使用できない馬名
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/29 13:59 UTC 版)
サラブレッド造成から今日まで、功績を残した著名な馬の馬名 国際保護馬名(後述) 日本国外の重要な競走の勝馬の馬名 カタカナ表記では異なっても、英表記にした際にこの項に抵触するという理由で許可されない例もある。 日本国内に「バルバロ」という、ケンタッキーダービー優勝馬「バーバロ(Barbaro)」と英表記で同一になる競走馬がいる。「バルバロ」は「バーバロ」と同じ2003年生まれで、「バーバロ」が活躍する以前に馬名を登録されたことから問題はなかった。ただし、「バーバロ」が活躍した現在では、「バルバロ」の登録抹消後5年を経過しても「バルバロ」という競走馬名は英表記で「Barbaro」となることから認められない。 2001年にニュージーランドで生まれた香港所属の「アルマダ」(Armada。以下、香港のアルマダ)が2008年の安田記念に出走して2着となった直後、日本で2006年に生まれた牡馬に同じ名が付けられ競走馬登録された。「アルマダ」が国際保護馬名に該当しないために起こったもので、2009年に香港のアルマダが安田記念への出走を決めた際に、2頭をどう区別するかが問題となった。対応策として、2009年の安田記念にて発券された香港のアルマダの単勝・複勝・応援馬券には、「アルマダ(NZ)」と生産国の略号が加えられた。 2008年以前の中央競馬GⅠ競走及びJpnⅠ競走(2歳時の競走は、1991年以降)、中山グランドジャンプ並びにダート競走格付け委員会により格付けされた地方競馬のGⅠ競走及びJpnⅠ競走の勝ち馬の馬名。 以上4項の例外 - 冠名など別の単語を付け足した馬名は認められることがある(シンザン→ミホシンザン、ベガ→アドマイヤベガといった例がある)。 1989年生まれのヒシマサルは、1955年に生まれたヒシマサルが安田記念などに勝利して種牡馬にもなっていたため馬名登録できなかったが、アメリカで「Hishi Masaru」として血統登録を行った上で輸入することにより、これらの問題を回避したいきさつがある。 ゴールドシチーは1986年のG1競走阪神3歳ステークスの勝ち馬であるが、1991年以前の2歳(施行当時の馬齢では3歳と表記)G1競走であったこと、更に種牡馬にならず乗馬としての訓練中に1990年に死亡したため、2016年に全く同じ名前の「ゴールドシチー」がデビューしている。 日本の競走馬の系統上、特に有名な種牡馬または繁殖牝馬の馬名 父もしくは母の馬名と同じ馬名 特定の個人・団体名など宣伝(営利)目的のような馬名 例外 - 馬主自身の名称や商標については冠名として認められる(「オンワード」・「サクラ」・「ニホンピロ(ー)」など)。 ブランド名、商品名、曲名、映画名、著名人などが含まれる馬名。 過去には「トヨタクラウン」のように既存の商品名をそのまま馬名にしたものや、「ヒヤキオーガン」(2頭存在)・「タチカワボールペン」・「マルマンガスライタ」のように、馬名を商品の広告宣伝に利用する事例が存在したが、このような馬名は1964年から原則として禁止になった。 特許は存在するが商標登録されていない物や、商標登録されていたのが期限が切れて更新しなかった商標の普通名称化された物(普通名詞になったもの)は、認められることがある。 著名人では「リンカーン」「シャラポワ」「ペリー」「シンゲン」などフルネームでない場合や、キングカメハメハのように若干捩りをいれたり、著作権に触れないフルタイトルでない作品名(あるいは、その作品の登場キャラクター)、冠名を伴う馬名は公式には別の由来として登録するなどの手段で認められることがある。1980年代半ばに「プリンセスナウシカ」、1990年代には「サザンシルフィード」(漫画『風のシルフィード』の「サザンウィンド」と「シルフィード」から引用された)、2000年代には阪神ジュベナイルフィリーズ勝ち馬「テイエムプリキュア」、2010年代は「ジャスタウェイ」(脚本家の馬主が脚本を担当したアニメ「銀魂」に登場する物体から引用。公式には「その道」(Just a way)として登録)など、その時代の漫画やアニメのヒット作を感じさせる馬名も存在した。また世界的に有名な企業と同名であっても、一般の英単語であれば認められることも多い(「トランセンド」(Transcend)=「卓越する」という動詞)。 馬の性別にそぐわない馬名 1976年に輸入されたRaise a Ladyというアメリカ産種牡馬が日本ではレイズアボーイという名前に改名された例がある。 例外 - 「ウズシオタロー」「オンナウルトラマン」のように牝馬でありながら認められた例もある。「トムボーイキャット」(tomboy=おてんば娘)や「オトコマサリ」など、単語の一部に異性を表す言葉を含んでいても単語全体が性別と一致する場合は使用可能。また「アドマイヤベガ」は母「ベガ」の馬名を含んでおり、由来である恒星ベガには日本語では「織女星」の別名があるが、原語では性別を表す語を含まないため認められた。 公序良俗に反する馬名 いわゆる放送禁止用語に該当するような言葉を含む馬名。ただし一見そのように見える言葉を含む馬名でも「チェリーコウマン」(馬主が有限会社弘馬〈こうまん〉であることに由来)や「キンタマーニ」(インドネシアの地名・キンタマーニに由来)のように、冠名としての利用や正当な馬名意味として証明できる場合には認められる場合がある。 再使用禁止馬名以外で、現役馬・登録抹消馬・種牡馬・繁殖牝馬に類似する馬名(特に1文字違いや発音) 却下例 - 「チョウカイテイオー」(「トウカイテイオー」に発音が似ている。トウカイテイオーとは無関係。) 却下例 - 「モルフェーヴル」(「オルフェーヴル」に発音が似ている。オルフェーヴル産駒。) 採用例 - 「ナイキシャトル」(「タイキシャトル」に発音が似ているが、本馬の馬主は97~98年産はナイキを冠名にしている。ミスターシービー産駒。) 採用例 - 「クラローレル」(「サクラローレル」から頭の1文字を削った。ただしクラは冠名である。) 競馬用語・競走名などと同一もしくはそれらが含まれる馬名 実況放送で紛らわしく混乱が起きる懸念があることから認められない。小田切有一が「ニバンテ」という馬名を申請したことがあるが、この理由で却下された。同様に地方競馬全国協会においては馬名の末尾にゴオ、ゴウ、ゴー、を用いないという制約もあった(2002年よりこの規定は削除された)。すなわち場内放送などで「○○号の進路が…」などという場合に不都合で紛らわしいからである。 競馬関係者の名前や通称として用いられているものも同様に認められない(例:「アンカツ」など)。過去には1971年生まれの競走馬に「タケユタカ」が実在した例はあるが、これも武豊という騎手がいる現在では馬名として登録できない。 カタカナ表記では異なる馬名でも、アルファベット表記では同一もしくは類似となる馬名 ※以下の条件については、次の一定基準期間を満たさないと馬名の再使用ができないものであるが、その基準年数を超えた場合であっても、上記GI級競走や主要国際競走優勝馬、及び国際保護協定馬と同じ馬名の再使用は認められない。 GII優勝馬・GIII優勝馬の馬名(登録抹消後10年を経過しないと再使用できない) 1968年の金鯱賞を制したローエングリン(1965年生まれ、父・タリヤートス、母・トサモアー)の馬名を再使用した1999年生まれのローエングリンは、中山記念やマイラーズカップなどに勝利した。なお、厩舎、馬主とも両馬との関係はなかった。このほか「コンチネンタル」「ホワイトアロー」などの馬名が再使用されている。 過去に登録された馬名(登録抹消、あるいは死亡後5年を経過しないと再使用できない) 1971年年度代表馬「トウメイ」のように、元々は「メイトウ」にしたかったがこの規定のために使えず、急遽メイとトウをひっくり返して馬名にした例がある。 登録抹消後5年を過ぎれば、他の制限に掛からない限りは自由に使用できる。このことから、同じ馬主が再度使用したために、近親に同名馬が存在する例もある。実際の例としては「トウカイスバル」があり、1987年生まれの「トウカイスバル」の母トウカイナチュラルと、2003年生まれの「トウカイスバル」の母トウカイローマンは姉妹(ローマンが姉)で、2頭の「トウカイスバル」は従兄弟の関係にある。 馬名変更前の旧馬名(変更後2年を経過しないと再使用できない) 繁殖登録された馬の馬名は、以下のいずれかの条件を満たさないと再使用できない。種牡馬の場合 - 死亡後15年が経過する、最後にその馬を父とする産駒が産まれてから15年が経過する、満35歳になる 繁殖牝馬の場合 - 死亡後10年が経過する、最後に産駒を産んでから10年が経過する、満25歳になる 1989年生まれのヒシマサルは2002年が最後の産駒生産となった(2018年死亡)。使用可能となった2016年に、2014年生まれのヒシマサルが登録された。
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