台湾独立運動 民族主義

台湾独立運動

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/23 16:26 UTC 版)

民族主義

台湾独立運動は、ホーロー人ナショナリズムの一面があり、台湾語こそが正しいとして台湾語の正当性を過剰に主張していた。台湾語の話せない人を差別する台湾独立運動の「英雄的排外主義」について、歴史家の李筱峰は、「原住民がホーロー人に対し『お前たちは数百年台湾にいるのに我々の言葉を話せないのか』と言われるかもしれない」と、民族主義による他のグループとの対立を危惧した[11]

既に台湾(中華民国)は独立国家とする考え

台湾は中華人民共和国と無関係の島国であり一つの中国を否定する天然独と呼ばれる考え方がある[12][13]。民主化後に台湾で生まれ育った若い世代によく見られる[14][15]。しかし、中華民国の一部であるかどうかは個人の捉え方による部分が大きい。台湾独立派の中には、天然独は敗北主義だとする考えもある。

特に、中華人民共和国に現状の中華民国の独立状態を認めさせる考えは、華獨中国語版と呼ばれる。

非現実的とする批判

台湾独立の現実性については疑問や批判もある。

中国国民党の女性市議会議員である徐巧芯中国語版は女性も兵役につくべきであると提案、それに対し兵役でなく代替システムで徴兵を終えた桃園市の市議会議員である王浩宇中国語版が「自分はそれを望まない」と発言した。ネットでは「愛国心がない、兵士になってはどうだ」と批判の声が上がった。民進党の元立法院議員林濁水中国語版は「国民党は徴兵に賛成しているが台湾独立を掲げる民進党は反対した、台湾を守りたいのはどちらなのか」と嘆いた。聯合新聞は「台湾独立派はご都合主義のでまかせであり、兵士にならないのならどうやって中華人民共和国と独立戦争を戦うのか。アメリカが助けてくれると思っているのか、中華民国軍も弱くはないが人民解放軍は訓練された軍隊で、一体誰が尖兵となるのだ。王のような独立派は中国共産党をコケにすることで中国人意識を持っているNanaを批判するが、現実に防衛することを考えるとパニックになり、頼りになるのか疑問である。陳水扁と馬英九の台中接近政策により中国に幻想を抱き、独立は空から降ってくるように自然に手に入ると考えるような世代が生まれた」と批判した[16]

軍事面では、「消耗品や部品の費用を軍人が自腹を切っているケースが起こっておりそれが原因の自殺も起きた。兵器の整備も行き届いておらず政治家に忖度をする将校の増加から腐敗が進行している、アメリカから最新鋭の兵器を購入するがそれはポーズでありまともに維持できない」と元軍人が批判している[17]

中国民主活動家との関係

天安門事件で亡命した王丹など、中国民主化の活動家も当初は、台湾独立に否定的だったが[18]、その後は「『台湾のために戦う』という意識が低く、叫ぶだけでは『台湾独立』は不可能。歴史上、生命の対価を支払わずに独立した民族はない」というなど発言に変化がみられる[19]

ノーベル平和賞受賞者の劉暁波は著書「統一就是奴役...劉曉波論臺灣、香港及西藏 」にて、大一統と中国民主化は両立できず、台湾、香港チベットを独立させるべき主張した[20]


  1. ^ https://www.taiwannews.com.tw/en/news/3951560
  2. ^ 蔡総統掲げる「中華民国台湾」 独立か統一、2択を超越”. フォーカス台湾. 2020年6月8日閲覧。
  3. ^ a b 『台湾青年』と共に四十年羅福全、『台湾青年』第500号、2002年6月5日
  4. ^ 『台湾物語』筑摩書房、2019年4月15日。 
  5. ^ 2008.8.30 産経新聞
  6. ^ 2009年5月17日 産経新聞
  7. ^ 台湾独立派、孫文像を引き倒す”. AFP. 2020年1月23日閲覧。
  8. ^ 台湾独立運動家の銅像に赤いペンキ 蒋介石像破壊への報復か”. フォーカス台湾. 2020年1月23日閲覧。
  9. ^ 台湾独立派、孫文像を引き倒す”. AFP. 2020年1月23日閲覧。
  10. ^ 「台湾総統選」の本当の読み方。蔡英文「圧勝」韓国瑜「惨敗」と言い切れない?”. ハフポスト. 2020年6月8日閲覧。
  11. ^ 江文瑜編. 《人文社會主動出擊》. 臺北: 前衛出版社. 1995: 頁351. ISBN 9578010346 (中文).
  12. ^ 若者層の3割が中国での就職を希望——改革頓挫と中国の威嚇で習近平下回る台湾総統の好感度
  13. ^ 台湾総統選 民進党勝利の決定打となった勢力「天然独」とは?
  14. ^ <コラム>中国の大学が台湾人学生の受け入れ条件を緩和、狙いは「天然独」抑制か?効果は不明
  15. ^ 「台湾独立を“望まぬ”若者」と「民主化を進めた李登輝氏」の思い”. NHK. 2020年2月18日閲覧。
  16. ^ 聯合報黑白集/要台獨,不要當兵”. 聯合報. 2020年12月19日閲覧。
  17. ^ 中国軍の侵攻で台湾軍は崩壊する──見せ掛けの強硬姿勢と内部腐敗の実態”. ニューズウィーク. 2020年12月19日閲覧。
  18. ^ 天安門事件リーダー王丹氏 台湾から米に移住で反応二分
  19. ^ 学生指導者だった王丹氏 「歴史ではなく現在進行形」
  20. ^ 如果統一就是奴役...劉曉波論臺灣、香港及西藏





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