初代(1974年-1988年)PF50/PF60/PFD60型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 13:32 UTC 版)
「いすゞ・ジェミニ」の記事における「初代(1974年-1988年)PF50/PF60/PFD60型」の解説
1974年11月登場。形式名は1974年に登場した1.6 Lガソリン車がPF50型、1977年に登場した1.8 Lガソリン車がPF60型。そして1979年に登場した1.8 Lディーゼル車がPFD60型となっている。 いすゞではこの時期まで、基本設計が10年以上前に遡り、陳腐化したベレットの生産が続いていた。GMが引き続きベレットの生産継続を主張したのに対し、いすゞは市場性の見地よりモデルチェンジを要望、その結果、GMの「グローバルカー(世界戦略車)構想」に基づきオペル・カデット(GM「Tカー」)をベースに新型車を開発する事が決定した。 「Tカー」はオペル・カデットのほか、 米国:シボレー・シェベット、ポンティアック・1000 韓国:セハン・ジェミニ、セハン・マックス(※ピックアップトラック)→セハン・メプシ/大宇・メプシーナ など世界中で姉妹車が生産されていた。オーストラリアのGM系メーカーであるホールデンは「ホールデン・ジェミナイ("Gemini"のオーストラリア英語発音)」として日本からいすゞ製ジェミニを輸入した。 車名の「ジェミニ」は英語で「ふたご座」の意味。ベレットの後継車としての位置を明確とするため1975年までは「ベレットジェミニ」と名乗っていた。 ボディタイプは4ドアセダンと2ドアクーペの2種類。当初は1.6 LシングルキャブのSOHCエンジンを搭載したPF50型のみのラインナップであったが、ベース車両となったオペル・カデットそのままに逆スラントノーズを採用し、直線を基調にした欧州風のボディデザインで、ドアまわりは当時としては珍しく丸みを帯びているのが特徴である。 先代モデルたるベレットは基本設計の古さもあり、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}開発当初の本来の車格はともかく、ボディサイズは1970年代中期では廉価な「大衆車」クラスに位置していたが、ジェミニは開発年次の新しいカデットをベースとしたため、ボディサイズが大幅に拡大されていた。[要出典]このため、日本の大衆車の代表的車種であるカローラ、サニーの当時(1974年)のモデルよりもエンジン、ボディとも一回り大きく、やや上位クラスにあった。ベースのカデット譲りの堅実な設計に、実績のあるいすゞ製エンジンを組み合わせたスペックは一定の商品性があり、ジェミニはすぐにいすゞの主力車種となった。 同じいすゞ製乗用車でも上級車種フローリアンとは明確な差があったが、1977年、ジェミニに1.8 Lエンジン搭載モデルが追加され、クラス的にオーバーラップするようになった。しかしこの頃には、旧弊化したフローリアンを購入する一般ユーザーはほとんどおらず、両車のスタイル、性格の差もあり、元々不人気車種になっていたフローリアンの販売に特に影響は無かったようである。 ヘッドランプは、オリジナルは丸目2灯であったが1977年6月に角目2灯に変更。1979年にジェミニ独自のフェイスリフトが行われスラントノーズ形状に変更、ヘッドランプもスポーティー系グレードに限り丸目2灯に戻った。1981年に異型角目2灯に変更される。 1979年11月に大幅なボディデザインの変更を受け、ディーゼルエンジン搭載車と1.8 L DOHCガソリンエンジン搭載のホットモデル「ZZ」(ダブルズィー)シリーズが追加された。また車名表記も大文字&小文字の「Gemini」から大文字の「GEMINI」と変更されている。「ZZ」シリーズには「ZZ/L」「ZZ/T」に加え極めてハードなサスペンションセッティングが施され走りに特化したモデルとして「ZZ/R」というスポーツモデルも存在した。 このディーゼルエンジンモデルは「第二次オイルショック」の時期と重なったことで、低燃費車として脚光を浴び、1982年には世界初の電子制御式ディーゼルエンジンモデルも登場した。このため、後期型の初代ジェミニは「80年代のディーゼル車」とも言われるように、ディーゼル乗用車の代表として広く認知される。 もっともその後は、従前のいすゞ乗用車の多くと同じく、1980年代に入っても基本設計の変わらないままにフェイスリフトやマイナーチェンジを施されての長期生産が続くことになった。 その後1985年にのちの2代目となる「FFジェミニ」が登場したものの、当初は1.5 Lガソリンエンジンのみでグレード展開も小規模であったため、ディーゼルエンジン搭載モデルを中心に初代ジェミニも継続生産され、FFと併売された。バリエーションは整理され、クーペは廃止されたものの、スポーツモデル「ZZ/R」や1.6 L、1.8 Lのガソリン (SOHC) エンジン搭載モデルも残された。その後2代目ジェミニのバリエーションが充実したのを受け、発売13年目の1987年2月に生産終了、2代目ジェミニの1.6 L DOHC車が追加される直前の1988年2月を以って販売終了となった。 初代ジェミニの総生産台数は768,537台(いすゞHPより)。 機構 駆動方式は後輪駆動。エンジンは当初1.6 L SOHCの「G161型」のみであったが、1977年6月より1.8 L SOHCの「G180型」が追加。さらに、1979年のビッグマイナーチェンジ時に1.8 L DOHCエンジンと1.8 Lディーゼルエンジンが追加された。 組み合わされるトランスミッションは当初4速MTのみでスタートするが、1975年に3速AT、1976年に5速MTが追加された。 サスペンションは前輪がダブルウィッシュボーン式、後輪が3リンク・コイルスプリング式リジッドで、ステアリングはラック・アンド・ピニオン式を採用していた。 歴史 1974年5月 前年(1973年)10月に生産が終了したベレットの後継車として「ベレットジェミニ」(PF50型)が発表。 10月 1.6 Lガソリン車(PF50型)登場。クーペ、セダン共に「LD」、「LT」、「LS」の3グレードを用意していた。全車4速MT車。 1975年4月 安全対策向上のために改良実施。また、これに合わせて車名からベレットの後継車という位置付けを明確にするために付けていた「ベレット」という冠が取れ、単に「ジェミニ」となった。 12月 昭和50年排ガス規制に適合。「LD」、「LT」に3速AT車を追加。 1976年5月 「LS」に5速MT車をオプション設定化。 11月 昭和51年排ガス規制に対応する為のマイナーチェンジを実施。内、外装をやや豪華に設えた「LTミンクス」を追加。「ミンクス」の名は、かつていすゞがライセンス生産していた「ヒルマン・ミンクス」から取られた。 1977年6月 1.8 Lガソリン車(PF60型)登場。同時に、ヘッドランプのデザインが丸目2灯から角目2灯に変更された。 11月 1.6 Lガソリン車が昭和53年排ガス規制に対応する為のマイナーチェンジを実施。 1978年11月 1.8 Lガソリン車が昭和53年排ガス規制に対応する為のマイナーチェンジを実施。1.8 Lガソリン車セダンに「ミンクス」クーペにスポーティグレードのLS/G「ブラックジェミニ」を追加。同時に、1.6 Lガソリン車も一部改良を実施した。 1979年6月 ビッグマイナーチェンジを受け、フロント部分は通称「逆スラ」からサイドマーカー付きのスラントノーズに変更され、ヘッドランプは銀縁の付いた角目2灯へと変更。スポーティモデルのLS系のみ丸目2灯とされ、テールライトは大型化された。1.8 Lガソリン車クーペに「ミンクス」を追加。またチルト機構付サンルーフを国産車で初めて設定した(オプション)。このスラントしたノーズのデザインはホールデン・ジェミニ、セハン・メプシ(後の大宇・メプシーナ)が採用。しかし、ジェミニ系車種のベースとなった姉妹車オペル・カデットはこの年フルモデルチェンジした(前輪駆動化した)ため、このデザインは採用しなかった。 11月 1.8 Lガソリン車にDOHCエンジン搭載の「ZZ」を追加。1.8 Lディーゼル車(PFD60型)登場。 1980年3月 1.8 Lガソリン車にDOHCエンジン搭載の「ZZ-L」を追加。 6月 LS相当のスポーティーなディーゼル車の「ゴールドディーゼル」とエアコンとステレオ標準装備の1800「クリーンLT」(ガソリンとディーゼルに設定) 9月 ジェミニのディーゼル車が「ディーゼル乗用車クラス」での販売台数1位になった事を記念して、「いすゞジェミニディーゼル感謝祭」を開催。合わせて特別仕様車を限定発売した。 1981年1月 1.8 Lディーゼル車に998,000円の「LDスペシャル」を追加。 4月 1.8 Lガソリン車にDOHCエンジン搭載の「ZZ-R」を限定発売。当時参戦していた国内ラリーを意識したモデルだった。 10月 マイナーチェンジでインパネのデザインが大幅に変更される。ヘッドランプが近代的な異型2灯に変更。リアは変更なし。1.8 L車に「LG」、1.8 Lディーゼル車に「LJ」(クリーンLTの改称)「LS」(ゴールドの改称)を追加。 1982年10月 1.8 Lディーゼル車に初の電子制御燃料噴射装置を内蔵して66馬力にパワーアップした「LT-E」「LJ-E」を追加。 11月 一部改良。73馬力までパワーを上げた1,800 cc ディーゼルターボ車(PFD60型)が登場。世界初の電子制御式のターボチャージャー搭載ディーゼルエンジンであった。 1983年10月 一部改良でドアミラーを採用。車種整理でカスタムシリーズを追加。 1984年12月 特別仕様車「エクストラシリーズ」を追加。 1985年3月 1.8 Lガソリン車の「ZZ」を改良。 5月 2代目「FFジェミニ」が登場するが、初代も継続生産され、2代目と併売された。 1987年2月 生産終了。同時に2代目はFFという冠が取れ、単に「ジェミニ」となる。 1988年2月 在庫対応分が全て販売終了。 セダン LT 初期型 セダン LT 車内
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