水酸化ナトリウム
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用途
基礎工業薬品のひとつとして多様な方面で用いられる。水酸化ナトリウムの2016年度日本国内生産量は 3,860,717 t、消費量は 931,459 t である[4]。2001年時点の世界生産量は4218万tであり、アメリカが1/4強と首位を占めた。これに中国、日本を加えた3カ国で全生産量の過半数を占める。
代表的な用途としては、単純なアルカリとして上水道・下水道や工業廃水の中和剤とされるほか、ボーキサイトからアルミニウムの原料であるアルミナ(酸化アルミニウム)を取り出すのにも使用される。パン、スナック菓子のプレッツェルの生地を水溶液に浸けて、表面のつや出しと食感改善にも利用されている。ただし、高温 (170 °C 前後) で焼かれるため、炭酸ナトリウムに変化し製品には残らない。
石鹸化作用を利用する最も基礎的な薬品である。ほとんどの場合、固形石鹸の製造には水酸化ナトリウムが用いられる。石鹸ベースの洗剤の製造にも使われることがあるが、こちらは水酸化カリウムを用いる液体石鹸がベースの製品が多い。家庭で天ぷら油の廃油などを利用した手作り石鹸を制作する際にも欠かせない薬品で、薬局等にて印鑑と身分証明書があれば購入可能であるが、水酸化ナトリウムは大変危険な薬品であることを決して忘れてはならない。強力な塩基性の薬品であるとともに、水和熱が大きいことから思わぬ爆発的反応を起こす事があり(例えばフレークの苛性ソーダに水をかけると急激に発熱し突沸する)、不慮の事故につながりかねない。
水酸化ナトリウムそのものの強力な脱脂作用や強塩基性の溶解能力を利用して直接洗浄剤として用いられることもあり、市販の排水管クリーナーは水酸化ナトリウムを主剤としたものが多い。またこれに加えて苛性カリ(水酸化カリウム)や界面活性剤を加え洗浄力を強化した製品も販売されている。こちらは主に業務用で、空調業界やクリーニング業で使用される。また、油分と反応して鹸化する特性を利用して、めっき工場などでの脱脂処理として利用されることもある。
製紙工業においては、パルプ製造の際、原料の木材中のリグニンを溶解するための蒸解工程で硫化ナトリウムとともに多量に消費される。
学校教育の現場で、葉の葉脈を取り出す実験を行う際の水溶液として利用されることがある。葉を水酸化ナトリウムの水溶液に浸して加熱したあと、葉肉を歯ブラシなどで除去し、葉脈を取り出す。また、水の電気分解の実験の際に水に電気を通しやすくするために水に水酸化ナトリウム水溶液を溶かすこともある。
過去にラーメンのコシを出すために使われているかんすいの代用品として使われていた時期もあったが、現在は、食品衛生法により、食品添加物としての使用は条件が付けられている。製造用剤としては許されるが、最終食品の完成前に中和又は除去する必要がある[5]。
- ^ D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem. Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982).
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- ^ 富士フィルム 水酸化ナトリウムのSDS(安全データシート)
- ^ 経済産業省生産動態統計年報 化学工業統計編
- ^ 財団法人日本食品化学研究振興財団
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- ^ “水質汚濁防止法施行令(昭和四十六年政令第百八十八号)(令和四年政令第三百九十六号による改正)”. e-Gov法令検索. デジタル庁. 2023年12月10日閲覧。-第三条の三
- ^ “水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)(令和四年法律第六十八号による改正)”. e-Gov法令検索. デジタル庁. 2023年12月10日閲覧。-第十四条の二第二項
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