クナーファ
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クナーファ(アラビア語: كُنَافَةٌ UNGEGN式: Kunāfah)は、中東の菓子(ペイストリー)、またはその材料となる、小麦粉で出来た細麺状の生地である。クナーフェ、クナフェ、ケナーフェなどと発音および表記する場合もある。
概要
- クナーファ生地は水と小麦粉から作られ、これを網の目を通して熱したローラー(回転する円形の鉄板)に押し出すことによって成形する。生地は伝統的に量り売りされる[1]。
- 菓子クナーファは地域によって異なるが、概ね、クナーファ生地でフレッシュチーズやナッツ(クルミやアーモンド)、濃厚なクリーム(カイマクなど)を挟むか包んで焼き上げシロップをかけた菓子である。形状には2層のクナーファ生地の間にフィリングを挟んだものと、クナーファ生地でフィリングを巻いたものの2種類があり、前者は大きな浅いトレーで調理される。チーズやクリームのクナーファは温かいうちに食べられ、ナッツのクナーファは冷やしても食べられる。クナーファ生地を揚げるか焼くかした後に蜂蜜をかけ、その上にクリームか刻んだナッツをかけるとクナーファ・ビル・アッサル(كنافة بالعسل)と呼ばれる[2]。レバノンでは、チーズのクナーファをゴマをまぶしたカアク(كعك)というパンに挟んで朝食に食べることがある[3]。
- 起源はファーティマ朝である。13世紀半ばアイユーブ朝時代末期の『友人との絆』(al-Wuṣla ilā al-ḥabīb)というアラビア語の料理書などに言及され、千夜一夜物語にも靴直しのマアルフとその女房ファティマーなどにしばしば登場する[4]。イスラム教のラマダーン期間中に好まれるデザートとして、カターイフとともに最もよく知られている[5]。アラブ世界以外で名称にカターイフとの混乱がみられるのは、かつてクナーファ生地とカターイフがどちらも同じ生地から、タバク(طبق)という鉄板を用いて作られていたためである[4]。
- エジプトのクナーファ(コナーファ)のフィリングには、ナッツにレーズンを加えたものやカスタードクリーム、クリームを包んだものもある[6]。
- イラクでは、クナーファ生地でナッツを巻いたものはバクラーワ・シャアリーヤ(بقلاوة شعرية、「細麺バクラヴァ」)、焼き色をつけずに仕上げたものをバクラーワ・バッルーリーヤ(بقلاوة بلورية、結晶バクラヴァ)と呼び、チーズやクリームをクナーファ生地の間に挟んで大きなトレーで調理したものをクナーファと呼ぶ[4]。
- モロッコでは、きつね色に揚げたワルカ(ورقة)という薄い生地の間に揚げたアーモンドとアーモンドミルクの甘いソースを挟んで層状にしたデザートをケネッファと呼ぶ[7]。
- トルコでは、クナーファ生地をカダユフ(トルコ語: Kadayıf)と呼び[8]、菓子クナーファをキュネフェ(tr:Künefe)または カダユフ・ドルマ(「カダユフ包み」)と呼ぶ。カダユフ・ドルマに関しては、ルーツの論争がある[9]。カダユフ生地をパンで代用すると、エクメク・カダユフ(Ekmek Kadayıfı)というブレッドプディング風の菓子となる。
- ギリシアではクナーファをカタイフィ(ギリシア語: Καταΐφι, Κανταΐφι)と呼び、カスタードクリームやナッツを包む[10]。
- ブルガリアでは生地と菓子両方をカダイフと呼び、ナッツを包む[11]。
- アルメニアではナッツを包んだ菓子をテル・カダイフまたはクナフェ、チーズを包んだ菓子をバニロフ・テル ・カダイフと呼ぶ。前者には好みでイチゴやカイマクを添え、後者にはシロップをかけた後で刻んだピスタチオをふりかける[12]。
- フランス料理やイタリア料理ではクナーファ生地をカダイフと呼び[8]、デザートのほか、魚や肉を包んで調理するのに使用される。
世界記録
パレスチナでは、クナーファ・ナーブルシーヤ(ar:كنافة نابلسية)と呼ばれるクナーファがナーブルスの名物とされる。2009年、巨大なクナーファでギネス・ワールド・レコーズに挑戦した[13][14][15] 。
脚注
- ^ Sonia Uvezian (2001). Recipes and Remembrances from an Eastern Mediterranean Kitchen. Siamanto. p. 75. ISBN 0-9709716-8-0
- ^ Claudia Roden (2000). The New Book of Middle Eastern Food. Knopf. p. 436-7. ISBN 0-375-40506-2
- ^ Sonia Uvezian (2001). Recipes and Remembrances from an Eastern Mediterranean Kitchen. Siamanto. p. 339. ISBN 0-9709716-8-0
- ^ a b c Nawal Nasrallah (2003). Delights from the Garden of Eden: A Cookbook and a History of the Iraqi Cuisine. 1st Books Library. p. 478. ISBN 1-4033-4793-X
- ^ The Ramadan Experience in Egypt アッシャルクル・アウサト2007年10月4日(英語)
- ^ Sally Elias Hanna (2006). Dining on the Nile: Exploring Egyptian Cooking. Dog Ear Publishing. p. 98-100. ISBN 1-59858-142-2
- ^ Paula Wolfert (1987). Couscous and Other Good Food from Morocco. Perennial Library. p. 322-323. ISBN 0-06-091396-7
- ^ a b 、稀にガダイフと表記する。
- ^ お菓子のルーツ論争、今度はカダイフ? 「アルメニア人に渡すな」とエルズルムの菓子職人(2006年5月24日付 Radikal紙) 東京外国語大学「日本語で読む中東メディア」("News from the Middle East")
- ^ Sophia Skoura (1989). The Greek Cookbook. Crown. p. 203-205. ISBN 0-517-50339-5
- ^ Atanas Slavov (1998). Traditional Bulgarian Cooking. Hippocrene. p. 174-175. ISBN 0-7818-0581-3
- ^ Sonia Uvezian (2001). The Cuisine of Armenia. Siamanto. p. 391-393. ISBN 0-9709716-7-2
- ^ パレスチナで巨大ケーキ、ギネスに挑戦 AFPBB News 2009年7月19日
- ^ أكبر سدر كنافة في العالم ... نابلسي بامتياز アル・アヤーム新聞(en:Al-Ayyam) 2009年7月19日(アラビア語)
- ^ فلسطين تدخل موسوعة جنيس للارقام القياسية بالكنافة النابلسية Ma'an通信(en:Ma'an News Agency) 2009年7月19日(画像)
- ^ 材料の総重量が1,765.011kgを上回ることから、トッピングに使用した分の重量は、この1,765.011kgから除外されている。
関連項目
カタイフィ (Καταΐφι / kataifi)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 04:27 UTC 版)
「ギリシア料理」の記事における「カタイフィ (Καταΐφι / kataifi)」の解説
細麺状の生地でナッツやカスタードクリームを包み、シロップをかけたデザート。
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