GPM計画とは? わかりやすく解説

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全球降水観測計画

読み方:ぜんきゅうこうすいかんそくけいかく
別名:全球降水観測、GPM計画
英語:Global Precipitation Measurement、GPM

宇宙航空研究開発機構JAXA)や米航空宇宙局NASA)をはじめとする国際機関共同進めている、複数人工衛星用いて地球上における全ての降水降雪観測する計画従来熱帯降雨観測衛星TRMM)によって行われてきた観測範囲全球広げるものであり、観測頻度観測精度の向上も企図されている。

全球降水観測計画の主な目的としては、地球上降雨降雪正確に把握することで、気候変動異常気象予測対策を行うことが挙げられている。観測結果インターネット通じてリアルタイム提供され天気予報などにも利用される

全球降水観測計画に用いられる人工衛星主衛星コア衛星)は、2014年2月H2Aロケットによって打ち上げられることが発表されている。主衛星は、各機関個別打ち上げる副衛星コンステレーション衛星)と連携して観測にあたる。全球降水観測計画で用いられる主衛星は、日本開発され二周波降水レーダDPR)を搭載しており、従来よりも高精度での観測が可能となっている。

関連サイト
全球降水観測計画 GPM - 地球観測研究センター - 宇宙航空研究開発機構

全球降水観測計画

(GPM計画 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/25 16:00 UTC 版)

全球降水観測計画(ぜんきゅうこうすいかんそくけいかく、GPM 計画、Global Precipitation Measurement)とは、地球大気中の降水を高頻度(3時間ごと)で観測する、NASAJAXA ならびにその他国際機関による共同ミッションである[1]

当計画は NASA の Earth Systematic Missions (ESM) 計画の一部であり、ほぼすべての地球上をカバーする予定である。プロジェクトオフィスは NASA ゴダード宇宙飛行センター(GSFC)によって管理され、研究者による全地球気候データの研究を支援するため全地球規模の「雨」の地図を提供する。

また、熱帯降雨観測衛星(TRMM)の成果を引き継ぎ、新たに(1)観測精度の向上、(2)観測領域の拡大、(3)観測頻度の増大、の3点が実現可能となるよう計画されている。

GPM 計画はミッション中核をなす人工衛星(コア衛星)およびその他人工衛星(コンステレーション衛星)の計10機程度の人工衛星群によって運用される[2][3]

GPM主衛星

全球降水観測計画(GPM)主衛星
GPM主衛星とコンステレーション衛星
所属 NASAJAXA
主製造業者 ボール・エアロスペース
国際標識番号 2014-009C
カタログ番号 39574
状態 運用中
目的 降水観測
打上げ場所 種子島宇宙センター
打上げ機 H-IIAロケット 23号機
打上げ日時 2014年2月28日
3時37分(JST
軌道投入日 2014年2月28日
質量 3,750kg
発生電力 1,950W(平均)
軌道要素
周回対象 地球
軌道 低軌道
高度 (h) 407km
軌道傾斜角 (i) 65度
搭載機器
DPR 二周波降水レーダ
GMI GPMマイクロ波放射計
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GPM主衛星(GPM Core)は2014年2月28日にH-IIAロケット23号機で打上げられた。アメリカが開発した衛星本体にGPM マイクロ波放射計(GMI)、および日本が開発した二周波降水レーダ(DPR: Dual-frequency Precipitation Radar)を搭載する。

太陽非同期軌道を周回し、軌道傾斜角は約65度、高度は約407キロメートルである。GPM 計画におけるコア衛星の役割は、DPR および GMI による同時観測により、全観測データの校正器(キャリブレータ)として機能することにあり、コンステレーション衛星を含めたマイクロ波放射計の降水観測精度を向上させる。

2023年10月、推薬の残量から計算された運用終了時期が2034年末と考えられていたところ、太陽活動の活発化によって2027年中ごろにまで短命化する可能性が生じた。そのため2023年11月7日・8日の2回のマニューバで運用高度を407kmから442kmに上昇させ、2030年頃まで推薬残量が維持できる見通しとなった。それに伴い、DPRアルゴリズムの改修が必要となることから軌道変更を実施する同年11月7日から観測データの提供を中止し、2024年3月5日に再開した[4]

ミッション機器

DPRは、Ku帯(13.6GHz)降水レーダ(KuPR)と、Ka帯(35.5GHz)降水レーダ(KaPR)の2台のレーダで構成されている。高感度化を目的としたKaPRでは、KuPRでは測れない弱い雨や雪の検出に有効であり、強い雨の検出が可能なKuPRと同時に観測することによって、熱帯の強い雨から高緯度の弱い降雪までの降水量を高精度で観測することができるようになる。TRMM降雨レーダのような一周波のレーダでは得られない情報まで観測できるようになるため、降水量の推定精度を大幅に向上することができるようになる予定。 KuPRはTRMM衛星のPRとよく似ており, 245 kmの刈り幅(swath)をもつ(角度ビンは49個)。その内側に, KaPRが120 kmの刈り幅を持つ。KaPRはMSとHSというパターン(角度ビンはそれぞれ25個と24個)2つのパターンのスキャンを実施しており, 両者は互いに少しずれながらほぼ同じ刈り幅を観測していた。ところが2018/05/21に, HSのスキャンパターンが変更されたため, それ以前と以後ではKaPRの刈り幅は異なっている。MSのスキャンパターンは変更されておらず, それはKuPRのスキャンパターン(の内側)のほぼ同じ地点を観測している。

GMIは受動センサーであり, 地球表面やと大気から放射されたマイクロ波を13の異なる周波数/偏光チャンネルで観測する。これらのデータから、幅885 kmの定量的な降水量分布図が得られる。GMIはTRMMマイクロ波放射 (TMI) の遺産を引き継いでおり, それに4つの新しいチャンネルと, より良い解像度と, より高精度の校正を加えたものである。GMIのデータは, TDRSS中継衛星との多元接続リンクを介して, 地上に継続的に送信される。

コンステレーション衛星

GPM 参加国や参加機関が個別に打ち上げるコンステレーション衛星は、それぞれマイクロ波放射計やマイクロ波サウンダなどを搭載しており、周回軌道は一部低軌道傾斜角(約20

GSFC にて音響試験の準備をする GPM コア衛星
GPM 人工衛星群の地球周回の様子。(1分50秒)
可能な限り最新の降水データを集めるために、9つの GPM 衛星がどのように地球を周回するかを示すアニメーション。(53秒)
GPM コア衛星の GPM マイクロ波放射計(GMI)および二周波降水レーダ(DPR)のスキャン性能をアニメーションで示す。多い雨量は赤で、少ない雨量で青で示される。(40秒)
NASA は予定される宇宙からの GPM 計画を支援する目的で、6週間カナダの吹雪の中を観測飛行機にて飛行しデータ収集を行った。(6分53秒)
GCPEx 2012 フィールド・キャンペーンでの NASA DC-8 観測飛行機の飛行経路が黄色で示されている。(13秒)
GPM 計画のアプリケーションサイエンティストで地滑りモデルの研究者である Dalia Kirschbaum の紹介。(3分5秒)
GPM 計画の主要な科学的および社会的な利益を簡単に紹介するビデオ。(1分24秒)
製造およびテストの各段階における GPM コア衛星の記録。(4分16秒)
GPM 計画の応用。(4分15秒)

その他

  • GPM主衛星の後継機として降水レーダ衛星(PMM)が計画されており、2028年度以降の打ち上げに向けて開発を進めている[7][8]
  • 2004年に公開されたインドの映画Swades: We, the People英語版(発音:[swəˈdeːʃ]、英語: Homeland)はNASAのGPMのプロジェクトマネージャーを務めるインド人を主人公としている。

出典

  1. ^ Science Missions”. NASA. 2010年10月28日閲覧。
  2. ^ GPM計画の概要”. JAXA. 2013年3月17日閲覧。
  3. ^ 2009年3月現在の世界の降水観測衛星計画 (2005-2018)”. JAXA. 2013年3月17日閲覧。
  4. ^ GPM主衛星のノミナル高度の変更について”. GPM Website. JAXA. 2025年1月25日閲覧。
  5. ^ 全球降水観測(GPM)計画主衛星の打上げについて”. JAXA. 2013年12月26日閲覧。
  6. ^ GPMデータの配信と現業利用”. JAXA. 2013年3月17日閲覧。
  7. ^ 降水レーダ衛星(PMM)”. JAXA 第一宇宙技術部門 サテライトナビゲーター. 2025年1月25日閲覧。
  8. ^ 台風対策の切り札となる日本の「降水レーダ衛星(PMM)」とは–2028年度に打ち上げへ”. UchuBiz (2023年8月15日). 2025年1月25日閲覧。

関連項目

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