伝説のファイナル第5戦とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 伝説のファイナル第5戦の意味・解説 

伝説のファイナル第5戦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/04 00:03 UTC 版)

1975-1976シーズンのNBA」の記事における「伝説のファイナル第5戦」の解説

1969年創設されフェニックス・サンズコニー・ホーキンスディック・ヴァン・アースデールらがチーム率い創部2年目にはプレーオフ進出翌年には48勝を記録するサンズ在籍する当時ミッドウエスト・デビジョンリーグ激戦区であり、その煽り食らったサンズ以後5シーズン渡ってプレーオフ進出逃した次第チーム衰えていき、主要選手チーム離れていった。そしてすっかり様変わりしサンズは、このシーズンからボストン・セルティックスから移籍してきた25歳ポール・ウェストファル、前季からサンズ加わった27歳のカーチス・ペリー、新人21歳アルヴァン・アダムスの3人がチーム主力を担うようになった。若い陣容で新シーズン挑んだサンズ勝率5割を僅かに上回る42勝を記録し、6シーズンぶりにプレーオフ進出。このシーズンのウエスタン・デビジョンは各チーム勝率大きく落ち込んでいたため、この成績でも第3シード手に入れることができた。カンファレンス準決勝シアトル・スーパーソニックス破ったサンズカンファレンス決勝ゴールデンステート・ウォリアーズ対決サンズレギュラーシーズン勝率大幅に上回るウォリアーズを第7戦の末に破りファイナルに初進出した。 東からはボストン・セルティックス順当に勝ちあがってきた。 2年前の優勝チームであるセルティックスは、エースの座はジョン・ハブリチェックからデイブ・コーウェンスジョ・ジョ・ホワイトらに移っていた。そしてシーズン前サンズトレード行いポール・ウェストファル引き換えサンズエースであったチャーリー・スコット獲得。層の厚いセルティックスでは3番選手となったスコット対しセルティックス時代控え選手一人に過ぎなかったウェストファルはエースとしてサンズ率い古巣セルティックス挑むこととなった勝率5割を僅かに1勝分だけ上回ったに過ぎないサンズと、レギュラーシーズン54勝をあげたセルティックスとでは、結果は明らかと言われた。そしてその下馬評通りボストン行われたファイナル第1戦、第2戦はセルティックス勝利した。しかしフェニックス移った第3戦はアルヴァン・アダムス33得点14リバウンド活躍フェニックス勝利した。この第3戦は乱闘騒ぎ発生するなど荒れた試合となったが、その雰囲気は第4戦にも持ち込まれ序盤10分だけで21個のファウル飛び交った険悪な雰囲気の中で進行した第4戦は、しかし試合そのもの最後まで勝負もつれる勝負となり、オーバータイムの末に109-107でサンズが2連勝飾ったセルティックス圧勝どころか互いに熱のこもった実力伯仲戦いとなったファイナルは、ボストン戦いの場を移した第5戦に突入した。 しばしばファイナル史上最高の試合挙げられる第5戦の始まりは、セルティックス圧勝予感させるものだった最初の9分間だけで32-12の大差をつけたセルティックスは、第1Qだけで38得点をあげた。しかし第2Q息を吹き返しサンズ前半12点ビハインド終えると、後半にはセルティックスオフェンス34得点封じ込めた。95-95の同点迎えた第4Q終盤にはお互い決勝点になるフリースローを2本ずつ得たが、両チームとも2本とも外してしまい、試合はオーバーターイムへと突入した。しかし最初オーバータイムでは決着がつかず、試合2回目オーバータイムへ。このダブルオーバータイム最後20秒は第5戦のハイライトシーンであり、ファイナル史上最も長い20となった。 109-108のセルティックスリードで迎えた残り20秒。時間刻々と過ぎる中、サンズオフェンスディック・ヴァン・アースデール逆転狙ってジャンプショット打ったリム弾かれボール激しリバウンド争いの末にコート外飛び出したが、ウェストファルが執念ダイビングコート内のアースデールにボール渡し、そしてアースデールはカーチス・ペリーにパスしたペリーシュート放ったが、これも無情にリム弾かれた。セルティックスジョン・ハブリチェックリバウンド抑えようとしたが、掴むことができずボールタップしてゴール下から弾き出した。そのボール行き先居たのはハブリチェックのチームメイトではなくサンズのカーチス・ペリーだった。ハブリチェックから思わぬパス受け取ったペリーは、今度こそ15フィート(4.6m)のジャンプショット決め土壇場サンズ逆転果たしたセルティックスリバウンドもたつく間に、時計の針14進み残り時間僅かに6秒。セルティックス1点リードから一転1点を追う立場となってしまった。圧倒的優位に立ったサンズ三連勝を飾り、3勝2敗とシリーズ一歩リードするかに思えた。 しかしサンズ逆転余韻に浸るのも束の間だった。時計進み始めた瞬間コート駆け抜けたのは8度優勝経験を誇るハブリチェック。彼が放ったシュートサンズゴール吸い込まれ、そして試合終了ブザーがなり、セルティック逆転勝利決まった劇的なブザービーターに、コート押し寄せたセルティックスファンで溢れ返ったパニック避けるためセルティックスメンバーはすぐにロッカールーム帰った誰もがサンズメンバーですら第5戦は111-110のセルティックス勝利決着着いた思っていた。しかしこれに異議唱えたのが、解説者席に居たゴールデンステート・ウォリアーズ所属リック・バリーであった彼の指摘審判団受け入れ、そしてコート占拠するセルティックスファンを客席戻し選手たちコート呼び戻した電光掲示板カウント残り1秒まで戻された。ハブリチェックのシュートブザービーターではなくサンズにはまだ1秒の時間残されていたのである勝利余韻汚されたセルティックスファンは興奮のあまり審判団激しく罵り一部ファンオフィシャル席のテーブルひっくり返した混乱していたのはセルティックファンだけではない。サンズのウェストファルは試合再開する直前に、すでに使い切っていたタイムアウト要求してしまったのである彼の行為テクニカルファウルとなり、セルティックスフリースロー1本が与えられてしまった。ジョ・ジョ・ホワイト難なくフリースロー決め点差は112-110の2点広がった。しかしウェストファルのタイムアウト要求フリースロー1本と引き換え通ったため、これがサンズ思わぬ幸運もたらした。すなわち、サンズミッドラインからスローインする権利得たのであるタイムアウト中、ベンチに集まるサンズメンバーとそれを妨害しようとするセルティックスファンの間で衝突が起こるなど、一食触発雰囲気の中で試合残り1秒から再開された。スローインはカーチス・ペリー。彼のインバウンドパスを受けたのはガーフィールド・ハード。ハード振り向きざまに放ったジャンプショット綺麗なアーチ描いてセルティックスゴール沈み今度こそブザービーターとなった呆然となったファン埋め尽くされアリーナで、ファイナル第5戦はファイナル史上初のトリプルオーバータイムへと突入した両チームとも主力選手多くがファウルアウトになっていたため、勝敗はベンチメンバーに託された。こうなると選手層の厚みで上回るセルティックスが有利となったセルティックス三度目延長序盤6点リード奪ったサンズはウェストファルが最後の抵抗試みるが、レギュラーシーズン平均出場時間が13.6分のグレン・マクドナルドはトリプルオーバータイムだけで6得点をあげるなどの活躍サンズ追撃振り切り、128-126で63分にわたる激戦終止符打った試合終了後コートには、疲労のあまり立ち上がれない選手居た2日後の第6戦では87-80でセルティックス勝利しファイナルは4勝2敗のセルティックス優勝決したセルティックスにとっては2年ぶり13回目優勝である。ファイナルMVPにはシリーズ平均21.7得点、第5戦ではゲームハイ33得点記録したジョ・ジョ・ホワイト選ばれた。1970年代2度優勝飾り名門健在ぶりを知らしめたセルティックスだが、選手高齢化などで徐々に衰えていくため1970年代ファイナル進出この年最後となった。しかしリーグ随一人事手腕持ち主であるレッド・アワーバックのもとですぐに再建されセルティックス1980年代3度目黄金期迎えることとなる。 一方予想外健闘ファイナル史に名を刻んだサンズは、その後中堅チームとして数シーズンを過ごすが、ファイナル進出には至らなかった。サンズ次にファイナル進出を果たすのは17年後の1993年である。その時サンズヘッドコーチとして率いるのがポール・ウェストファルであり、ウェストファルはこのファイナルでもファイナル史上2度目となるトリプルオーバータイムを経験するのである。 またこのシリーズ戦った選手のうち、ウェストファルをはじめ、パット・ライリードン・ネルソンデイブ・コーウェンスポール・サイラス、ガーフィールド・ハード、ディック・ヴァン・アースデール、ジョン・ウェッツェルら8人が将来ヘッドコーチ転向している。 ボストン・セルティックス 4-2 フェニックス・サンズファイナル)第1戦 セルティックス 98-87 サンズ @ボストン 第2戦 セルティックス 105-90 サンズ @ボストン 第3セルティックス 98-105 サンズ @フェニックス 第4戦 セルティックス 107-109 サンズ @フェニックス 第5戦 セルティックス 128-126 サンズ @ボストン 第6戦 セルティックス 87-80 サンズ @フェニックス ファイナルMVPジョ・ジョ・ホワイト 表 話 編 歴 ボストン・セルティックス 1975-76NBA優勝 10 ジョ・ジョ・ホワイト (ファイナルMVP) |11 チャーリー・スコット |17 ジョン・ハブリチェック |18 デイブ・コーウェンス |19 ドン・ネルソン |27 ケヴィン・スタコム |30 グレン・マクドナルド |31 トム・ボズウェル |32 Searcy |33 スチーヴ・クレブスキ |34 ジム・アード |35 ポール・サイラス |42 ジェローム・アンダーソン |コーチトム・ヘインソーン

※この「伝説のファイナル第5戦」の解説は、「1975-1976シーズンのNBA」の解説の一部です。
「伝説のファイナル第5戦」を含む「1975-1976シーズンのNBA」の記事については、「1975-1976シーズンのNBA」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「伝説のファイナル第5戦」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「伝説のファイナル第5戦」の関連用語

伝説のファイナル第5戦のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



伝説のファイナル第5戦のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの1975-1976シーズンのNBA (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS