まぶた 哺乳類のまぶた

まぶた

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/05 00:24 UTC 版)

哺乳類のまぶた

まぶたの縁に、まつ毛が生えている。上まぶたが開閉する。まつ毛に何かが触れると、反射により目を瞑る。

ヒトのまぶた

人種分類別の特徴

モンゴロイド
東洋人の瞼
日本人を含むモンゴロイドは目頭が蒙古ひだで覆われている者が多く、目が小さく見える傾向にある。これは寒冷地に適応した新モンゴロイド遺伝子遺伝子プールにもっているためである。特に一重まぶたは、モンゴロイドによくみられる。
コーカソイド
欧米においては「アーモンド・アイ」と呼ばれる目(まぶた)の形が美しいとされることがある。北東アジア人は、基本的にアーモンド・アイなので、日本語にアーモンド・アイに相当する言葉がなく説明が難しいが、端的には目の両端が細くなっている目の形のことである。一重まぶたなどはアーモンド・アイの典型例の一つであり、北東アジア人自身が思うようにマイナス要素とは見做されていない傾向がある。ただし、つり目は東洋人のわかりやすい特徴であるだけに、時として揶揄の対象にもなる。
ネグロイド
暑いアフリカ大陸が出自であるため、大きなぱっちりとした目をしている者が多い。

上瞼の横ひだ

上まぶたのまつ毛の少し上に、溝があって開けた時に折り畳まれて二重になるまぶたを二重まぶたふたえまぶたといい、溝の狭いまぶたを一重まぶたひとえまぶたという。 二重まぶたで、まつ毛と溝の間の幅が狭く溝が隠れてわかりにくいまぶたを、俗に奥二重おくぶたえと呼ぶ。二重/一重まぶたは複数の遺伝子が関与する形質である[2]。かつては単一遺伝子の優性/劣性で決まるという説があったがゲノム解析により否定された[3][2]

一重まぶたは、氷期モンゴロイドの中で、二重の溝が尾側に移動して生じたとされる。これは、二重では寒冷地で凍結した際にまぶたがくっついて動かなくなるのを防ぐために環境適応したものである[要出典]。完全に下まで移動したものを一重といい、幅が狭いが若干上の方にあるものを奥二重という。

まぶたが一時的に三重以上のようになったり、一重まぶたが二重の状態になったり、逆に二重まぶたが一重まぶたの状態になることもある。後天的に自然に一重まぶたが二重まぶたになることもあり、高齢になるほど一重まぶたの比率は減少する。左右で異なる人もいる。

容姿への影響

まぶたの形は目の外見を大きく左右する。ヒトはヒトを視認するとき目(まぶた)の形に注目することが多いため、審美的に重要な部位とされ、化粧が施されることが多い。目(まぶた)はヒトがヒトを見分けるときに重要な部位なのでサングラスなどで隠すと容貌を判別し辛くなる。

美容整形

二重まぶたのほうが目がぱっちりと見えるため魅力的だと考え、一重まぶたをアイプチ美容外科手術で二重まぶたに変える者がいる[4]。ただし上述のとおり、一重まぶたが加齢により二重へ自然に変化することがあるため、後天的に二重へ変化した人でも手術やアイプチを行っているとは断定できない。また、二重でも目の開きが少ない者もおり、目頭切開手術をあわせて行うこともある。

近年は年配者だけでなく若者も眼瞼下垂症により、二重に整形するケースが増加している。これらは保険が適用されるため、美容整形よりも安く施術が可能である。ただし、あくまでも症状を改善させるための施術であり、極端に幅を広くしたり、末広がりの二重を平行にするなど容姿が著しく変化するものは不可の場合がある。日本国内においては二重埋没法・二重眼瞼下垂(切開法)の2種類が主流な施術法として確立されている[5]

眼科医・美甘光太郎による二重瞼整形手術。あいという名前の女性の一重の片目を二重に揃えた例。右が術前、左が術後。19世紀末

なお、美容整形としての二重瞼手術は1896年に眼科医の美甘光太郎が世界で初めて発表した[6][7]。さかさまつげの手術としてドイツ系米国人のホッツ医師が1892年に雑誌に発表した術法を参考に、美甘の恩師であり日本近代眼科の父と言われる河本重次郎が切開式のさかさまつげ手術法を考案し、その術法で治療を行なっていた美甘が美容への応用を思い立ち、非切開式の手術法を考案し、実践例を眼科雑誌に発表した[6][7]。その後、1926年に眼科医内田孝蔵が重瞼術という美容整形を考案し、ラジオや本、雑誌などで発表した[8]

その他

まぶたの筋肉が衰え、まぶたが伸縮しづらくなると、目を開けるのにを動かしてまぶたを持ち上げるために眉毛も動き、額への横皺が形成される。

片目は開けたまま、もう片方のまぶただけ瞬きすることをウインクというが、幼児には難しいことから、この行為はの発育の目安の一つとされる。


  1. ^ RauberKopsch解剖学II. 眼球付属器 Organa oculi accessoria 1. 眼瞼Palpebraeと結膜Tunica conjunctiva
  2. ^ a b Wang, Peiqi, et al (2022). “Novel genetic associations with five aesthetic facial traits: A genome-wide association study in the Chinese population”. Frontiers in Genetics 13. https://doi.org/10.3389/fgene.2022.967684. 
  3. ^ 新川詔夫; 太田亨; 吉浦孝一郎; デョミトロ スタレンキ『正常多様性形質の分子遺伝学的研究』(PDF)(レポート)科学研究費助成事業(基盤研究B)、2013年6月19日https://kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-22390066/22390066seika.pdf 
  4. ^ 二重整形”. Beauty media (2022年11月23日). 2022年11月25日閲覧。
  5. ^ 二重整形おすすめクリニック11選!埋没法と切開法の違いや選び方を解説!ダウンタイムやバレない方法は?”. Beauty media (2022年11月23日). 2022年11月25日閲覧。
  6. ^ a b 眼瞼成形小技 中外医事新報. (396) (日本医史学会, 1896-09)
  7. ^ a b 二重手術の起源は米国シカゴにあった 第3部白壁征夫、サフォクリニック、2019-06-04
  8. ^ 二重瞼にする整形『整形のいろいろ』内田出版部、1931年初版


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