アメリカのアートセラピー
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「アートセラピー」の記事における「アメリカのアートセラピー」の解説
アメリカのパイオニア、マーガレット・ナウムブルグ(英語版)(Margaret Naumburg)とエディス・クレイマー(英語版)(Edith Kramer)博士は、ヒルとほぼ同時期に彼らのアートセラピーを始めた。1940年代後半、マーガレット・ナウムブルグは”サイコダイナミック・アートセラピー”を生み出した。一方でエディス・クレイマーは芸術的な実践から アートセラピーを引き出した。 ニューヨーク大学のウェブサイトによると、”その分野の著名な先駆者マーガレット・ナウムブルクは、ニューヨーク大学の芸術学科と芸術専門職の大学院レベルに対して、コースやトレーニングセミナーを提供していた。この伝統は、エディス・クレイマーがアートセラピーの修士課程を開発するために1973年に大学に来た時に引き継がれた。1979年に、ニューヨーク大学のアートセラピー大学院課程はアメリカのアートセラピー協会から認可を受けた5つのプログラムの最初の1つだった。” エディス・クレイマー博士、ATR-BC(Art Therapist Register-Board Certified/アートセラピスト登録委員会認定)、HLM(The Honorary Life Member/名誉終身会員)はオーストリアのウィーンで生まれた。バウハウス運動の間、彼女は芸術、スケッチ、彫刻と絵画を研究した。1938年に難民として合衆国に来た後、1944年にアメリカ合衆国市民となり、芸術の実践を追求し続ける。クレイマー博士は、ニューヨーク大学の大学院過程の創設者で、1973年から2005年まで大学院課程でアートセラピーの非常勤教授だった。その間、ワシントンD.C.にあるジョージ・ワシントン大学大学院課程において、1972年から2000年までアートセラピーの助教授でもあった。 1996年にエディス・クレイマー博士は、ノースフィールド、バーモント州ノーウィッチ大学(英語版)から名誉博士号を与えられた。現在、博士はジョージ·ワシントン大学で客員准教授として、サイコダイナミックプロセスコースを教えている。彼女は、絵画、彫刻、エッチングをするスタジオを維持し、子供たちと若者のアートセラピーを専門とする。アメリカのアートセラピー協会はクレイマー博士へ最高の尊敬の印として終身名誉会員賞を与えた。 エディス・クレイマー博士は影響力のある論文と本を書いており、社会的な写実主義の画家、彫刻家、版画家、そして、モザイク師としても有名である。エディス・クレイマーの出発点は、子供のためのアートセラピーだった。それは他の草分け的論文と共に、書籍「子供たちの治療としての芸術/Art as Therapy with Children」で文章化されている。彼女はまた「子供たちのコミュニティーにおけるアートセラピー/Art Therapy in a Children's Community」も書いている。 より最近の歴史では、ジュディスA.ルービン博士(ATR-BC)が何十年もの間、アートセラピーの分野で画期的な著者であり、映画製作者だった。彼女は公認の臨床心理士で、委員会発行の免許を所持するアートセラピスト、精神医学部の助教授、ピッツバーグ大学とピッツバーグ精神分析学会の教職員である。ルービン博士は、ウェルズリーから芸術の学士号、ハーバード大学から教育学修士、ピッツバーグ大学からカウンセリング心理学の博士号を与えられた。臨床美術治療の概念を明らかにした、ヘレン・ランドガルテン(英語版)(Helen Landgarten)の伝統を受け継ぐルービン博士の仕事は、際立っている。ルービン博士の著作は、アートセラピーの本、本の一部分、映画や雑誌の記事が含まれる。 マサチューセッツ州のケンブリッジ、レスリー大学の、"エクスプレッシブセラピー(表現療法(英語版):ドラマセラピー(英語版)・ダンスセラピー・アートセラピーも含める)プログラムは、この新興分野の専門家を養成するため、米国で最初の大学院の一つとして30年以上前に設立された。"大学のウェブ・サイトによれば、ショーン・マクニフ、ノーマ・キャナー、パオロ・クニルはこのプログラムの作成に関わっていた。 ショーン・マクニフ博士は作家でマサチューセッツ州のケンブリッジ、レスリー大学(英語版)の教授である。彼は、絵画と彫刻を追求するために1969年に法律学校を離れて、精神障害者のためのダンヴァーズ州立病院(通称、 "ダンヴァーズ・ステート・ルナティック病院")で、収容療法と療養所のアートセラピストとして働いた。1973年から1974 年に、彼はセラピーと教育の両方のアートをすべて統合する最初の大学院課程(当時はレスリー・ カレッジ)をそこに設立した。エクスプレッシブアートセラピーの国際的な専門職はその仕事から生まれた。マクニフは ノーマ・キャナーと一緒に働くため、彼女を採用した。彼女はダンスセラピーの先駆者で、障害をもつ子供たちと青年に対する彼女の活動のために有名だった。キャナーはレスリーのマクニフと働くためにタフツ大学を出た。またマクニフはスイス出身のミュージシャンで、物理学とエンジニアリングを学んだパオロ・クニルを雇った。マクニフ教授はユニオン学会から博士号を受け、創造性と想像およびリーダーシップについて、レスリーで高度な大学院研究のプログラムを確立した。彼はアメリカのアートセラピー協会の元会長と名誉終身会員で、さらにヨーロッパの大学院の芸術、健康および社会部門で教授をしている。 パオロ・J・クニル(英語版)博士(名誉博士)は、マサチューセッツ州のケンブリッジ、レスリー大学の名誉教授で、ヨーロッパの大学院の事務長である。クニル博士は1932年7月11日スイスに生まれで、科学者、芸術家、セラピスト、教育者および音楽家でもある。 スイスのテクノロジーETHチューリッヒ研究所から、空気力学と構造力学の理学修士を取得しており、副専攻科目は人文科学と応用心理学である。彼は、マサチューセッツ工科大学(MIT)で組織コンサルティングと経営コンサルティングを学び、その間に、航空宇宙研究所の研究員と音楽の非常勤講師をつとめ、1970年に青年と家族のカウンセリングの証明書を得て、オハイオ州の連合大学院で1976年に心理学の博士号を与えられた。 ウィスコンシン州、ミルウォーキーのマウント・メアリー大学(英語版)のウェブサイトによると、マウント·メアリー·カレッジは専門の博士号過程を含むアートセラピープログラムを拡張しており、アイリーン・シュバルバック総長が発表したアートセラピーの博士号の承認は、北中部地域の高等教育委員会(HLC)から、2011年4月25日に受理された。専門の能力を重視した高度な学位プログラムは、アメリカで初めて従来の研究の学位より多くのものを取り入れた、マウント·メアリー最初の博士号プログラムだった。 アートセラピーの博士号は、すでに認定されたアートセラピストが、修士レベルの専門家以上の能力を備える開業医指向の高度な学位である。
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