ウェスチングハウス
英語:Westinghouse、Westinghouse Electric Company、Westinghouse Electric Company, LLC
米国に本拠を置く総合電機メーカー。東芝の子会社となった原発メーカー(Westinghouse Electric Company)と、電化製品のブランド名を保有・管理する企業(Westinghouse Electric Corporation)に分離して存続しており、日本ではもっぱら前者を指す場合が多い。
ウェスチングハウスは19世紀末に設立され、発電施設や家電製品などの開発を広く手がけていた。1990年代以降は衰退し、業績不振により徐々に事業部門を買収していった。原子力事業の部門は、1998年に、英国核燃料会社(BNFL)へ売却された。
2006年に、ウェスティングハウスは英国核燃料会社から東芝へ売却され、東芝グループの傘下に入った。東芝の持ち株比率は77パーセントだった。後に10パーセント分を売却し、67パーセントになっている。東芝の他には、米国のショー・グループ(The Shaw Group Inc.)、カザフスタン国営原子力会社、IHIなどが株の保有者となっている。
原子力プラントのメーカは、世界的に、3大陣営とその他に分かれている。東芝とウェスティングハウス、フランスのアレバと業務提携関係にある三菱重工業、米国ゼネラル・エレクトリックと日立製作所が原子力部門を統合した日立GE、という3陣営が競合している状況にある。
2011年9月6日、ショー・グループが20パーセントの持ち株を東芝へ売却する意向を示していることが報道された。これが実現すると東芝はウェスティングハウスの80パーセント以上の株を保有することになる。
関連サイト:
Westinghouse Electric Company, LLC(英語)
ウェスティングハウス【George Westinghouse】
【ウェスティングハウス】(うぇすてぃんぐはうす)
ウェスティングハウス・エレクトリック(Westinghouse Electric :WEC もしくは WH)
1886年に創業したアメリカ合衆国の総合電機メーカー。
正式社名は数度変更されたが、1945年から1997年までは「Westinghouse Electric Corporation」で「WEC」の略称を使用していた。
1997年にCBSコーポレーションと名を変えた後、1999年にバイアコムによって買収され消滅した。
歴史的な経緯から長くジェネラルエレクトリックのライバル企業として見なされていた。
しかし業務分野を拡大しつづけたGEと同様、金融分野など他業種に進出するもGEとは対照的な結末を迎えている。
エジソンと同時代の発明家であるジョージ・ウェスティングハウスが、1886年にその成果を事業化することを目的に創業した。
創業期にはウイリアム・スタンレー、ニコラ・テスラら天才的な技術者を多数擁していた。
エジソンの開発した直流発送電に対抗し、送電損失の少ない交流発送電の技術を確立。
これによる電力事業を手がけ、数度にわたるGEとの衝突を経て、ついにはエジソン率いるジェネラルエレクトリックの直流発送電事業を打倒するに至る。
また陸上交通の要であった鉄道に対しても、動力装置や自動空気ブレーキシステムの開発を通じて関わりが深い。
放送関連事業においても、主要都市にラジオ・テレビ局を次々と開局。
CBSを買収した頃には、ウェスティングハウスが保有していたテレビ局が5局あった。
更にCBSの加盟局でなかった3つの都市のテレビ局を加盟局に加えた上、CBSの直営局とするなど放送業界への影響力も大きく、自社にテレビ番組の製作部門も持っていた程である。
これらの電気・機械関係を中心に、軍事用・民生用の双方で多岐に渡る事業を展開していた。
1923年には三菱電機と提携するが、太平洋戦争の勃発にともない解消。
1930年代、粒子加速器を開発。
1950年代以降は、ニューポート・ニューズとともにアメリカ海軍の原子力艦船向け原子炉を開発。
これを通じて加圧水型原子炉(PWR)の開発・製造で独占的地位を占めた。
1980年代頃から、それまでの中心事業の売却や分離が相次ぐ。
1996年には防衛産業部門のウェスティングハウス・エレクトロニック・システムズをノースロップ・グラマンに30億ドルで売却。
1997年には放送以外の大半の事業のほぼ全て売却し、社名も伝統的なウェスティングハウスからCBSコーポレーションへ変更した。
1998年には最後に残っていた製造部門である原子力部門も英国核燃料会社 (BNFL)に売却。この原子力部門は、2005年に東芝がBNFLから買い取っている。
そして1999年にCBSコーポレーション本体がバイアコムによって買収されたことで、その歴史的企業としての長い歴史を閉じる事になった。
現在では英国核燃料会社 (BNFL)に売却された原子力部門が「ウエスチングハウス・エレクトリック・カンパニー」の名を継承しているが、既に米国時代の資本からは切り離されており、事実上は東芝の子会社となっている。
ウェスティングハウス
ウェスティングハウス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/04 17:43 UTC 版)
人物
- ジョージ・ウェスティングハウス・ジュニア(George Westinghouse, Jr、1846年10月6日 - 1914年3月12日) は、アメリカ合衆国の技術者、実業家。
企業
- ウェスティングハウス・エレクトリック(Westinghouse Electric 、WEC)は、1886年から1999年まで存在したアメリカ合衆国の総合電機メーカー。ジョージによって創業された。
- ウェスティングハウス・エレクトリック・コーポレーションは、1998年設立のウェスティングハウス関連の工業所有権の管理を行う企業。
- ウェスティングハウス・エレクトリック・カンパニーLLCは1999年設立の原子力関連の広範な製品の販売とその関連サービスを行う多国籍原子力関連企業。
ウェスティングハウス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/03 03:24 UTC 版)
「事故耐性燃料」の記事における「ウェスティングハウス」の解説
ウェスティングハウスも米国エネルギー省からの資金供与により ATF の開発を進めており、ジェネラル・アトミクスや米国エネルギー省傘下の国立研究所の他、電気事業者のサザン・ニュークリアやエクセロンとパートナーシップを結んでいる。2017年6月には実製品となる EnCore の市場投入を発表した。 EnCore は燃料ペレットに二酸化ウランよりも体積あたりのウラン含有量が20%高く、5倍の熱伝導率を持ちながら、二酸化ウランよりも中性子照射による劣化が少ないケイ化ウラン (U3Si2) を採用している。ウェスティングハウスは高いウラン含有量により燃料交換周期が延長できるだけでなく、高い熱伝導率により炉心での熱効率が改善されるため発電コストの低減に貢献するとしている。 EnCore の商用化は二段階で進められ、第一段階では燃料ペレットのみ変更して燃料被覆管を従来通りのジルカロイ製としている。ただし、化学的安定性を高めるため、表面に薄いクロムのコーティングが施されている。このコーティングにより、冷却材喪失事故で燃料棒が1,300-1,400度の高温水蒸気に曝されるような状況への耐性を高めている。2019年9月11日には、エクセロンが保有するバイロン原子力発電所2号機に第一段階の EnCore の試験用燃料集合体 2体が装荷されたことが発表された。燃料集合体は最長6年間炉心に留め置かれ、18ヶ月から24ヶ月ごとの燃料交換に合わせて検査が行われる。その後、燃料の一部は運転中の安全限界を決めるための過渡試験に回され、得られたデータは米国原子力規制委員会が燃料を認可するための資料として活用される予定である。 第二段階では燃料被覆管材料が融点2,800度で耐熱性が極めて高い炭化ケイ素繊維強化炭化ケイ素複合材に変更される。ウェスティングハウスはこれにより安全性が格段に向上し、核燃料におけるゲームチェンジャーになるとしている。2022年には試験用燃料集合体での炉内試験を行い、2027年には炉心全体に EnCore を装荷できるようにすることを目指している。 一方でケイ化ウラン製燃料ペレットなど、新素材の採用により製造面で様々な課題がある他、中性子経済性にやや劣り、ウラン含有率が高いにもかかわらず濃縮度を5%以上に高めなければならない可能性も出てきている。
※この「ウェスティングハウス」の解説は、「事故耐性燃料」の解説の一部です。
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ウェスティングハウスと同じ種類の言葉
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