かくさん‐はんしゃ〔クワクサン‐〕【拡散反射】
読み方:かくさんはんしゃ
⇒乱反射
拡散反射
拡散反射
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/08 15:02 UTC 版)

概要
拡散反射は、非金属表面で起きる光の反射のうち、鏡面反射を除いた成分のことである。拡散反射は鏡面反射に比べて反射角に依存せず、多様な方向に同程度の光度を放つのが特徴である。

拡散反射の過程では、一例として、入射光が界面下に透過し、多重反射及び散乱を経て出射する。この過程で特定の波長の光が吸光され強度が弱まる場合もある。よって拡散反射スペクトルと透過スペクトルは類似したものになる。金属表面では自由電子が内部への光の侵入を妨げ拡散反射が起こらない。
光を多く透過する材料(例: ゼリー、ロウ)では入射光の一部が内部の深くまで透過・拡散・散乱し、出射地点が入射地点と離れる。これは反射でないため、表面下散乱と呼び拡散反射と区別される。
拡散反射と鏡面反射は偏光フィルターで分離できる。
理論
拡散反射スペクトルの強度再現には、クベルカとムンクによって導かれた[2]。
白色光源で照らされたボーリングのボール 拡散反射光の色は反射面の特性に依存して変化する[3]。
例えば白色光源で色付きボウリングのボールを照らすと、拡散反射光(拡散反射成分)はボールの色になる(図参照)。
非偏光
鏡面反射光は偏光をもたない。すなわち偏光が反射すると非偏光になる[4]。
その他
拡散相互反射(かくさんそうごはんしゃ;diffuse interreflection)は、他の物体から反射した光が周りにある他の物体にぶつかって、それらを照らすことによって起きる。拡散相互反射は、つやがあるとか鏡のような物体からの光の反射を、特に述べているわけではない。この意味する事を現実世界の言葉で言い直すと、地面や壁、織物などのようなつやがない表面を反射した光は、光源が照らしている場所から直接反射したのではないということである。もし、拡散反射している表面に色がついていたならば、反射光も色がつくし、結果として周りの物体も似た色がつくことになる。
3次元コンピュータグラフィックスでは、拡散相互反射はグローバル・イルミネーションの重要な構成物である。レンダリング時に拡散相互反射をモデル化する方法はたくさんある。よく使われる方法として、ラジオシティ法とフォトンマッピングの2つがある。
脚注
出典
- ^ a b "入射光が様々な方向に反射されることを“拡散反射”,あるいは“乱反射”と云います" 東芝テリー株式会社 2016, p. 1 より引用。
- ^ Paul Kubelka, Franz Munk: Ein Beitrag zur Optik der Farbanstriche. In: Zeitschrift für technische Physik. 12, 1931, S. 593–601.
- ^ "一般に,被写体の“色”は物体の色材層内からの“拡散反射光”によって生じる" 東芝テリー株式会社 2016, p. 2 より引用。
- ^ "光が拡散反射する場合は, 入射光が様々な方向に反射されたり,物体に吸収・再放射されたりするため,入射光 が直線偏光でも反射光は非偏光となります。" 東芝テリー株式会社 2016, p. 2 より引用。
参考文献
- 東芝テリー株式会社 (2016), “マシンビジョンにおける光の反射と偏光について”, TOSHIBA WHITE PAPER: 1-2
関連項目
拡散反射
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 06:42 UTC 版)
水中から見た場合、昼間の水面は光が拡散反射(乱反射)するなどしてその向こうにある空間を視認性の悪いものにしてしまうことが多い。多くの回遊魚の腹部が銀色であるのは、捕食者に下から狙われた場合、白銀色に光輝く水面に紛れて逃げおおせる可能性が高まるからで、つまりは保護色である。 また、カナダの島嶼部に生息するアメリカグマの生態観察の知見として、アメリカクロクマに比べてシロアメリカグマのほうがサケなどの魚を捕らえる能力に長けているのであるが、これは、黒い体色をしているために水中の魚から視認されやすいアメリカクロクマに比べて、水面の色に紛れてしまう白い体色をしているシロアメリカグマは気付かれにくいということが有利に働いているものと考えられている。なお、シロアメリカグマは、無闇に目立つ体色であるがゆえに生き残る上で不利とされるアルビノではなく、正常に適応進化を遂げた種、すなわち白変種であり、上述したものはこの種が具える優れた特性である。また、ホッキョクグマ、ホッキョクギツネ、ホワイトタイガー、ホワイトライオンなどといった他の様々な白変種の捕食動物は、シロアメリカグマと同じ性質を具えている可能性があるが、シロアメリカグマと違ってはっきりしない。 鏡面化した水面は、多くの捕食動物にとって視覚情報の取得を妨げる障害であるが、他の捕食者にとっての障害はそれを問題としない特殊能力者にとっては利益であるのも自然的摂理である。ミサゴやチョウゲンボウのように、上空より水面に狙いを定めて魚食(実際には水生動物も食べる)をよくする猛禽類は、反射光を遮断して鏡面化を無効とする眼を具えているのであり、そのような者にとっては競合者を寄せ付けない都合のよい環境条件となっている。特にミサゴは、魚食の傾向がどの種よりも強い分だけこの能力に優れている。
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