CIE表色系
英語:CIE 1931 standard colorimetric system CIE 1964 supplemenntaru standard colorimetric system
CIE(Commision Internationale de l'Eclairage)が,実験に基づいて1931年および1964年に採択した,2°視野および10°視野の標準観察者の等色関数 x(λ),y(λ),z(λ)およびx10(λ)y10(λ)z10(λ)を用いて,任意の分光分布の3刺激値X,Y,ZおよびX10,Y10,Z10を決定する表色体系.前者は視覚4°以下の,後者は視覚4°以上の観察対象に適用される.一般に,モニター画面や印刷物については2°視野が,繊維製品やペイント,プラスチックについては10°視野が用いられる.
CIE 1931 色空間
CIE1931色空間(シーアイイー 1931 いろくうかん)は国際照明委員会が1931年に採択した色空間である。
概要
色を体系的に扱うために様々な表色系が研究・提案されるなか(⇒ #背景)、国際照明委員会は1931年に世界で初めて「可視光と人の色覚における色との定量的関係」を規格化した。これがCIE1931色空間である。具体的にはCIE 1931 RGB色空間とCIE 1931 XYZ色空間の2つの色空間を採択した(⇒ #RGB色空間、#XYZ色空間)[3][4]。 CIE1931色空間はこの表色系は現代カラーマネージメントの基礎となり、印刷用インキ・トナー、ディスプレイ、デジタルカメラなどの記録装置を扱う場合において重要な情報である。CIE1931色空間はその後提案された様々な表色系の基礎となっている(⇒ #その後の改良)。
背景
三刺激値
物理的な光とは分光強度分布というエネルギーの特性であり、そこには無数の波長という光の種類と、それぞれにエネルギー強度という数量がある、極めて複雑かつ膨大な情報を持つ組成である。しかし、それはたった3種類の原刺激(原色)と、その数量である三刺激値(さんしげきち、英: tristimulus values)と呼ばれる3つの数量で色は表すことができるようになる。色空間によって原刺激と三刺激値はさまざまな種類が考えられる。色空間は、物理的なエネルギーとしての光を、三刺激値といった色を表す客観的な表現に置き換えるものである。三刺激値に基づく色空間は、3色による加法混色モデルにおける三原色の総和を概念化したものと関連づけられている。一部の色空間においては、各々の原色は現実の色としては存在しない虚色であり、どんな単色光をつかっても実現させることはできない。様々な異なる波長が混合された二つの光源について考える。そのような光源は同じ色として認識されることがある。これを条件等色(メタメリズム) という。そのような同じ色と知覚される光源同士においては、光源がそれぞれどんな分光強度分布であっても、二つの光源ともに同じ三刺激値を持っている。
LMS色空間

正常色覚の人では、網膜にある錐体細胞はその分光感度によって3種類に分類される。短波長(Short)に感度のピークを持つS錐体、中波長(Medium)に感度のピークを持つM錐体、長波長(Long)に感度のピークを持つL錐体である。感度のピークはS錐体が440nm付近、M錐体が540nm付近、L錐体が560nm付近とされる。また、その視物質の吸光波長のピークについては、S錐体が420nm、M錐体が530nm、L錐体が560nmにあるとされる[5]。これらの錐体によって、明るい場所では色覚が生じる。
3種類の錐体の単色光に対する反応値の総和を求めることで、三刺激値が得られ、この三刺激値で色を表現できる。この場合、S、M、Lという3つのパラメータによりつくられるLMS色空間というものになる。LMS色空間は人の色覚を表現するために考案された色空間のうちの一つである。なお、色空間は一般に必ずしもLMS色空間のように錐体の反応値を直接表すとは限らない。
ほとんどの波長においては、錐体の分光感度においてS, M, Lそれぞれのカーブが相互に重なっているため、二種類あるいは三種類の錐体が刺激される。このため、一つの三刺激値のみを表すことは物理的に不可能である(例として、LMS三刺激値におけるM成分がゼロでない時、L成分もS成分もゼロにはなり得ない)。さらには、LMS三刺激値において、三原色の加法混色の色空間(例えばRGB色空間)では、単波長の色は少なくとも三色のうち一色は負の値になる。これは、三原色により定義される三角形の外側に色度が位置しているためである。このような負の値をもつRGB値を避けるため、および一つの成分が明所視標準分光視感効率
CIE RGB等色関数を使ったヒトの視覚のRGBモデルの確立の過程で、CIE特別委員会のメンバーはCIE RGB色空間と関連しつつも異なる別の色空間を定義しようと考えた。その色空間はグラスマンの法則を踏襲しつつ、CIE RGB色空間を線形変換することが検討された。この新たな色空間は、上記記載の3つの新たな等色関数
ヒトの目には、三種類の色を感知するセンサーがあり、異なる領域の波長を感知するため、視覚可能な色をプロットしていくと三次元の図となる。一方で色の概念は、輝度と色度に分類される。例えば、白色は明るい色として定義され、灰色は白色の輝度が低い色ということが出来る。言い換えれば、白色の色度と、灰色の色度は同じであるが、輝度のみが異なる、といえる。
CIE XYZ色空間は、意図的にY成分が輝度となるよう設計されている。色度はxおよびzで表され、三つのうちの二つの、三刺激値X, Y, Zを用いて正規化した値:
CIE 1931モデルにおいて、Y成分は輝度、Z成分は近似的に(CIE RGBの)青の成分、X成分はCIE RGBの3成分を混合したものであって、負の値にならないように選択されている( § CIE XYZ色空間の定義を参照)。Y成分を輝度とすることにより、任意のYの値に対し、XZからなる平面はその輝度において表現可能な全ての色度を確認することができる。
X, Y, およびZの三刺激値の成分の単位はしばしば任意に選択されるため、Y = 1あるいはY = 100がカラーディスプレイが表現できる最も明るい白となる。この場合、Yの値は相対輝度となる。X, Zに対する白色点の値は標準光源から特定することができる。
1950年台に錐体細胞の特性が解明されるよりも遥か以前に、XYZの値が定義されたため、その生理学的な意味が解明されるのも20年以上後になってからであった。1980年台に定義されたHunt-Pointer-Estevez行列により、 XYZとLMSが関係づけられた。
他のいくつかのXYZ形式の等色関数が利用可能で、元の1931色空間の既知の問題を修正している。これらの関数は、独自のXYZ形式およびxyY形式の色空間を表す。