不活化ワクチン
予防接種などで投与されるワクチンのうち、特殊処理で死んだ細菌やウィルスを使用して調剤したワクチンのこと。液性免疫を作るために接種される。
従来一般的なワクチンは、生きた細菌やウィルスを、毒性を弱めて接種する。これは不活化ワクチンに対して「生ワクチン」と呼ばれる。毒性は微弱化されているが、実際に罹患することで免疫を作る方式であるため、大事に至るケースが皆無ではない、というリスクがある。
不活化ワクチンでは、すでに死んた細菌・ウィルスを使用するため、接種後に活動することがなく、生ワクチンに比べると安全性が高いとされる。ただし、細菌・ウィルス自体が活動しないため、免疫がつきにくく、免疫が出来るまでに複数回、接種を継続する必要がある。
2011年現在、日本では小児麻痺(ポリオ)の予防接種は、現在、生ワクチンによる接種が行われているが、2012年にも不活化ワクチンへの移行が進む見通しとなっている。
ふかつか‐ワクチン〔フクワツクワ‐〕【不活化ワクチン】
不活化ワクチン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/13 02:23 UTC 版)
不活化ワクチン(ふかつかワクチン、英: Inactivated vaccine)は、細菌やウイルスを殺して毒性をなくし、免疫をつけるために必要な成分を取り出してワクチン化したもの。
概要
死菌ワクチンとも呼ばれ、狭義の不活化ワクチンは化学処理により死んだウイルス、細菌、リケッチアを使用する。取り扱いや効果において同様である抗原部分のみを培養したものを総称して、不活化ワクチンとされる場合もある。
不活化ワクチンは異物として認識されるのみで感染はしないため、感染細胞が出来ない。よって細胞性免疫は誘導されず、抗体が産生される液性免疫のみが誘導される[1][信頼性要検証]。
生ワクチンに比べて副反応が少ない半面、体内で細菌やウイルスは増殖せず、液性免疫のみの獲得となり、免疫の続く期間が短い。そのためアジュバントを用いて抗体価を上げるほか、一定の間隔で2 - 3回接種して最小限必要な免疫をつけたあと、約1年後に追加接種をして十分な免疫をつけるものが多い[2]。
関連項目
参考文献
- 獣医学大辞典編集委員会編集 『明解獣医学辞典』 チクサン出版 1991年 ISBN 4-88500-610-4
- 東匡伸、小熊惠二編集 『シンプル微生物学 改訂第3版』 南江堂 2000年 ISBN 4-524-22057-7
- Michael T. Madigan他著 室伏きみ子他監訳 『Brock微生物学』 オーム社 2003年 ISBN 4-274-02488-1
脚注
- ^ “生ワクチンと不活化ワクチン (1)効果の違いはどこにあるのか?”. 高見台クリニック. 2021年1月20日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2022年11月13日閲覧。
- ^ 生ワクチンと不活化ワクチン
外部リンク
- 「ワクチンってな~に?」~ワクチンの種類についての説明 - 予防接種に関するQ&A集(日本ワクチン産業協会)
- 予防接種情報 - 厚生労働省
- 予防接種情報 - 国立感染症研究所
- 主なワクチン - 海外勤務健康センター 研究情報部
- 海外渡航者向け予防接種機関検索 - 厚生労働省成田空港検疫所
- Know VPD! - NPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会
不活化ワクチン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/07 22:55 UTC 版)
詳細は「不活化ワクチン」を参照 死菌ワクチンとも呼ばれる。狭義の不活化ワクチンは化学処理などにより死んだウイルス、細菌、リケッチアを使用。取り扱いや効果において同様である抗原部分のみを培養したものを含めて不活化ワクチンと称されることもあり、以下その定義に含められるものを挙げる。生ワクチンより副反応が少なく安全性が高いが、液性免疫しか獲得できずその分免疫の続く期間が短いことがあり、このため複数回接種が必要なものが多い(代表例は三種混合ワクチンやインフルエンザワクチン)。免疫不全症の場合でも投与は可能である。 2歳未満の乳幼児では、蛋白成分を含まない抗原(ハプテン)部分だけでは免疫を惹起できない。このため、肺炎球菌ワクチンなど蛋白ではない抗原を用いるワクチンでは、乳幼児に接種するに際しては別の蛋白と抗原を結合させるなどの工夫がされている。 また、インフルエンザワクチンについては、1971年以前の全粒子ワクチン使用による副反応の(死亡あるいは脳に重篤な障害を残す)危険性が大きかったことや、それとは異なる現行の安全性の高いワクチンでも100%発症を抑えることはできないことから、接種を避けるべきとの意見も依然として存在する。 しかしながら、ハイリスク群(高齢者や慢性疾患を持つ人など)の人がインフルエンザに罹患した場合に、肺炎等の重篤な合併症の出現や、入院、死亡などの危険性を軽減する効果が世界的にも広く認められている。これが、国際連合の世界保健機関(WHO)や世界各国が、特にハイリスク群に対するインフルエンザワクチン接種を積極的に薦めている理由である。 インフルエンザワクチン 肺炎球菌ワクチン Hibワクチン(インフルエンザ桿菌b型ワクチンの略称) 狂犬病ワクチン コレラワクチン 二種混合ワクチン(DTワクチンジフテリア・破傷風混合。ジフテリア抗原のため10歳以上には1/5量投与。この量だと破傷風の有効量が不足しているため、最大限の効果を得るためには別途破傷風トキソイドをうつか、輸入TdまたはTdapにする必要がある) 三種混合ワクチン(DPTワクチン、ジフテリア・百日咳・破傷風混合) 不活化ポリオワクチン(IPV) 四種混合ワクチン(DPT-IPVワクチン、ジフテリア・百日咳・破傷風・不活化ポリオ混合ワクチン) 日本脳炎ワクチン 百日咳ワクチン 肺炎球菌ワクチン(2歳以上、2歳未満の小児用との2種がある) A型肝炎ウイルスワクチン B型肝炎ウイルスワクチン(C型肝炎その他は開発中) ヒトパピローマウイルスワクチン(HPVワクチン) 日本未承認(日本国内で接種の場合は個人輸入取り扱い医療機関に申し込む) 炭疽菌ワクチン コレラワクチン(経口4価)2年間有効。また、渡航者下痢の多くの原因とされる、病原性大腸菌139型に対しても4か月ほど有効と発表されている。 髄膜炎菌ワクチン(流行性髄膜炎、髄膜炎菌性髄膜炎) 腸チフスワクチン ダニ媒介性脳炎ワクチン A型肝炎ワクチン(全2回接種型・1回接種=2週間後抗体陽転、12か月持続。1歳より接種可能) 5歳以上用、二種混合ワクチン混合ワクチン(TD。破傷風の抗体産生能を維持したまま、ジフテリアの安全接種が可能) 11歳以上用、ジフテリア・破傷風・百日咳混合ワクチン(Tdap。破傷風の抗体産生能を維持したまま、ジフテリアと百日咳の安全接種が可能) DTaP/Hib=DTP+インフルエンザ桿菌 DTaP/IPV/HiB=DTP+不活化ポリオ+インフルエンザ桿菌 HepB/Hib=B型肝炎+インフルエンザ桿菌 コロナワクチン その他、混合多数。
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