揚力 原理に関する誤解説の例

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揚力

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 13:56 UTC 版)

原理に関する誤解説の例

飛行機の揚力については既に等角写像を用いた理論[詳細?]が構築されており厳密な計算が可能である一方、原理については完全に解明されたと言い切れない部分がある。「飛行機がなぜ飛ぶのか未だに分かっていない」といった言い方がされ、竹内薫の科学啓蒙書や航空工学の専門家の書物などでもこのような説明がなされている[6]

こういった背景もあり、一般向けの文書には明らかに誤りを含んだ解説がある。

圧力と反作用の関係

揚力の解説の中には、反作用に言及が無いもの[8]や圧力分布に言及が無いといった簡易なものがある。

なかには反作用と圧力分布の一方を否定するものがあるが、圧力差こそが反作用であり、当に誤解である。下記の参考文献にもそのようにも解釈できるものが含まれている。

揚力は圧力差であり反作用はないという主張
これは「翼を動かしたときに生じる圧力差」との区別しづらい状況でしばしば陥る誤解である。
翼面に垂直に働く駆動力は圧力場であり、これは流体から翼への作用である。このとき、作用反作用の法則の通り、流体側は正負逆の力を受ける。
揚力を議論しているときの流体の圧力差とは、主流中の翼体の運動によるものである。それが抗力と揚力の反作用でないなら、別の要因があり追加の説明が要る。
揚力は圧力によるものではないという主張
なら何の力によるかが示されていない。反作用は力の種類ではない。全ての力は基本相互作用が基になっているが、それまでの間か示されていない。「車両は路面からの反作用で走るが、車輪と路面との摩擦力は関係ない。」というようなものである。
翼の上下のように非対称でも圧力が同じというのは、流体動力学の基本のベルヌーイの定理に反する。

同着説(等時間通過説)

翼の上下の圧力差の発生原因において、下記のような説明がなされることがある。

  • 翼は下面より上面の膨らみのほうが大きい。翼の前縁で上下に別れた気流は、後縁で同着する。よって、より距離の長い上面の方が流れが速く、ベルヌーイの定理によって気圧が下がり、揚力が発生する。

しかし、「翼の前縁で上下に別れた気流は、後縁で同着する。」という部分は誤りである。実際には同着しておらず[9]、下側の方が時間がかかり遅れる[7][6]。(翼の進行方向に押される。)

そもそもこの発生原因では、背面飛行や上下対称の翼型の揚力の説明ができていない[7]

「抗力と揚力の合力」

流れの中にある平板が受ける力は、現実には斜めの矢印で示した力であり、抗力と揚力は水平方向・垂直方向への分力に過ぎない。

抗力と揚力は、物体が流体から受ける正味の力の分力である。その元々の正味の流体力の呼称に困り「揚力と抗力の合力」といわれることがある。「…揚力と抗力が生じ、翼はその合力を受ける。」という表現も見られる。これは定義の循環である。前述の#揚抗比で説明した通り、揚力だけが独立して生じることは無い。


注釈

  1. ^ あるいは、ヴィークルの場合はヴィークル自身から見た方向基準とする場合もある。
  2. ^ つまり、揚抗比の絶対値が急激に小さくなるということ。
  3. ^ 勘違いしてはいけないが、翼はエネルギー発生装置ではない。翼は推力の数倍の揚力を発生するが、代償として飛行機は上昇時において上昇距離の数倍前進させる必要がある。てこにおいて、力点に加えた力の数倍の力を作用点で得るが、代償として作用点の運動距離の数倍の距離だけ力点を運動させる必要があるのと、類似の理屈である。
  4. ^ 1999年頃にフェルミ素粒子実験所の研究者であるアンダーソンにより発表された[6]ため、この名で呼ばれることが多い

出典



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