以降に発生した台風については、前年の12月31日までに発生した台風がまだ残っている場合であっても(越年台風)、リセットして1号から番号を付けることになっている。 気象庁では、台風番号について、情報文等においては元号年と組み合わせて表記し、天気図等においては西暦年の下2桁と組み合わせて表記している。例えば、2015年の台風5号については、情報文等においては「平成27年台風第5号」のように表記するが、天気図等においては「台風1505号」「T1505」などのように表記される。このように天気図等で使用される「西暦(2桁)+ 番号(2桁)」の4桁方式は簡潔であるため、世間でもよく使用されているが、この場合、周期性の問題が存在する。例えば、「5915」は1959年の伊勢湾台風(台風15号)のことを指すが、これが将来的に、2059年に台風15号が発生した場合のことを考えると、混同が生じる。このような問題を避けるために、「西暦(4桁)+ 番号(2桁)」の6桁方式が使用される場合もある。伊勢湾台風を6桁方式で表すと「195915」となり、2059年の台風15号が発生した場合の表記を「205915」とすれば区別ができる。なお、民間では「台風第○号」の「第」を省略するとともに、特定する必要がない場合には年号も省略して「台風30号」のように2桁方式で呼ぶことも多い。 台風番号は、台風が発生すると直ちに割り振られるため、基本的に速報値による発生順に基づいている。そのため、事後解析により2つ以上の台風の台風番号と発生日時が逆転することがある。例えば、速報値では台風Bよりも早く発生したとされた台風Aが、事後解析により台風Bの方が先に発生していたと判明するケースがある。この場合、速報段階では台風Aの方が先に発生したことになっているため台風Bよりも小さい番号が付けられるが、実際にこのような逆転現象が起きたとしても、速報段階で割り振られた番号が後から変更されることはなく、最初に付けられた番号がそのまま使用される。このような逆転現象の実例として、2016年の台風10号・11号がある。この時、速報値では10号が8月19日21時に発生したとされていたが、事後解析で10号の発生日時が8月21日21時に修正され、速報値よりも2日後に変更されたため、20日9時に発生した11号の方が先に発生したことになった。しかし当然、逆転後もどちらの台風番号も変更されていない。 台風番号と発生日時が逆転した台風一覧年台風A台風B台風国際名発生日時台風国際名発生日時1952 7号 Ivy 1952/08/05 09:00 8号 Jeanne 1952/08/05 03:00 1954 12号 June 1954/09/05 15:00 13号 Kathy 1954/09/01 09:00 1963 11号 Della 1963/08/25 21:00 12号 Elaine 1963/08/24 15:00 1965 17号 Lucy 1965/08/15 15:00 18号 Mary 1965/08/14 15:00 21号 Polly 1965/09/01 15:00 22号 Rose 1965/09/01 03:00 1969 12号 Flossie 1969/09/30 09:00 13号 Grace 1969/09/30 03:00 1990 12号 Yancy 1990/08/14 09:00 13号 Aka 1990/08/13 21:00 1992 13号 Nina 1992/08/19 21:00 14号 Lois 1992/08/19 15:00 1994 21号 Kinna 1994/09/06 09:00 22号 Joel 1994/09/06 03:00 1997 11号 Tina 1997/07/31 15:00 12号 Victor 1997/07/31 09:00 2000 15号 Bopha 2000/09/07 03:00 16号 Wukong 2000/09/06 09:00 2006 7号 Maria 2006/08/06 03:00 8号 Saomai 2006/08/05 21:00 2009 7号 Goni 2009/08/03 21:00 8号 Morakot 2009/08/03 09:00 2016 10号 Lionrock 2016/08/21 21:00 11号 Kompasu 2016/08/20 09:00 発生した順番であるため、基本的に台風番号は整数で表されるが、過去には台風番号が小数になったこともある。終戦直後までは気象衛星観測がなかったため、次の台風が発生して命名した後から、事後解析により実は台風であったと判明する熱帯低気圧が存在したためである。例として、統計開始以前の1950年には、台風41号と42号の間において、42号より先に発生していた熱帯低気圧が、その後台風と判定されて「台風41.1号、41.2号」となった。しかしこのような事例は、1951年に台風の統計が開始されてからは実例がない。
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台風番号
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 02:50 UTC 版)
当時、日本はアメリカ軍を主とする連合国軍の占領下にあり、台風の英名についても1947年(昭和22年)から1953年(昭和28年)5月まで、アメリカ合衆国と同様に、ABC順に女性の名前が付けられていた(日本ではこの他にキティ台風、ジェーン台風などが有名)。 以下は、1947年に発生した熱帯低気圧の英名の一覧である(英名が付けられなかった台風や熱帯低気圧は除く)。カスリーン台風の英名「KATHLEEN」の頭文字は「K」であるので、Aから数えると11番目となる。この11個の中には、アメリカ軍が英名を付けたにもかかわらず日本が台風と解析しなかった熱帯低気圧が5個含まれている。一方、カスリーン台風の前には、日本が台風と解析したにもかかわらずアメリカ軍が英名を付けなかった台風が3つ (台風4号・5号・6号が)存在する。よって、カスリーン台風を日本の台風番号で表すと、「11 - 5 + 3 = 9」で「台風9号」となる。なお、台風1号が「A」からまる「アンナ(Anna)」、台風2号が「B」から始まる「バーネーダ(Berneda)であるが、この2つの台風は第43気象隊司令部覚書より先に発生していたため、日本で使われた最初の台風の英名は、台風3号の「キャロル(Carol)」である。 詳細は「1947年の台風(英語版)」を参照 1947年の台風一覧英名読み台風番号Anna アンナ 台風1号 Berneda バーネーダ 台風2号 Carol キャロル 台風3号 Donna ドンナ Eileen アイリーン Faith フェイス Gwen グウェン 台風7号 Helena ヘレーナ Inez アイネーズ 台風8号 Joyce ジョイス Kathleen カスリーン カスリーン台風(台風9号) Laura ローラ 台風10号 Mildred ミルドレッド 台風11号 Nanette ナネット 台風13号 Olive オリーブ 台風15号↑ ※ Pauline パウリーン 台風14号↓ Rosalind ロザリンド 台風15号 ※ Alice アリス 台風16号 Beatrice ベアトリス 台風17号 Cathy キャシー 台風18号 Dora ドラ 台風19号 Elnora エルノラ Flora フローラ 台風20号 Gladys グラディス 台風21号 Hannah ハンナ Irene アイリーン Jean ジーン ※ 台風15号には「Olive」と「Rosalind」の2つの英名が付いた。日本は1つの台風と解析したが、米軍は2つの台風と解析したからである。
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