オーシア軍の反攻
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開戦直後から続いたユークトバニア軍の攻勢は衰えつつあった。平和主義で知られるハーリング大統領はユークトバニア首脳との対話を求めていた。ハーリング大統領はユークトバニア首脳との交渉のため、オーシア空軍機のC-5輸送機に搭乗し中立国のノースポイントに向かっていた。10月22日、大統領を乗せた輸送機はエイカーソンヒル上空を飛行していたものの、極秘任務として活動していたため味方の防空システムに敵味方の識別情報が伝わらずミサイル攻撃を受けた。ミサイルの直撃は避けられたものの、至近弾による機体の損傷により、輸送機の機長は残りの防空システムの位置が分からなくなってしまった。周辺で哨戒飛行をしていたウォードッグ隊は輸送機から救援要請を受け、防空システムの穴をかいくぐるように輸送機を先導した。 ハーリング大統領が輸送機で移動中であることはユークトバニア軍に漏洩していた。ハーリング大統領を抹殺するため、ユークトバニア軍機はエイカーソンヒルに向けて飛行し輸送機への攻撃を試みたが、迎撃に当たったウォードッグ隊によって退けらた。輸送機は先の被弾による影響で1基のエンジンが停止し、飛行が困難になりつつあった。さらに輸送機にはスパイが潜んでおり、コックピットに入り込み機長と副操縦士を銃撃した。スパイは直ちに射殺されたが、機長は死亡し、副操縦士は負傷した。操縦は大統領秘書官のトミーが代行したが、彼に航空機の操縦経験はなかった。加えてエンジンの2基目が停止し、輸送機は危機的状況に陥った。ウォードッグ隊のケイ・ナガセは通信で機体の操縦方法をトミーとハーリング大統領に伝え、なんとか飛行を維持させた。機体は不時着させることになったが、穀倉地帯の風車が障害物となったため、ウォードッグ隊がこれを破壊した。トミーは操縦の素人でありながら不時着を無事成功させた。 大統領機の不時着と時を合わせるようにオーシア軍の第8492飛行隊が飛来し、燃料の残りが少なくなっていたウォードッグ隊と入れ替わるように護衛を受け持った。その後、何者かによってハーリング大統領は拉致され、ベルカ領のシュティーア城に幽閉された。このハーリング大統領の拉致はエイカーソンヒル事件と呼ばれている。以後、オーシアの政権運営は実質的にアップルルース副大統領が握った。大統領の意思表明とされるものはアップルルース副大統領を通じて行われ、軍縮に反対して退職していた軍人たちもオーレッドに集い復権し始めていった。 10月25日、地上から打ち上げられた補給物資に混入していた爆発物により、アークバードの動力部が損傷した。弾道ミサイルの迎撃は不可能となり、ユークトバニアとの戦力的均衡は崩れた。以後、アークバードはオーシア軍によって運用されることはなかった。 アークバードは実質的に機能を停止したが、以後も地上からSSTOの打ち上げが続けられており、時期は不明ながらも12月中旬までに灰色の男たちによって制圧され、搭乗していたオーシア人飛行士は捕虜となった。機体も修復された上で改造が施され、2つの無人機射出口が設けられた上でフォーゲル無人戦闘機が搬入された。また、打ち上げられたSSTOはSOLGを修復するための物資も含まれており、灰色の男たちの手によってSOLGの修復が進められていった。 11月1日、好戦派のアップルルース副大統領が政権を事実上掌握したことで、オーシア軍はユークトバニア本土侵攻作戦を決行し、バストーク半島への上陸を目的としたフットプリント作戦を開始した。バストーク半島のヴォルナビーチに向けて陸軍の4個中隊が揚陸艇で上陸を開始し、航空支援をウォードッグ隊が受け持った。オーシア軍は上陸に成功し、ウォードッグ隊の航空支援に支えられた各中隊は防御陣地を突破していった。ビーチの奥に控えていた要塞は陥落し、半島一帯はオーシア軍の支配領域に置かれた。また、ダーマ湖から東の沿岸部においてもオーシア軍は支配領域を確立した。オーシア軍は支配領域を広げ、バストーク半島から西に位置するヴァージュヌイを制圧し、北にも軍を進めていった。大きな損害を受けたユークトバニア南部方面軍は撤退を開始した。ユークトバニア本土に上陸した後続のオーシア軍は浜辺に司令部を設けた。ユークトバニアにおける全権を大統領より委任されたと公言するハウエル将軍は、「我々は進撃し、ユークトバニアの首都を陥落させるまで戦いの矛を収めないだろう」と述べ、攻略目標をユークトバニア首都シーニグラードとした。 翌11月2日、ユークトバニア軍はE-767による電子防御の中で輸送機を使って撤退を進めており、オーシア軍はこれの追撃を目的としたハンマーブロー作戦を開始した。作戦に従事したウォードッグ隊はユークトバニア軍機の電子防御を見破り、輸送機とE-767を全機撃墜した。一方で、この戦闘の最中にオーシア軍機の間で一時的に強力な電子妨害が為され、ウォードッグ隊はAWACSや至近距離の僚機同士との通信が極度に困難となった。その隙に第8492飛行隊がドレスデネの工科大学に機銃掃射を加え、避難していたユークトバニアの民間人に死傷者を発生させた。第8492飛行隊の行動はオーシア軍やユークトバニア軍に露見することなく進められ、オーシアにおいて民間人への攻撃の疑惑はドレスデネ付近で作戦行動中だったウォードッグ隊にかけられた。作戦終了後、ウォードッグ隊のパイロット全員がオーレッドの総司令部まで出頭を命じられた。また、同日にハウエル将軍は自らユークトバニア市民に対し危害を加えない旨を放送で述べていたものの、第8492飛行隊の行動によって発言の正当性は失われた。ユークトバニア軍は民間施設への無差別攻撃をオーシア軍によるものと捉え、オーシアの首都近辺の都市に対する報復攻撃を決定した。 11月4日、ウォードッグ隊員はオーレッドでの査問会に赴いた。彼らは自身の潔白を表明し、ジャミングが為される前に第8492飛行隊という部隊番号が無線で聞こえたと主張したが、審議官は第8492飛行隊なる部隊はオーシア軍には存在しないと述べ、ウォードッグ隊員の発言を退けた。 同日、査問会の最中にユークトバニア軍の特殊コマンド部隊がオーレッドに近いアピート市とバーナ市でテロ活動を開始した。首都管区空軍はユークトバニア本土侵攻作戦により稼働機が不足しており、特殊コマンド部隊への対処にはウォードッグ隊も参加することとなった。
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