ブドウ糖などの糖質が解糖系(嫌気的代謝)で代謝・分解されてできる生成物です。
解糖系(嫌気的代謝)では、筋肉を収縮させるエネルギーを得るために、筋肉に蓄えられたグリコーゲンをピルビン酸から乳酸に分解します。このエネルギー発生のしくみは乳酸性機構と呼ばれており、血液中に増えた乳酸の量を測定し、体内に急激にその量が増え始めた値(乳酸性作業閾値Lactate Threshold:LT)は、運動強度の目安として用いられています。乳酸は、激しい運動をした後に蓄積することから疲労物質とも呼ばれていました。最近では、乳酸が作られる過程で発生する水素イオンなどの作用で、筋肉のpHバランスが酸性に傾くことが疲労の一因と考えられています。血液中の乳酸は、肝臓でグリコーゲンに再合成され、再びエネルギー源として利用されます。
D‐乳酸
分子式: | C3H6O3 |
その他の名称: | D-乳酸、(-)-乳酸、(-)-D-乳酸、D-Lactic acid、(-)-Lactic acid、(-)-D-Lactic acid、[R,(-)]-2-Hydroxypropionic acid、(R)-2-Hydroxypropionic acid、(2R)-2-Hydroxypropionic acid、(R)-乳酸、(R)-Lactic acid、D-(-)-乳酸、D-(-)-Lactic acid、(R)-2-Hydroxypropanoic acid、Levogyral、レボギラール |
体系名: | (R)-2-ヒドロキシプロピオン酸、(R)-2-ヒドロキシプロパン酸、[R,(-)]-2-ヒドロキシプロピオン酸、(2R)-2-ヒドロキシプロピオン酸 |
L‐乳酸
分子式: | C3H6O3 |
その他の名称: | 肉乳酸、L-乳酸、パラ乳酸、(+)-乳酸、(+)-L-乳酸、L-Lactic acid、(+)-Lactic acid、Paralactic acid、Sarcolactic acid、(+)-L-Lactic acid、[S,(+)]-2-Hydroxypropanoic acid、[S,(+)]-2-Hydroxypropionic acid、Espiritin、エスピリチン、L-(+)-乳酸、L-(+)-Lactic acid、(S)-Lactic acid、(2S)-2-Hydroxypropionic acid、(S)-2-Hydroxypropanoic acid |
体系名: | (S)-2-ヒドロキシプロパン酸、(S)-2-ヒドロキシプロピオン酸、[S,(+)]-2-ヒドロキシプロピオン酸、[S,(+)]-2-ヒドロキシプロパン酸、(S)-乳酸、(2S)-2-ヒドロキシプロピオン酸 |
乳酸
乳酸
【英】:lactic acid
乳酸
【概要】 乳酸はブドウ糖の代謝中間産物で、主に筋肉や赤血球内で作られる。運動などで酸素が足りない状態では乳酸が筋肉細胞の中で10倍ぐらいまで上昇する。普通は乳酸を肝臓に運び処理する余力があるので乳酸値は元に戻る。血中の乳酸値は乳酸ができる量から、処理できる量をひいたものだと言える。病的な状態で乳酸の処理能力を上回ると乳酸がたまり、色々な臓器の機能不全や血液が強い酸性に傾いたりする。
【詳しく】 乳酸値は採血後の変化があるので採血条件について検査室と相談しておくこと。乳酸値の基準値は、成人では0.44-1.78mmol/L(4-16mg/dL)であり、mg/dL単位からmmol/L(SI単位)への換算係数は、0.111である。血中乳酸値が5mmol/L以上、pH<7.25(アシドーシス)では予後不良と言われている。妊婦以外では乳酸の定期的測定は必要ないとされる。また無症候の高乳酸血症では経過観察を行う。
《参照》 乳酸アシドーシス
乳酸
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