【AC-130】(えーしーひゃくさんじゅう)
C-130をベースにして製作された局地制圧用攻撃機。
愛称は、AC-130HがSpectre(スペクター)、AC-130UがSpooky(スプーキー)となっている。
ベトナム戦争中に、ジャングルに潜むゲリラ等に対するガンシップの有効性を見出したアメリカ空軍が1967年に原型機を製作。
機体が完成してまもなく、実戦評価のためにベトナムに派遣されている。
武装は輸送機を元にしているだけあり、初期型のAC-130Aは20mmバルカン砲(M61A1)とM134 7.62mmミニガンを各4門搭載し、最新型のAC-130UにいたってはM102 105mm榴弾砲・ボフォース 40mm機関砲(L60)・GAU-12「イコライザー」25mmガトリング砲がそれぞれ1門と、「空飛ぶトーチカ」・「空飛ぶ戦車」としてふさわしい内容となっている。
武装は機体の左側にまとめて搭載されており、攻撃の際は左旋回を維持しながら行うが、これは左側に座る機長が視認しやすいためである。
正確な射撃を維持するためのアビオニクス類(赤外線センサーやGPS/INS等)も充実している。
ちなみに、実運用では105mm榴弾砲と40mm機関砲の同時射撃は禁止されている。
輸送機が原型だけあって搭載弾薬量が多く、圧倒的かつ正確な攻撃を長時間にわたって行えるため、攻撃を受ける側にとっては、ゆっくりと旋回しながら頭上から大量の砲弾の雨を降らせるこの機は恐怖の対象となる。
なお後部ハッチは、空薬莢の投棄や投光機の使用に用いられていて、ベトナム戦争時に電灯の切れた野戦病院の手術の為に投光機を長時間照射し続けたという逸話も残っている。
スペックデータ
乗員 | 計13名 ・士官5名(機長、副操縦士、航法士、火器管制官、電子戦担当官) ・下士官8名(航空機関士、TVオペレーター、赤外線検出担当士、ロードマスター、砲手) |
全長 | 29.79m |
全高 | 11.66m |
全幅 | 40.41m |
主翼面積 | 162.1㎡ |
空虚重量 | 32,936kg |
最大離陸重量 | 70,305kg |
エンジン | アリソン T56-A-15ターボプロップ(推力3,362kW)×4基 |
最大巡航速度 | 315kt |
海面上昇率 | 579m/min |
実用上昇限度 | 10,060m |
航続距離 | 2,048nm |
武装 | AC-130A: GAU-2/A 7.62mmミニガン×4挺、M61A1 20mmバルカン砲×4門 AC-130E: GAU-2/A 7.62mmミニガン4挺、M61 20mmバルカン砲×2門、ボフォース 40mm機関砲×2門 AC-130H "スペクター": M61 20mmバルカン砲×2門、ボフォース 40mm機関砲×1門、M102 105mm榴弾砲×1門 AC-130U "スプーキー": GAU-12 25mmガトリング砲×1門、ボフォース 40mm機関砲×1門、M102 105mm榴弾砲×1門 |
派生型
- AC-130A:
C-130Aから改造された初期型。
JC-130から改造された量産型(7機)は、AN/APQ-133ビーコン追跡装置、AN/APQ-136移動目標識別レーダー、アナログ式コンピュータ等の電子装備やサーチライトなどを装備する。
また、ペイブ・フロント計画に基づいて改造された機体(7機)は、ブラッククロウ点火センサーとAN/ASQ-24A安定追跡セットを備えている。
後に兵装をE型準拠に改装。
- AC-130E:
C-130Eベースの地上掃射型。
搭載弾薬量の増加や装甲強化、電子装備の改良(ビーコン追跡装置をAN/APQ-150に変更)が施されている。
- AC-130H:
C-130Hベースの地上掃射型。
エンジンをアリソン製T56-A-15に変更し、M61 20mmバルカン砲4門、ボフォース40mm機関砲1門、M102 105mm榴弾砲1門を装備した。
自己防衛用器材にはAN/AAD-7前方監視赤外線装置、AN/AAR-44赤外線妨害装置、AN/ALT-32ノイズ妨害システム、AN/ALQ-172強化型ECMシステムなどを備えている。
E型も後にH型準拠に改装。
- AC-130U:
H型の攻撃力強化版で現行生産モデル。
M61 20mmバルカン砲をGAU-12/U25mm ガトリング砲に換装した他、電子装備も火器管制レーダーやFLIR、電子線セットなどが大幅に更新され、側方装着型全光量TVやAN/ALE-40チャフ/フレアディスペンサーなども装備された。
電子機器類は1553Bデジタル・データバスで統合化されており、同時に2つの目標に対して攻撃が可能になっている。
航法装置には、INSとGPSを搭載している。
- AC-130J:
C-130Jベースの地上掃討型。現在開発中。
AC-130
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/19 16:04 UTC 版)
フレアを放出するAC-130H スペクター
注釈
出典
- ^ “上空から放たれる圧倒的火力 105mm砲搭載のガンシップ「AC-130」 その性能とやらは?”. メディア・ヴァーグ (2020年3月4日). 2022年6月24日閲覧。
- ^ Air Commandos retire final AC-130H Spectre gunship from United States Air Force
- ^ “スピリット03とカフジの戦い”, Special operations (memorial), オリジナルの25 October 2008時点におけるアーカイブ。
- ^ AC-130H/U Gunship fact sheet. US Air Force, October 2007. (20 mm guns were removed)
AC-130
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 01:07 UTC 版)
「C-130 (航空機)」の記事における「AC-130」の解説
ガンシップ型。
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AC-130
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/11 09:35 UTC 版)
「ガンシップサポート」を要請すると飛来するガンシップ。搭乗不可。
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AC-130
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 09:41 UTC 版)
詳細は「AC-130」を参照 ガンシップ・プロジェクトIIに基づいてロッキード C-130 ハーキュリーズに武装を施したガンシップ。同機は唯一現役のガンシップであり、アメリカ空軍特殊作戦コマンドのみで運用されている。 ベトナム戦争以外でも、グレナダ侵攻やパナマ侵攻、湾岸戦争、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争、ソマリア内戦、コソボ紛争、アフガン紛争、イラク戦争にも投入されている。
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固有名詞の分類
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