循環 (流体力学)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/07 03:55 UTC 版)
連続体力学 | ||||||||
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流体力学における循環 (じゅんかん、英: circulation) とは流体の速度をひとつの閉曲線について積算して得られる量である。循環は文字 Γ で表されることが多い。対象とする閉経路で囲われた領域の渦度積算量でもあり、渦運動の強度を表すために使われうる。非粘性バロトロピック流体の保存外力下では流れに沿って保存する。
対象とする閉曲線 C について、曲線の微小線要素ベクトルを dl、流体の速度を v とするときの循環 Γ は次式
により得られる[1]。
循環と渦度
ストークスの定理によって、循環は渦度と以下のように関連付けされる。
ただし、積分経路 C は閉曲線であるだけでなく、面積要素 S の境界 C = ∂S でなければいけない。ここで
は渦度である。
循環と渦定理
以下の定理が成り立つ。
- ケルビンの渦定理 「非粘性バロトロピック流体の保存外力下での流れにおいて、流体とともに動く閉曲線に沿う循環は時間的に不変である[1]。」
- ヘルムホルツの渦定理
「非粘性バロトロピック流体の保存外力下での流れにおいて、渦管は渦管として行動し、かつ、その強さは一定不変である[2]」
循環と揚力
フレデリック・ランチェスター、マルティン・ヴィルヘルム・クッタ、そして、ニコライ・ジュコーフスキーらがそれぞれ独立に、循環の概念を使って揚力を説明した[3]。
非粘性流体の二次元非回転非圧縮流れにおいて、水平方向(x 方向)に一様な速度 U の流れを考える。奥行き方向単位長さあたりの物体にかかる力の鉛直成分(y 成分)、すなわち、揚力 L は物体を囲む閉曲線に沿った循環 Γ と流体の密度 ρ とを使って
で表される。これはクッタ・ジュコーフスキーの定理と呼ばれる[3]。
出典
- ^ a b 巽友正 『流体力学』(1982年 4月15日初版発行)培風館。ISBN 456302421X。
- ^ a b 今井功 『流体力学(前編)』(1973年11月25日発行)裳華房。ISBN 4785323140。
- ^ a b P.K. Kundu; I.M. Cohen; D.R. Dowling (2011). Fluid Mechanics Fifth Edition. Academic Press. ISBN 0123821002
関連項目
- 渦度
- ビオ・サバールの法則
- クッタ条件
- クッタ・ジュコーフスキーの定理
- ケルビンの渦定理
- ヘルムホルツの渦定理
- ラグランジュの渦定理
「循環 (流体力学)」の例文・使い方・用例・文例
- 悪循環
- 血液は体内を循環する
- 扇風機は部屋の空気を循環させる
- 循環器系疾患
- 景気の循環
- デフレスパイラル,デフレの悪循環
- 大気大循環モデル
- 心臓は血液を体中に循環させる
- 循環小数
- 血が肺胞を循環する。
- 扇風機は暑い空気を再循環させるだけで、部屋はさらに暑くなった。
- 反循環的な政策は上昇傾向の経済を冷却しようとする。
- 景気が上向いている間にその価値が上がり、景気が悪化すると価値が下がる株式を景気循環株といいます。
- 循環物色相場
- 景気循環株
- 彼は市場で循環買いを好む傾向がある。
- 血栓を解消し血液循環を良くする。
- 純水仕様タイプの冷却水循環装置に薄い酸を入れて循環させたい。
- 循環器の医者になりたい。
- 私は3年前まで呼吸循環器外科で働いていた。
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