ストーリー、初出誌
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SIDE:I BILLY(「コミックゲーメスト」1996年7・8月合併号、「ビリー・カーン外伝」から改題) 秦の秘伝書を巡る戦い(『餓狼伝説3』)は1週間で終わった。ギースタワーは炎上したものの、テリー・ボガードから逃れ、ギース・ハワードは3本目の秘伝書を入手し、過去2200年で初めて3本を有した人物となった。 その後、ギースは姿を見せず、ビリー・カーン以下、ギース機関メンバーに音声で指示を出していた。それを見て「亡霊のようだ」と嘲笑する秦王龍。彼こそは2200年前に秘伝書を記した人物であり、秘伝書に霊体となって宿っていたのだった。3本揃ったため、ビリーにもその姿はハッキリと見える。ギースは取り合わず、ビリーに秘伝書の破棄を命じるのだった。 港から落とし、潮流に乗せて1万メートルの深海に沈め処分する、それがギースのいつものやり方だった。秘伝書も海の藻屑となろうとしている…ビリーは、それを目の前にして、ヴォルフガング・クラウザーの最期を思い出していた。と、秘伝書を収めた箱から、瘴気のようなものが噴出した。 ビリーは10年前の出来事を思い出していた。ギースと出会った最初の日。工場でビリーが大暴れし、20人以上を負傷させラインを停止させたところに、ギースが姿を現したのだった。ビリーの才能を評価したギースは、部下になるかどうかの選択を迫る。ビリーは鉄パイプを振るい、ギースに襲いかかったが、軽くいなされ、当て身投げを食らって得物を壊されてしまう。窮地に陥ったビリーに、ギースが詰め寄った。そしてビリーの望みを問いただす…だが、ビリーは違和感を覚えた。何かが記憶と違う。 そこで呪文が割って入った。ビリーの記憶を使い、秦王龍が心理攻撃を仕掛けていたのだ。それを妨害したのは、望月双角だった。秘伝書の始末を引き受けようとする望月。だが、ビリーはそれを拒んだ。両者の戦いが始まる。棒術使いとしてはビリーの方が秀でている、それを認めた望月は、術をかけた。鬼の幻影に襲われるビリー。異形の鬼はビリーからの攻撃を受け付けず、だがビリーにはダメージを与えてくる。追い詰められたビリーだったが、鬼がガラスに映らないことにヒントを得、催眠術と見破る。 秘伝書を手放せば、人々はギースへの脅威を薄れさせ反乱を起こす。とは言え、所持していたままでは、運命の男・テリーによってギースは破滅する…そう断言する望月に。動揺するビリー。 激闘の中、追い詰められたビリーに呼応して秦王龍の霊が目発動し、彼に憑依しようとするが、ビリー自身の覚悟がそれを抑え込む。それを見極め、望月は秘伝書の処理を一時的に見送り、ビリーに託したのだった。 SIDE:II MARY(「コミックゲーメスト」1997年6月号-7月号、「竜二」前編、後編から改題) ギースタワーの焼跡でギースとテリーが戦い、ギースが転落死した(『リアルバウト餓狼伝説』)…という噂が流れていた。 ギースが秘伝書を揃え、フランコ・バッシュは息子を取り戻し、ホンフゥは逮捕を諦めない。そして秦兄弟の姿…夢の中で、山崎竜二の前に彼らの姿が浮かんでは消えていった。さらにもう一人、反町の兄貴の姿。夢から覚めた山崎は、転がり込んでいる娼婦・ジュリア反町の部屋を出、路地裏に座り込み、酒を煽る。そこへ現れたのはブルー・マリーだった。ギースが姿を消してから数か月、その生死を確かめるよう要請するマリーに対し、敵意をむき出しにする山崎。「勝手にやらせてもらう」と言い残して去る山崎の背に、「それも予想通り」と呟くマリー。 ギース機関では、ギース本人が姿を見せないまま、ビリーが指示を出していた。支部は撤収、資金は海外のタックスヘイブンへ移す。一方、大統領の指示で、ギース機関幹部が次々と逮捕されていた。その末路は気にせず、ただ裁判を長引かせるため、検事には過去のスキャンダルを使った脅しを、捜査員には家族を人質に、証人候補は抹殺、と、容赦ない命令を下していくビリー。その冷徹な様に、部下たちはギース健在を確信していた。 山崎がギース機関の支部を強襲。対策を講じるため、ビリーはフランコ・バッシュの家を訪れ、居候同然のホンフゥに山崎の居場所をリークする。山崎を待ち伏せしたホンフゥだったが、山崎には勝てず、敗退してしまう。そこにたどり着いたマリーは、近くにギースが居ると感じた。しかし、その「気」を発していたのはギースではなくビリーだった。 ホンフゥはジュリアの家宅捜査を令状なしで行っていたが、マリーに香港警察からの帰還命令を告げられる。警察組織を離れても山崎を追う、と言い残し去るホンフゥ。ジュリアは山崎の過去を問いただす。彼の犯罪歴を聞いてもなお、山崎の元へ駆け付けようとするジュリア。 ギース機関の本部は移設、ビリー以外の部下はそちらに移った。邪魔者を片付けてから追う、というビリー。橋で待つ彼の前に、山崎が姿を現す。殺意と狂暴さが渦巻く闘いが繰り広げられ、ついに山崎の動きが止まる。とどめを刺そうとしたビリーの前に飛び出したジュリアは、棍をまともに受け、致命傷を被る。乱入者にビリーが躊躇した隙に、短刀を抜きジュリアを盾に突進する山崎。短刀が棍を滑り、ビリーの喉元に迫る。その時、秘伝書から「気」が立ち上った。それはギースの姿をしており、奥義を炸裂させて橋を破壊し、ビリーの窮地を救った。ギースの肉体は滅び、その「気」だけがビリーに救われ、秘伝書に宿っているのだった、秦王龍さえも押しのけて。ビリーと山崎は痛み分けた。山崎はジュリアの死にも動ぜず、ギースを追うことに喜びを感じていた。 ジュリアが山崎を庇って死ぬことは、マリーには予知できていた。そのために連れてきたのだ。山崎を今後も利用するために、今死なれては困るから。ブルー・マリーに任務に生きる、非情の女だった。 SIDE:III TERRY(「コミックゲーメスト」1997年9月号-10月号) マリーはギースの死亡を上司に報告した。しかし、その「気」は秘伝書に宿っている。ビリーが秘伝書を守っている限り、人々はギースの死を確信できないまま、文字通り亡霊に脅かされる…マリーはそう思い、秘伝書の破壊を上申する。だが、それは却下された。ならば自らの力だけで行うしかない。 一方、秦兄弟は、廃墟となったギースタワーの一室にいた。ギースの生死を確認するためである。ギースの肉体は確かに外へ転落している、だが、残された「気」があまりにも大きい。真偽を確認すべく秘伝書を呼び寄せようとしたが、部屋には結界が貼られていた。望月の仕業である。 マリーは望月と協力し、テリーを探し出す。そのテリーは迷いを持っていた。ギースは転落の際、テリーの手を払っていた。それが呪いとなり、テリーを縛っていたのだ。「ギースに本当に勝ったのか?」という迷いとなって。望月との闘い、マリーの説得を経て、テリーはギースとの決着を望み、ギースタワーへ向かう。 タワーでは秦兄弟が「気」を浪費して、やっと秘伝書を呼び寄せていた。それを持ってきたビリーは、結界を破壊。ギースの宿った秘伝書を見せる。それを取り戻そうとする兄弟と戦うビリー。優位に立ったものの、兄の「気」を吸い取った弟に苦戦。そこにテリーが現れ、秦(弟)との戦いが始まる。望月の協力で秦王龍の魂を破壊したテリーは、ギースとの最後の戦いを繰り広げる。その果てに、秘伝書は消滅し、テリーの迷いも吹っ切れていた。 事件は終わったが、ビリーがネットワークを介してギースの指令を出し続け、ギースは「幽霊」として存在し続けた。秦兄弟は記憶をなくし、本国へ送還を待つ身、望月とテリーはそれぞれ旅立っていった。任務のために手を血で染めてきたマリーは、それを見送るしかなかった。
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