アリソン_T56とは? わかりやすく解説

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アリソン T56

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/04 01:06 UTC 版)

アリソン T56 は単軸式のモジュラー設計の14段の軸流式圧縮機を4段のタービンで駆動する軍用ターボプロップエンジンである。

原型はアリソン・エンジン社によってC-130輸送機用に開発され[1]1954年から量産された。現在は1995年にアリソン社を傘下に収めたロールス・ロイス・ホールディングスで生産される。民間機用は501-Dとして識別される。1954年以来、改良されながら他に類を見ない生産数と生産期間でこれまで18,000基以上が生産され続けていて累計200万飛行時間以上に達する[2]

設計と開発

T56ターボシャフトはアリソン社の以前のT38シリーズから発した[1]。最初の飛行時には1954年にB-17飛行試験機の先端に設置された状態で飛行した[1]。 当初C-130ハーキュリーズに搭載され、P-3とE-2/C-2にも採用された。また、民間機のロッキードエレクトラコンベア580にも民間機用の501-Dが搭載された[1]。 T56 の開発作業は1953年5月にアリソン社がロッキード社にT56-A-1を出荷する直前に終了したが、C-130で必要とされていた3,750 shpではなく、たった3,000 hpしか出せなかった。

1953年8月にわずか6.5時間の地上試験で破損した。再設計したエンジンは同年9月に同様の運命を辿った。2度目の再設計後、アリソン社のチームによって成功が実現した。T56は圧縮比の向上と運転温度の上昇を含む改良が加えられた。P-3オライオンに搭載されたT56-A-14は出力4,591 shp、圧縮比は9.25:1であったが、E-2ホークアイに搭載された T56-A-427 では出力5,250 shp、圧縮比は12:1に向上している。また、T56は排気により約750 lbs の推力を発生する[3]

船舶用の501Kエンジンはアメリカ海軍の現用の巡洋艦や駆逐艦の発電用、そしてジェットフォイルの主機として使用されている[2]

2013年に提案されたエンジン改良計画では、T56エンジンの燃料消費と運転温度を抑える事により空軍は20億ドルの費用削減とC-130の飛行隊の行動時間延長が期待された[4]

1996年に初飛行したC-130JスーパーハーキュリーズではT56はエンジンとプロペラの制御にFADEC(全デジタルエンジン制御)を用いるロールス・ロイス AE 2100に置き換えられた[5]。これは6葉のダウティ・ロートル製のシャムシール プロペラ英語版を備える。

派生型

501-D13
(シリーズ I) ロッキード L-188コンベア CV-580 (P&W R-2800を換装)1957年12月に開始
501-D13A
(シリーズ I) -D13と類似
501-D13D
(シリーズ I) -D13と類似
501-D13H
(シリーズ I) -D13と類似
501-D22
(シリーズ II) ロッキード L-100 ハーキュリーズ
501-D36A
(シリーズ II) (型式認証されず)
501-D22A
(シリーズ III)
501-D22C
(シリーズ III) -D22Aと類似
501-D22G
(シリーズ III) -D22Aと類似
501-M62
ボーイング-バートル XCH-62 重量物運搬ヘリコプター用のT701-AD-700 ターボシャフトエンジンの社内分類
1982年に普天間飛行場で移動式試験装置で試験中のT56
2009年に整備中のT56-A-16
T56-A-7
(シリーズ I)
T56-A-8
(シリーズ I)
T56-A-9
(シリーズ I)
T56-A-9D
(シリーズ I) ロッキード C-130A ハーキュリーズに1956年12月から搭載され、全てのグラマン E-2Aに1960年から搭載
T56-A-9E
(シリーズ I) -A-9Dと類似
T56-A-10W
(シリーズ I) 水噴射を備える
T56-A-7A
(シリーズ II) ロッキード C-130B ハーキュリーズ1959年5月から搭載
T56-A-7B
(シリーズ II) -A-7Aと類似
T56-A-10WA
(シリーズ II)
T56-A-14
(シリーズ III) ロッキード/川崎 P-3/EP-3/WP-3/AP-3/CP-140 オーロラに1962年8月から搭載
T56-A-15
(シリーズ III) ロッキード C-130H ハーキュリーズ に1974年6月から搭載
T56-A-16
(シリーズ III)
T56-A-425
(シリーズ III) グラマン C-2A グレイハウンド 1974年6月から搭載
T56-A-14+
(シリーズ III.V) 燃料効率と信頼性を向上
T56-A-15+
(シリーズ III.V)
T56-A-16+
(シリーズ III.V)
T56-A-425+
(シリーズ III.V) グラマン E-2に2011年8月から搭載
T56-A-427
(シリーズ IV) 1972年からグラマン E-2の更新
T56-A-427A
(シリーズ IV) -A-427と類似、グラマン E-2Dに搭載
T701-AD-700
(501-M62) ボーイング-バートル XCH-62 重量物運搬ヘリコプター用のターボシャフトエンジン

搭載機

軍用機

民間機

仕様諸元 (T56 シリーズ IV)

一般的特性

  • 形式: ターボプロップ
  • 全長: 146.1 in (3,711 mm)
  • 直径: 27 in (690 mm)
  • 乾燥重量: 1,940 lb (880 kg)

構成要素

性能

  • 出力: 4,350 shp (3,915 kW)4,100で制限
  • タービン入口温度: 860°C
  • 燃料流量: 2,412ポンド/時
  • 出力重量比: 2.75:1 (shp/lb)

出典: Rolls-Royce.[6]


関連項目

  • アリソン T38
  • アリソン T40

類似のエンジン

出典

  1. ^ a b c d Global Security T56”. www.globalsecurity.org. 2018年5月13日閲覧。
  2. ^ a b Rolls Royce T56 Product Sheet”. www.rolls-royce.com. 2013年2月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年11月1日閲覧。
  3. ^ The Rolls-Royce Allison T56 is fifty”. New Zealand Aviation News, September, 2004. 2014年10月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2 November 2013閲覧。
  4. ^ NOAA 'Hurricane Hunters' First To Get T56 Series 3.5 Engine Enhancement | Aero-News Network”. www.aero-news.net (Nov 14, 2013). 2018年5月13日閲覧。
  5. ^ Rolls Royce AE-2100 Product Sheet”. www.rolls-royce.com. 2013年2月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年11月1日閲覧。
  6. ^ Rolls, Royce . Training Manual . T56/501D Series III. Rolls-Royce, 2003. 8-1 To 8-24. Print.

外部リンク


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